視野角130度、3Dメガネ不要の立体表示技術

次世代裸眼3D技術「ライトフィールドディスプレイ」とは? ジャパンディスプレイとNHK-MTがデモ

編集部:成藤正宣
2017年07月12日
(株)ジャパンディスプレイとNHKメディアテクノロジー(以下、NHK-MT)は、5月19日にプレスリリースを発表した裸眼3Dの新技術「ライトフィールドディスプレイ」に関して、メディア向け説明会を開催した(関連ニュース)。


現在、裸眼で3D映像を楽しめるディスプレイでは一般的に、視聴者の左右の目にそれぞれ違う映像を投影し、その視差から立体感を生み出す「レンチキュラー方式」「パララックスバリア方式」といった「両眼視差方式」が採用されている。以前、東芝から発売されていた「グラスレス3D」レグザに採用されていたのも両眼視差方式だ。

今回デモしたライトフィールドディスプレイで採用されているのは、それらとはまったく違う「ライトフィールド方式」。物体から反射される光をディスプレイ側で再現することにより、映像を立体的に見せる仕組みだ。ライトフィールドというと、同じ名前を冠したカメラがすでに存在しているが、今回の技術に関してはその逆のものという。

また今回開発したライトフィールドディスプレイは、水平方向の視野角が130度と広いことも大きな特徴。複数人でコンテンツを楽しむのにも適している。

人間の左右の目それぞれに違う映像を見せるのではなく、物体から放たれる光を再現して立体的に見せる

ライトフィールドディスプレイに関する技術解説は、NHK-MT放送技術本部映像ポスプロ部CG・VFX副部長の大塚悌二朗氏と、ジャパンディスプレイ次世代研究センター先端技術研究部テクニカルスペシャリストの林宗治氏によって行われた。

NHKメディアテクノロジー 大塚悌二郎氏

ジャパンディスプレイ 林宗治氏

NHK-MTは、20年近く3Dを扱っている企業。昨年は8K3D映像による「VRシアター」を、今年は8K映像とそれにシンクロして動くモーションライドマシンを組み合わせた「VRライド」を制作している。もともとNHK-MTは、4Kディスプレイをベースに視野域30度のライトフィールドディスプレイを開発していたが、2年ほどまえにジャパンディスプレイがこの試作機を見て、ちょうどその頃開発していた8Kディスプレイをベースに共同開発することが決定。これにより130度という広視野角を実現したのだという。

実写コンテンツの制作には通常のカメラが使われ、ターンテーブルに乗せた被写体を複数の角度から数十枚に分けて撮影し、ソフトウェアで画像処理を行う。CGコンテンツもインハウスのソフトウェアで制作可能で、デモでは実写とCGの静止画を表示していた。なお動画表示に関しては、実写は技術的に難しいが、CGならば可能という。

だるまを映した実写デモ。写真では立体感はわかりづらいが、3Dにもかかわらず解像度が高いのはご覧いただけるのではないかと思う


こちらはCGで作られた金魚のデモ
実際にライトフィールドディスプレイの映像を体験してみた。角度に応じて滑らかに見え方が変わり、平面の映像が浮き出ているという印象が薄く、従来の3D映像に比べて実物に近い自然な立体感があった。

同時に解像度を両立している点も特筆したい。今回の17型ディスプレイではおおよそHD程度の解像度があるという。「サイネージや美術工芸品のアーカイブ、教育用途などへの応用を考えている」という解説も納得できる。表示された映像を動画に撮影したので、その雰囲気をご体感いただきたい。


ジャパンディスプレイの8K高解像度ディスプレイとNHK-MTの3D技術が組み合わされることで実現したライトフィールドディスプレイだが、「ベースとなった8Kディスプレイの品位をまだ出しきれていない」(林氏)といった課題があり、開発を継続していくとのこと。製品として市場に出せる時期も未定だが、今後技術に関してより詳しく公開することを予定しているという。​

公開されたライトフィールドディスプレイのデモ機

ディスプレイ側面

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