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オーディオ製品の強化も宣言

【CES】サムスン、次世代の4K体験を実現する「SUHD」テレビを発表

2015/01/06 山本 敦
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サムスンは5日に開催された2015 International CESのプレスカンファレンスでUHDテレビの新ラインナップを発表。“次世代の4K体験”を提供する「SUHDテレビ」としてブランド展開する。

次世代の4Kを超える体験を「SUHDテレビ」が提供する


SUHD TVを発表

“次世代の4K体験”を実現する新製品として発表された「SUHD」テレビ。左側はJoe Stinziano氏
サムスンは現在、日本市場でテレビ製品を展開していないが、北米やヨーロッパを中心に、薄型テレビで世界トップクラスのシェアを誇る人気のブランドだ。UHD(=4K)の製品ラインナップ、およびコンテンツの拡充にも取り組みながら、「UHDテレビ=サムスン」のイメージ確立しようとする積極的な“攻めの姿勢”が強く伝わってくるプレスカンファレンスだった。


Tim Baxter氏
冒頭に登壇したSamsung Electronics America社プレジデント兼COOのTim Baxter氏は、「サムスンはUHDテレビの市場をリードしてきたブランド。商品ラインナップの充実を図りながら、パートナーとともに500を超える4Kコンテンツをオンラインより提供してきた。米国内に8,000を超える体験コーナーを設けて、4Kの魅力をコンシューマーに伝える活動にも注力している。その成果として、米国内での4Kテレビのシェアは現在60%に到達。テレビ製品全体のマーケットシェアも5%アップした」と語る。

4Kテレビの積極的なプロモーションにより、米国内でのサムスンの4Kテレビのシェアは現在60%に到達。テレビ製品全体のマーケットシェアも5%アップした

15年は4Kテレビの市場がさらに伸びると予測

中でも曲面ディスプレイを搭載する、いわゆる“Curved TV”の売れ行きが好調だ。現在それは4Kテレビ全体の売上の半分を占めるほどに成長しているという。「好調ぶりからコンシューマーの期待感が高いことが明確に読み取れた。2015年は前年比で、UHDテレビが4倍成長すると見ている。Curved TVのラインナップも強化したい」(Baxter氏)

Baxter氏はさらに、今後UHD市場のさらなる飛躍を実現するため、サムスンのプロダクトラインも一層魅力的なものにしていく必要があると強調する。そのために「SUHD」の新ブランドを立ち上げた。「SUHD」の“S”にはSpecial、Smart、Stylish、Sensationalなどの意味が込められているようだ。JS9500、JS9000、JS8500の3シリーズを揃え、48V型から88V型まで9つのサイズを展開する。続いて登壇した同社Executive Vice PresidentのJoe Stinziano氏が、「SUHD」ブランドの下に展開する今年の4Kテレビ新製品の特徴を紹介した。

映像エンジンに新しい「SUHD re-mastering engine」を搭載したことが最大の特徴になる。Stinzano氏は「サムスンはホームエンタテインメントの分野で9年連続トップリーダーの座を堅持している。さらに優れたテレビ視聴体験を実現するため、映像エンジンの刷新を図った」と説明する。


SUHDテレビでは既存のテレビ製品の約64倍という高い色再現を実現しているという

通常の4KテレビとSUHDテレビの画質比較のイメージ
パネルには量子ドット技術による蛍光体を配置。ナノ結晶の大きさによって異なる色を発光させる技術により、既存のテレビ製品の約64倍という高い色再現を可能にする。re-mastering engineの高精度な制御技術によって画面輝度を正確にコントロールすることで、より優れたコントラストレベルと既存のテレビ製品の約2.5倍にも上るピーク輝度を実現しながら、セットとしての消費電力も低く抑えられる効果がある。

