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2D/3D画質がさらに進化。ネット機能も充実

パナソニック、「フル・ブラックパネル II」搭載のプラズマ“VIERA”最上位「VT3シリーズ」

公開日 2011/02/03 14:30 ファイル・ウェブ編集部
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パナソニックは、プラズマテレビ“3D VIERA”の新たなフラグシップシリーズとして、新パネル「フル・ブラックパネル II」搭載によりさらに3D/2D画質を高めたVT3シリーズ3機種を3月18日に発売する。

・50V型「TH-P50VT3」¥OPEN(予想実売価格38万円前後)
・46V型「TH-P46VT3」¥OPEN(予想実売価格31万円前後)
・42V型「TH-P42VT3」¥OPEN(予想実売価格24万円前後)

“3D VIERA”VT3シリーズ

TH-P50VT3

VT3はVT2の後継に位置づけられる、同社プラズマテレビの最上位シリーズ。地上/BS/110度CSデジタルチューナーを2基搭載し、パネル解像度は1,920×1,080。2D表示だけでなく3D表示にも対応する。ただし3Dメガネは同梱しない。

■新パネル「フル・ブラックパネルII」を搭載

VT3の最大の特徴は、新プラズマパネル「フル・ブラックパネルII」を搭載したこと。これと高画質化技術の組み合わせにより、3D映像/2D映像の高画質化を実現した。

まず、蛍光体に「新高輝度・短残光蛍光体」を採用。VT2も短残光だったが、これに加えて輝度を向上させたことが新しい。もちろん、これまでの「ダイナミックブラックレイヤー」「高濃度キセノン放電ガス」などの技術も継承している。

また電極構造も新しくし、「フィッシュボーン構造」を採用。文字通り魚の骨の様な構造のもので、これまでのストレート構造が大きく放電するため放電ロスが大きかったのに対し、フィッシュボーン構造では細かく放電を行うために静電容量成分が減り、効率の良い放電が可能になる。発光効率は昨年のパネルに比べ15%向上したという。

「新高輝度・短残光蛍光体」や電極の新構造「フィッシュボーン構造」を採用

さらに、予備放電レスの発光方式も引き続き継承。これらの工夫により、ネイティブコントラスト比は500万対1を実現した。VT2と数値上は同じだが、これは、500万対1以上のコントラスト比を正確に測定することが難しいことが理由という。

上記「新高輝度短残光蛍光体」「フィッシュボーン構造」は、下位シリーズのGT3の「ブラックパネルII」にも採用されている。VT3とGT3の違いは、パネル前面のフィルターに「低反射ディープブラックフィルターII」を備え、明所コントラスト(100ルクス時)をVT2シリーズ比で約1.4倍に高めたことだ。

「低反射ディープブラックフィルターII」を搭載

なおGT3のフィルターは「低反射ブラックフィルターII」で、「ディープ」の文字が省かれており性能も劣るが、明所コントラスト比は「VT2よりも若干上」(同社説明員)という。

■「フルHD動画解像スピード」1,200ppsを実現

同社が以前から指標としていた動画解像度では、昨年モデルから引き続き1,080本を実現。

さらに次世代PDP開発センター(APDC)が新たに発表した、画面の動きを速めた際にどこまでフルHD解像度で楽しめるかという新指標「フルHD動画解像スピード」では、1,200pps(pixel per second)を実現。左右方向へ1秒間に1,200ピクセル分スクロールする映像でも、解像度1080TV本を正しく認識することができるという。同社の測定では、昨年の2Dモデル、V2シリーズは800pps程度だったとのことで、これに比べて動画性能が1.5倍に向上したと説明している。

「フルHD動画解像スピード」で1,200pps(pixel per second)

同社のVIERAシリーズのフルHD動画解像スピードの一覧

■3Dのクロストークをさらに抑える2つの新技術

3D映像の高画質化には、左眼用、右眼用の映像が、残像により混じってそれぞれの目に届いてしまい、二重像として見える「クロストーク」の低減が重要。同社では以前から、プラズマパネルの応答速度の速さが、クロストーク低減に適しており、3D映像の高画質化を実現できると主張している。

昨年の3D対応モデルでは、短残光の3D対応「高密度蛍光体」を使用することで残光時間をV2などの2Dモデルに比べ約1/3に短縮。またパネルの発光制御を、従来の「暗→明」から「明→暗」にすることでも、残光時間の短縮を実現。クロストークの少ない3D映像を可能にしていた。

従来からの3D高画質化技術を継承

ただし同社では、「これまでの3D対応モデルでもクロストークはかなり抑えられたと自負しているが、特定のシーンや画面では完璧とは言い難かった」と説明。さらにクロストークを低減するため、新たに2つの新技術を採用した。どちらもシーンを解析し、適応的に処理を行うものだ。

