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3Dサウンドを実現するイマーシブオーディオ規格

デノン、Auro-3Dに国内初対応の一体型AVアンプ「AVR-X6400H」 ー 11chアンプ搭載の準旗艦機

2017/08/24 編集部:小澤貴信
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デノンは本日24日、ベルギー王国大使館にて新製品発表会を開催。チャンネルベースの“3D”イマーシブオーディオ規格“Auro-3D”に日本国内で初めて対応したAVアンプ「AVR-X6400H」「AVR-X4400H」を発表した。発売日は9月中旬。本記事では、準フラグシップとなる11chアンプ搭載モデル AVR-X6400Hについて紹介する。

・「AVR-X6400H」 ¥300,000(税抜) 9月中旬発売

AVR-X6400H


AVR-X6400Hは、昨年モデル「AVR-X6300H」の後継モデル。ドルビーアトモス、DTS:Xへの対応に加えて、ハイト/トップスピーカーを用いて3Dサウンドを再現するサラウンド規格「Auro-3D」に国内の一体型AVアンプとして初対応したことが特徴。最大10.1chのAuro-3D再生が行える。

各chごとに独立基板とした11chディスクリート・パワーアンプをはじめ、AVR-X6300Hで実現したサウンド面の特徴を継承する。また、DAC基板とボリューム基板についてはX6300Hのそれをベースに再設計が行われた。スピーカー端子が本機から旗艦モデル「AVR-X7200H」と同等のより高品位なものに変更された。

AVR-X6400Hの筐体内部

プロセッシングは最大11.2chに対応。アンプの実用最大出力は250W/ch(1ch駆動時、6Ω)、定格出力は140W/ch(2ch駆動時、6Ω)で、いずれも従来機と同様だ。機能面では、5ch分のスピーカーを同時にバイアンプ駆動できる「5ch Full Bi-Amp機能」を新搭載。独自のアナログ波形再現技術「αプロセッシング」は、従来の「AL 24」(24bit対応)から、これまでX7200Hのみが搭載していた「AL 32」(32bit対応)へと進化した。

背面端子部

HDMI端子は8入力/3出力を搭載し、いずれもHDCP2.2に対応。映像面では、4K/60p、HDR、BT.2020など最新フォーマットのパススルーに対応。HDRについてはDolby VisionやHLGにも対応している。ワイヤレス機能については、BluetoothおよびWi-Fiを内蔵する。従来から引き続き、5.6MHz DSDや192kHz/24bit PCMなどのハイレゾ音源をネットワーク/USBメモリーから再生することができる。

発表会の冒頭では、ディーアンドエムホールディングスの取締役である中川圭史氏が挨拶。本製品への意気込みと共に、Auro-3Dが欧州を中心にユーザーから高く支持されている現状を紹介した。また、AVR-X6400H/4400Hの開発に携わった同社の高橋佑規氏が各製品の詳細を行った。

中川圭史氏

高橋佑規氏

Auro-3Dを手がけるベルギー Auro Technologies N.V.社のCEOであるWilfried Van Baelen氏も発表会に登場。自らAuro-3Dについて説明を行った。なお、今回ベルギー大使館で発表会が開催されたのは、ベルギー企業であるAuro社のバックアップによるものだという。会場では以下に製品の詳細について紹介する。

Auro Technologies N.V.社のCEOであるWilfried Van Baelen氏

チャンネルベースの3Dサラウンド規格「Auro-3D」に国内初対応

AVR-X6400H/X4400Hは、日本国内で初めての「Auro-3D」デコーダー搭載した一体型AVアンプとなる(AVプリアンプとしては、仏TRINNOV AUDIOの超ハイエンドAVプリ「ALTITUDE 32」が対応している)。Auro-3D方式の音声を収録されたBDなどのコンテンツを、本機でデコードして再生することができる。

AVR-X6400H/X4400HがAuro-3Dに対応

ドルビーアトモスやDTS:Xがオブジェクトベースであるのに対して、Auro-3Dはチャンネルベースであることを特徴とする。聴覚のもっとも大きな範囲を占める耳の高さの音「SURROUND(レイヤー1」、普段聞く音に没入するための反射音を担う「HEIGHT(レイヤー2)」、特殊効果や頭上通過を担う「TOP(レイヤー3」という3つのレイヤーで3D音場を構成する。自然で臨場感豊かな3Dサウンドが再現できるとされる。全チャンネルの音声を192kHz/24bitなどのハイレゾで収録できることも特徴とする。なお、非対応機器でAuro-3Dを再生すると、DTS-HDマスターオーディオ 5.1chとして再生される。

