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ケースイが覗いたNHKシンポジウム:「岐路に立つテレビ」

進まぬデジタル放送移行、総務省と国民の意識のズレ − アナログ停波までに何が必要か

公開日 2009/04/21 19:19 鈴木桂水
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■総務省と国民の「デジタル放送」に対する温度差を実感

テレビは昨年からクイズ番組が増え、さらに今春の改編では長尺の帯番組が急増した。出演者を変えるだけで、同じセットが使える帯番組なら制作費が抑えられるのだろう。ドキュメンタリーやロケをメインとした情報番組が好きな筆者は、もっぱらスカパー!のディスカバリーチャンネルとナショナルジオグラフィックテレビなどを視聴する機会が増えている。

ハイビジョンで画質が良くなり、レコーダーの性能も(番組追跡機能はアナログ機に軍配が上がるが)向上したというのに、筆者にとって録画欲を満たす番組が減ったのは寂しい限りだ。今回のシンポジウムで、手の込んだ番組、見応えのある番組が減った原因に触れられたのは収穫だった。

アナログ停波に関しては、総務省と国民にかなりの温度差があることをあらためて確認できた。録画マニアの筆者個人の印象だが、高画質になったことのメリットよりも、コピー制限による不便さは、いまだに納得できない。堺屋氏のコメントで「デジタル放送のメリットが伝われば自然に普及する」という部分に、筆者も同感だが、正直デジタル放送自体にそれほど魅力があるとも思えない。よくデジタル放送のメリットとして「双方向通信」や「データ放送」が挙げられるが、実際に使ってみるとデータ放送の内容は薄っぺらく、双方向通信の番組など目にすることもない。一番は大画面での高画質だが、20型クラスのテレビで十分という人に高画質のメリットは感じられないだろう。

とはいえ、今回のシンポジウムで、アナログ停波まで残り2年をどう過ごすのか、見えてきたように思う。とくに2011年7月の直前に、アンテナ工事のラッシュがやってくることは確実なので、まだデジタル化ができていないのなら、年内中に何らかの策を建てるべきだろう。今回のシンポジウムは'09年5月31日18時よりNHK教育テレビ「日曜フォーラム」で放送予定だ。


レポート:鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら

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