今回のプラズマVIERAでは新たなクロストーク低減技術を搭載している

一つ目の技術は新たな発光制御。暗いシーンに比べ、明るいシーンでは明暗差を感じにくくなるという、人間の視感度特性に注目したものだ。

明るいシーンの場合、従来の発光制御では明るい信号の残光が発生してクロストークが出ることがあったが、新たな独自アルゴリズムの発光制御では、人間の目には明るさ感が同等に感じられる範囲で発光を早めに止め、クロストークを低減する。

人間の視感度特性を表した図。明るいシーンでは明暗差を感じにくい

視感度特性を利用し、明るいシーンでは早めに発光を止め、クロストークを抑制する

もう一つの技術は「適応型クロストークキャンセラー」。前の映像の残光が次の映像の信号に加わることでクロストークが発生するが、これは中間色で発生しやすい。このキャンセラーでは、中間色と判別した場合にあらかじめ残光を予測。残光分を次の信号から引いて補正することで、クロストークを抑える。

適応型クロストークキャンセラーの概念図

■24pソースの滑らかな3D再生を実現する「3Dシネマスムーサー」

3D再生では、3D映画など24フレーム×2chの映像を3D視聴する際、自動的に中間フレームを生成する「3Dシネマスムーサー」機能を新たに搭載した。これまでのモデルで24フレームの3D映像を入力した場合、2-3プルダウンにより60フレーム×2chに変換して表示するのがデフォルトだった。この場合、奥行き感が急激に変化することがあり、不自然な映像になることもあった。そのほか、同じコマを2回表示する方法も用意されていたが、ジャダーやフリッカーが感じられることも多かった。

今回の「3Dシネマスムーサー」は、前後フレームを参照して中間コマを生成。この処理を左眼用、右眼用の映像それぞれに行い、24p映像であっても滑らかな動きと奥行きの自然な変化を両立させることができるという。

3Dシネマスムーサーの概念図

以前から、中間コマを生成することで24p映像を滑らかに見せる技術は2D用に存在したが、3Dシネマスムーサーはこれを3D映像に拡張したものと言える。補間精度についても「もともと無いところにコマを作るので副作用が皆無とは言えないが、できるだけ感じられないよう作り込んでいる」(同社)という。

また、これも新しい技術として、サイトバイサイドやトップアンドボトムの3D映像を視聴する際、テレビ側で方式を自動判別し、切り替える機能「3D方式自動認識機能」を備えた。これまではサイドバイサイドなどを個別に指定する必要があった。同機能は3D自動切り替えが「オン」の時に動作する。

そのほか3D関連機能では、リモコンの「3Dボタン」を押すことで2D-3D変換が可能。変換した映像の奥行きを調整することもできる。またBlu-ray 3Dなど3Dソフトの映像の奥行きをオフセット調整する機能も装備する。

リモコンは今回発表されたVIERA新モデルすべてで共通

フラップを開けたところ

■多くの高画質化技術を搭載

環境光センサーと連動した映像の自動調整機能も装備。明るさや黒レベル、色温度を最適に整えるほか、VT3シリーズでは明るい場所でも暗い箇所が黒つぶれしないよう、「暗部補正システム」でコントラスト感を調整する。

さらにSD画質の放送やネット動画、ゲームなどの低解像度のコンテンツを、自動で高解像度化処理する機能も搭載している。

映画オリジナルの色を再現する「ハリウッドカラーリマスター」機能も引き続き搭載。BDやDVD、テレビ放送の色域を、圧縮と逆のプロセスを行うことで広色域化し、豊かな色合いを実現する。なおハリウッドカラーリマスターは、ブルーレイDIGAの「ハリウッドクリアカラー」と組み合わせると、相乗効果でさらに画質が高まるという。

そのほか、色や明るさをきめ細かく制御する「デジタルカラー・リアリティ技術」、新開発の18ビットデジタル信号処理、肌色を正確に再現するための3次元色空間補正やコントラスト補正、前後の映像との整合とを図りながら制御する「コントラストマネジメント」、映像パターンを高精度に分析し、ディテールを高める「インテリジェントエンハンサー」、デジタル放送のMPEGノイズを抑える「HDオプティマイザー」など、多種多様な高画質技術を備えている。

■高音質技術も充実

スピーカーは2.1chで、フロントスピーカーはディスプレイ部の下に、下向きに取り付けられている。ウーファー部は背面に内蔵している。

さらに、バーチャルサラウンドシステムの新技術「バーチャル3DサラウンドシステムII」を搭載。長年にわたる音響伝達関数の詳細な分析と音像の研究から、周波数スペクトルを用いた新たな周波数制御アルゴリズムを開発し、同技術に応用した。