「次世代のUHD体験を実現するためには、新しいUHDエコシステムをつくる必要がある」とStinzano氏は説く。4K産業の発展のため、ハリウッドのメジャースタジオやコンテンツディストリビューター、サムスンなどテレビメーカーが加わって設立された「UHD Alliance」では、今後デバイスからコンテンツまで一貫された次世代のUHD体験のためのプラットフォーム構築を実現するため、統一基準の策定などエコシステムづくりを推進していくという。なお日本からはパナソニック、シャープがアライアンスに参加している。

サムスンのカンファレンスには、アライアンスを代表して20世紀FOXのPresident of Home EntertainmentであるMike Dunn氏が出席した。Dunn氏は「今後私たちが制作したリッチな4Kコンテンツを、サムスンのSUHDテレビで多くのコンシューマーが体験できることに大きな期待感を抱いている」と喜びを語った。今後アライアンスに参加するメンバー企業により、それぞれのエコシステム内で最適化された視聴環境の実現に向けた活動が展開される。Dunn氏は「Fox Innovation Labでは幾つかの人気作品について4Kリマスターを完了しており、SUHDテレビなどの製品で最高の映像体験が味わえるようになるだろう」とコメントする。

「UHD Alliance」のメンバー企業

SUHDテレビでは他にもAmazonインスタントビデオやComcast、DIRECTV、M-GOなどのコンテンツプロバイダーから提供される4K配信が楽しめるようになるという。M-GOでは、SUHDテレビが対応する4K動画ダウンロードサービスも2015年から北米地域で展開を予定している。コンテンツ保護はSCSA(Secure Content Storage Association)の規格に準拠しているため、セキュアで快適に視聴が楽しめることもメリットとして上げられている。


右がYves Behar氏

J9Wシリーズ
北米市場で人気が上昇しているという曲面ディスプレイは「JS9500」シリーズ、JS9000シリーズが採用。上位のJS9500は“Chamfer(面取り)bezel design”と呼ばれるフレームデザインにより、映像に奥行き感を与えるとともに、「テレビのデザインを芸術作品のレベルにまで高めた」(Stinzano氏)モデルだという。「JS9000」シリーズも背面にテクスチャーを付けてスタイリッシュに仕上げている。会場にはプロダクトデザイナーであるfuseproject社のYves Behar氏も駆けつけ、自身が手がけたサムスンの曲面ディスプレイ搭載テレビ「J9W」のデザインコンセプトを紹介。「機能美だけでなく、彫刻やインスタレーションのようにインスピレーションが感じられるデザインに仕上げた」と胸を張った。


SUHDテレビにはTizen OSベースのスマートテレビ機能が搭載される
新しいSUHDテレビはプラットフォームにTizen OSを採用したことも特徴だ。オープンソースのプラットフォームにより、専用アプリの開発にサードパーティが参加しやすいことや、サムスンが独自にエコシステムを構築できることから、コンシューマーに統合されたエンターテインメント体験が提供できるメリットがもたらされるという。その一例には、スマートフォンのGALAXYで視聴している動画をテレビへ素速く転送できる「QUICK CONNECT」などの連携機能がある。

他にもSUHDが対応するサービスとして、先に広報発表も行われた、SCEが提供するクラウドベースのストリーミングゲームサービス「PlayStation Now」のサポートも予定されている。


オーディオ製品の強化も宣言

テレビ製品に関連した取り組みのほかにも、Stinzano氏は今後さらにサムスンのオーディオ製品のレベルアップに注力していく方針を掲げた。ロサンゼルスに新たなオーディオ専用のR&Dセンターを設けて積極的に高品位なオーディオ製品の開発に取り組んでいくという。

SAMSUNG AUDIO LABを新設し、オーディオ製品の強化にも乗り出す

スピーカーWAM7500/WAM6500シリーズを発表

その第一弾の製品として紹介されたのは、リングラジエータータイプのユニットを内蔵する無指向性スピーカー「WAM7500」シリーズ。単体で立体的な音場を再現できるところが特徴だ。サムスンが北米で展開するモバイル端末向けの音楽ストリーミングサービス「Milk Music」と連携した音楽再生も楽しめるという。

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