3レイヤーによるAuro-3Dのコンセプト概念図

Auro-Maticアルゴリズムにより、モノラルやステレオ音源を含む非Auro-3Dのコンテンツを3Dサウンドへアップミックスすることも可能となる。

家庭向け「Auro-3D」は2014年に登場。欧州を中心に音楽ソフトを含むAuro-3Dが収録されたBDが発売され、デノンでもローンチ時点から海外モデルでAuro-3Dへの有償アップグレード対応を実施してきた。一方で、日本国内モデルがAuro-3Dに対応するのは今回が初。本機では有償アップグレードではなく、出荷時から対応している点もアピールされた。

ベルギー王国大使館のレセプションホールに、実際に9ch(5.0.4ch)のAuro-3Dシステムを構築。AVR-X6400Hによるデモが行われた

家庭向けのAuro 3Dは、規格上は最大13.1chに対応。AVR-X6400Hでは最大10.1chに対応する。本機におけるスピーカー配置の最大は、レイヤー1に5.1chスピーカー、レイヤー2にフロントハイト(FHL+FHR)とサラウンドハイト(SHL+SHR)、レイヤー3にトップサラウンド(TS/オプション)という構成になる。

なお、Auro-3Dを再生するには、最低限の条件としてフロントハイトが必要(AVR-X6400Hでは5.1.2)。ただし、「.2」がトップスピーカーにアサインされている場合はAuro-3Dは再生できないので、「.2」を設定からハイトスピーカーにアサインする必要がる。また、同社では「Auro-3Dにおいてはサラウンドハイトを用いるのが最適とされているが、これに代わってリアハイトスピーカーを設置すれば、Auro-3Dとドルビーアトモスの両方を楽しめるシステムが構築できる」とも案内している。

発表会会場には、現時点で入手可能なAuro-3D収録タイトルも展示されていた

気になるのは対応するAuro-3Dを収録するBDソフトの展開だが、同社の宮原利温氏は「現時点で国内で30タイトル前後が手に入る」と紹介。ノルウェーの高音質レーベル「2L」などが手がける音楽BDに加えて、『ゴーストバスターズ』のようにすでにAuro-3Dを収録した映画UHD-BDも国内で発売されている。またソニー・ピクチャーズからは近々に、『ミニオンズ』をはじめ15タイトルほどのAuro-3D収録ディスクが発売される予定だという。

11ch分を独立基板としたパワーアンプを搭載

AVR-X6400Hはミドルクラスの筐体に、11ch分のパワーアンプを内蔵。さらに、パワーアンプ回路をチャンネル毎に個別の独立した個別基板とした「モノリス・コンストラクション」構成を採用。合計11枚の基板を使用して11ch分のアンプをレイアウトしている。これによりチャンネル間の振動による影響およびクロストークを排除。チャンネルセパレーションを高め、純度の高いリアルな音場再生を実現している。

「モノリス・コンストラクション」構成の11chパワーアンプ

各パワーアンプ基板に隣接するヒートシンクは、共振の少ないアルミ押し出し材を使用。より効率的な放熱を可能としている。

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製品スペックやデータを見る
  • ジャンルAVアンプ
  • ブランドDENON
  • 型番AVR-X6400H
  • 発売日2017年9月中旬
  • 価格¥300,000
【SPEC】●搭載パワーアンプ数:11ch ●定格出力:140W+140W ●実用最大出力:250W ●適合インピーダンス:4〜16Ω ●周波数特性:10Hz〜100kHz (+1,-3dB、ダイレクトモード時) ●入力端子:HDMI×8、コンポジット×5(フロント×1)、コンポーネント×2、アナログ音声×8(フロント × 1、PHONO × 1)、光デジタル×2、同軸デジタル×2 ●出力端子:HDMI×3(モニター × 2、ゾーン2 × 1)、コンポジット×2(モニター×1、ゾーン2× 1)、コンポーネント×1、11.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドホン×1 ●その他の入出力端子:Denon Link HD × 1、Network × 1、USB端子 × 1(フロント)、FMアンテナ端子 × 1、AMアンテナ端子 × 1、セットアップマイク入力 × 1、RS-232C × 1、DCトリガー出力 × 2、リモートコントロール(IR)入出力 × 各1 ●消費電力:750W(待機電力 通常スタンバイ 0.1W 、CEC スタンバイ0.5W) ●外形寸法:434W×235H×393Dmm (アンテナを立てた場合) ●質量:14.5kg
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  • 発売日2017年9月中旬
  • 価格¥300,000