「バーチャル3DサラウンドシステムII」を搭載

■USB-HDDだけでなくSDメモリーカード録画にも対応

録画機能も充実させた。本体にHDDやBDドライブは内蔵しないが、外付けUSBハードディスクへの録画が行えるほか、SDメモリーカードへの録画にも対応した。どちらでも裏番組録画が行える。

USBハードディスクだけでなくSDカードへの録画にも対応した

なおUSBハードディスクやSDメモリーカードへ録画した番組は、基本的に録画したテレビでしか視聴が行えない。ただし対応のDIGAにLAN接続することで、USBハードディスク内の録画番組をDIGAにダビングし、保存することは可能だ。

なおUSBハードディスクは最大8台まで登録ができ、それぞれ名前を付けることが可能。VT3シリーズはUSB端子を3系統備えているので3台のUSBハードディスクを接続できるが、ハブによる複数台接続は原則として行えない。

USBハードディスクへの録画、SDメモリーカードへの録画とも、放送のMPEG-2映像をそのまま録画する「標準」モードのほか、ハイビジョン映像のまま圧縮して録画する「長時間モード1」「長時間モード2」の計3モードを用意している。長時間モード1は約6Mbps、長時間モード2は約3Mbpsとなる。記録フォーマットは独自のものを採用している。たとえば64GBのSDXCカードに長時間モード2で録画した場合、約46時間の録画が行える。オートチャプター機能も装備し、見たいシーンを素早く探すことができる。

SDカードへ録画設定を行っているところ。録画モードも選択できる

SDカードやUSBハードディスクの録画時間の目安

SDメモリーカードへの録画操作は、EPGから録画したい番組を選択するほか、番組の視聴中にリモコンの「録画」ボタンを押すことで行える。またリモコンの「静止」ボタンを押すと、番組のキャプチャー写真を保存することが可能。なおUSBハードディスクの録画も、SDメモリーカードへの録画と同様の操作で行える。

録画した番組は「らくらくアイコン」から入れる機能「メディアプレーヤー」で再生が可能。単体ビデオレコーダーのように、サムネイル付きで録画番組がリスト表示される。番組のキャプチャー画面については、同じく「らくらくアイコン」の「画面メモ一覧」から表示・確認することができる。

画面下部に表示されているのが「らくらくアイコン」

「メディアプレーヤー」でドライブを選択する画面


同じくコンテンツを選ぶ画面

SDカードに録画した番組一覧を表示したところ

■ネット機能「テレビでネット」が進化

同社では、以前から「テレビでネット」という名称でインターネットサービスを展開しているが、これがV3シリーズでは大幅に機能が向上する。

本シリーズの「テレビでネット」は、同社が今年1月のInternational CESで発表した「VIERA Connect」(ニュースリリース)と基本的には同じもの。リモコンの「ネット」ボタンを押すことでアクセスできる。

「テレビでネット」のホーム画面

GUIは三次元で、奥行き方向で画面を切り替えると表示アプリも切り替わる

独自のプラットフォームを構築し、APIやSDKを公開することでプラットフォームのオープン化を推進。外部ベンダーの参入を容易にする。もちろん、アプリは後から追加したり削除したりすることができる。

なお、米国ではアプリやヘルス&フィットネス機器、ゲームコントローラーなどの機器を購入できるオンラインショッピング機能「VIERA Connect Market」を展開する予定だが、同種の機能を国内で提供するかどうかは未定という。

GUIは3次元で、奥に進んだり手前に戻ったりしてページを移動でき、表示されるアプリが切り替わる。アプリの表示位置は設定画面で変更することもできる。操作はリモコンで行える。

radiko.jpなど様々なアプリが提供される予定

アプリの表示/非表示、表示位置などをカスタマイズできる

テレビでネットの初期段階では「アクトビラ ビデオ・フル」「YouTube」「TSUTAYA TV」「Skype」「3D体験コーナー」などのサービスを用意。3月には「ひかりTV」「Club Panasonic」「Twitter」「Picasa  Web Albums」や各種カジュアルゲームが、4月以降には「radiko.jp」「Yahoo! オークション」「Ustream」「Dailymotion」「Facebook」「AccuWeather」が利用できるようになる。

