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分社化による好影響にも言及

【CES】SVP今村氏が語る“BRAVIA”「Android採用」「HDR・ハイレゾ対応」の戦略図

公開日 2015/01/08 12:28 山本 敦
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ーー 韓国メーカーを中心にIoT(Internet of Things モノのインターネット)のキーデバイスにテレビを位置付けながら、多分野の製品カテゴリーをつないで家庭の中でのエコシステムをつくろうとしている。ソニーは白物家電がない中で、テレビを軸としたIoT戦略をどう描いているのか。

今村氏:ご存知のように「オールジョイン(※AllJoyn。クアルコムが開発したデバイス接続技術)」などIoTに関わる議論が進みつつあり、これにソニーも参画している。

ただ一方で指摘いただいたとおりソニー自体が白物を持っていないので、世の中の基準に対してソニーが提供できる“プラスα”の領域を標準化の議論の中で進めていくことになる。そうなればテレビとしては大きな仕組みの中でブラビアが貢献できるように、プラットフォームとソニーとしてそこに貢献できるテレビとプラットフォームに仕上げていく方向性になるだろう。

一方、私たちは白物をもっていないが、逆に白物があってテレビを持っていないメーカーと良い方向でコラボレーションしていく機会もあるはず。大きな動きの中で、ソニーがフィットできるようなストーリーを作っていきたい。

ーー 日本は将来「8K」まで見据えたテレビの開発が進んでおり、他の先進諸国に比べてオンデマンド視聴よりも放送の直接受信視聴率が高い地域。日本だけテレビの進化が全然違う方向に進むことにはならないのか。これからフィジカルの高解像ディスプレイがどうなっていくと見ているのか。

今村氏:「8K」についてはソニーとしての立場と、テレビ事業の立場としてコメントを分けてお答えしたい。いま日本で「8K」が推奨されている背景としては、日本が世界と全く違うことをやろうとしているからではなく、世界のトレンドを牽引しようとする意志の元に展開しているという理解だ。またそうなる必要も感じていし、そこを土台として議論していくべきだ。

8Kパネルのデバイスはプロセスを構築すればできること。そこにどういうコンテンツを表示して、どういう価値を提供できるかを考える場合、リビングで楽しむテレビにマッチしなければ意味がない。それならばパネルや素子をつくることの他にも議論すべき事柄はたくさんあると思う。現に4Kの中でも議論の余地は残っている。一つ一つを大事に進めていくことが必要だ。

インフラに目をやれば、日本は世界における光ファイバーの先進国だ。高速のバックボーンを持ったインターネット回線による情報技術が、日本が次世代で躍進するための鍵を握っている。地上波・サテライト経由の情報とIPインフラを活かした情報、それぞれでどうやって4K/8Kを表示するのかという議論に時間をかけるべきだし、それが上手くできれば日本は今後、先進的な提案やソリューションを世界に発信できる立場になるだろう。

ーー テレビの未来を考えたときに、その姿がどうなっていて、さらにそれが収益に結びつくものであるのか、イメージを聞かせて欲しい。

今村氏:まだ内部でも議論が完璧に終わったわけではないが、私が考える将来のテレビの姿は「感動を映し出す窓」だ。理想を描くのであれば、窓すらなくなる、つまり「テレビの枠」がなくなるということではないだろうか。現在は放送フォーマットを主体とした基準が映像の解像度やテレビのカタチを決めている。今後のテレビは超高速インターネット環境が整って、「テレビの枠」が取り払われるようになるだろう。

テレビジョンとは“遠い場所を見る”という意味で、テレビはさまにそのための箱だったが、やがては枠が無くなるとみている。そうなったときに取り組むべきポイントは表示デバイスではない。単純に大きな箱を良くしていくのではなく、そこに映し出されるエンターテインメントを活かしながら、臨場感や没入感をつくりだしていくということ。その結果としてお客様に感動していただくことだ。ビジュアルプロダクトの進化はかくあるべきだと思う。

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