そのほかネット機能では、Skypeに引き続き対応。別売りのカメラ「TYCC10W」を接続することで、最大720pのビデオ通話が行える。

なお、無線LAN機能は内蔵していない。Wi-Fiに接続するためには同社の無線LANアダプター「DY-WL10」などを利用する必要がある。

■新リモコン採用で使い勝手も向上

リモコンは新デザインのものを採用。放送切り替えボタンは地上デジタルと地上アナログが統合されて「地上」となり、それに並列して「ネット」ボタンが加わった。またSDカードに画面キャプチャーを保存する「静止」ボタンも新設された。さらに、これまでHDDやBDを内蔵したVIERAにしか装備していなかった、録画番組の走行系のボタンも新たに配置された。

EPGは最大12時間分の番組が表示できる「インテリジェントテレビ番組ガイド」で、表示チャンネル数は3/5/7/9/11/15/19チャンネルで切り替えが可能。番組ジャンル別の色分けに対応しているほか、1つの放送局の番組表を、時間帯別に8日分表示する機能も備えている。

「インテリジェントテレビ番組ガイド」

また、Gガイドのサービス「注目番組」で最大1ヶ月先までの番組情報を検索できるほか、ジャンル/キーワード/人名による番組検索も行える。

映像入力端子はHDMI端子が3系統、D4端子が1系統、コンポジットビデオが2系統。PC用にミニD-Sub 15ピン入力も備える。USB端子は3系統。光デジタル音声出力端子1系統、ヘッドホン/イヤホン端子1系統も装備している。

■デザインコンセプトは「Reveal Design」

デザインコンセプトは「Reveal Design」。どこまでも続くフラットな水面から、ピュアな映像や音声が溢れ出てくるというイメージのもと、「何もなかったところから突然現れるような機能美」を表現するため、一枚仕立てのフルグラスフェイスデザインを採用したという。

VT3シリーズでは狭ベゼルのデザインを採用したほか、設置スペースと安定性を考慮し、コンパクトかつ低重心なデザインとした。またベゼルの周りにシルバーの縁取りが施されている点も特徴だ。

ベゼルが狭くなったこともデザイン上の特徴

【問い合わせ先】
パナソニック お客様ご相談センター
TEL/0120-878-365

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製品スペックやデータを見る
  • ジャンルプラズマテレビ(ディスプレイ)
  • ブランドPANASONIC
  • 型番TH-P50VT3
  • 発売日2011年3月18日
  • 価格¥OPEN(予想実売価格38万円前後)
【SPEC】●画面サイズ:50V型 ●画素数:1,920×1,080 ●コントラスト比:500万対1 ●受信チャンネル:地上デジタル、BSデジタル、110度CSデジタル、地上アナログ ●音声実用最大出力:総合22W(JEITA) ●入出力端子:HDMI×3、D4入力×1、ビデオ入力×2、D-Sub15ピン入力×1、光デジタル音声出力×1、ヘッドホン出力 ×1、LAN端子(10BASE- T/100BASE-TX)×1、USB端子×3 ほか ●外形寸法:1,202W×733H×335Dmm(スタンドあり) ●質量:約35.0kg(スタンドあり)
  • ジャンルプラズマテレビ(ディスプレイ)
  • ブランドPANASONIC
  • 型番TH-P46VT3
  • 発売日2011年3月18日
  • 価格¥OPEN(予想実売価格31万円前後)
【SPEC】●画面サイズ:46V型 ●画素数:1,920×1,080 ●コントラスト比:500万対1 ●受信チャンネル:地上デジタル、BSデジタル、110度CSデジタル、地上アナログ ●音声実用最大出力:総合22W(JEITA) ●入出力端子:HDMI×3、D4入力×1、ビデオ入力×2、D-Sub15ピン入力×1、光デジタル音声出力×1、ヘッドホン出力 ×1、LAN端子(10BASE- T/100BASE-TX)×1、USB端子×3 ほか ●外形寸法:1,116W×730H×335Dmm(スタンドあり) ●質量:約31.5kg(スタンドあり)
  • ジャンルプラズマテレビ(ディスプレイ)
  • ブランドPANASONIC
  • 型番TH-P42VT3
  • 発売日2011年3月18日
  • 価格¥OPEN(予想実売価格24万円前後)
【SPEC】●画面サイズ:42V型 ●画素数:1,920×1,080 ●コントラスト比:500万対1 ●受信チャンネル:地上デジタル、BSデジタル、110度CSデジタル、地上アナログ ●音声実用最大出力:総合22W(JEITA) ●入出力端子:HDMI×3、D4入力×1、ビデオ入力×2、D-Sub15ピン入力×1、光デジタル音声出力×1、ヘッドホン出力 ×1、LAN端子(10BASE- T/100BASE-TX)×1、USB端子×3 ほか ●外形寸法:1,018W×664H×320Dmm(スタンドあり) ●質量:約27.0kg(スタンドあり)