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「PLAYSTATION3」のBDビデオ再生“画質”をチェック − レコーダーにひけをとらないクオリティ

公開日 2006/11/11 08:35
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本日、ソニー・コンピュータエンタテイメントから家庭用ゲーム機のPLAYSTATION3(以下、PS3)が発売された。この製品はオーディオ・ビジュアルファンから見れば、49,800円から購入できるBDビデオプレーヤーとしても考えられる。発売に先だって、BDビデオの再生画質が固まった最終仕様機をチェックすることができたので視聴レポートをお届けしよう。

PLAYSTATION3

スロットローディング機構を採用。レスポンスは良好

曲線を描くボディライン。表面は鏡面仕上げ


縦置き時。PSマークはこれまでと同様回転する

真ん中に「PLAYSTATION3」のロゴマーク

モニターにはソニーの「KDL-46X2500」を使用

●BDプレーヤーとしての実力は十分

注目のBDビデオ再生からテストしてみよう。なお、今回は視聴に使ったモニタが取材先で用意されたソニーのBRAVIA「KDL-46X2500」で、ほかの製品と画質を比較している部分についても環境が異なる状態で視聴していることをまず断っておきたい(BDレコーダーを使って視聴した際にはパイオニアのPDP-5000EXを使用していた)。接続はHDMIケーブルを使い、1080pで映像を出力して視聴した。

バージョン1.3のHDMI端子などを装備

上位機の60GB HDDモデルにはメモリーカードスロットも装備する

再生はPS3のディスクドライブにディスクをセット。操作メニューのXMB(クロスメディアバー)の「ビデオ」に表示されたBD-ROMを選ぶと再生がスタートする。ちなみにスロットイン型のためカートリッジ型のBD-REが入らないことは一目で分かる。

さて気になるBD-ROMの再生画質だが、想像以上に良いというのが率直な感想だ。「50回目のファースト・キス」(SPE)、「プロデューサーズ」(SPE)、「ホーンテッドマンション」(ブエナ・ビスタ)など国内版複数タイトルのサンプルを持ち込んで視聴したが、BD作品ならではの細部までクッキリとした精細感も十分出ている。階調の表現も自然だ。

画質をチェックする折原一也氏

持参したBDビデオでじっくり画質を見極める

BDレコーダーを使って画質をチェックした際、奥行きの表現に表現に優れるタイトルとして注目していた「ホーンテッドマンション」は、先日視聴したばかりのBDレコーダーと比較して僅かに輪郭が甘く、暗部の階調の粘りが厳しく見えたが、これはモニターの違いによるものかもしれない。

現状ではBDプレーヤーがほとんどないが、PS3で見たBDビデオの映像は十分過ぎるほど美しい。少なくとも、PS2のDVDプレーヤーを再生したときのようなガッカリ感(あくまでも現在のDVDプレーヤーの水準で見た場合だが)はなく、これが49,800円から購入できると考えるとROMプレーヤーとしてのコストパフォーマンスの良さは相当なものである。


●レスポンスは高速、ポップアップメニューの操作も使いやすい

もう一つPS3のBDプレーヤーの特徴として触れておきたいのが、再生時の各種コントロールの使い勝手だ。

BDビデオのメニューはどれも本編映像を再生しながら開けるようになっているが、このメニューはもちろんPS3のコントローラー(ちなみに標準付属のものはBluetooth接続のワイヤレス仕様)から操作できる。BD-ROMのメニューは本編を再生しながらポップアップメニューが採用されている、この呼び出しが□ボタンに割り当てられ再生中すぐに呼び出せる。

BD再生の各種機能をワンタッチで呼び出すことができる

視聴に使った各タイトルを操作したところ、この時の操作感はゲームをプレイしている際のメニュー操作に近いというのが第一の印象。メニューを気軽に呼び出せることは思いのほか便利に感じる点で、気軽に呼び出せて高速に動作する点は嬉しいポイントだ。その他の操作は基本的にPS2のDVDプレーヤーと共通で、コントローラを使った操作に違和感がなければ一般的なAV機器のリモコンよりよほど使いやすいだろう。

ちなみに再生中の騒音については、無音とまでは言わないが、ほどよく押さえられているという程度の印象だ。PS3本体がある程度熱を持つことは確かで、ファンによる排熱の温度も比較的高いが、ファンの回転音はBDビデオ再生時には気にならない程度に押さえられている。この程度の動作音は一般的なDVDレコーダーにもあるものであり、AV機器としての水準はクリアしている。


●映像、音声の設定は手動で切り替えられる

ビデオ関連の各種設定は、映像出力はHDMIを使った場合は基本的に自動認識で解像度を設定。手動の設定にも対応している。D端子も最大D5まで出力できるなど、細かなところまでの設定を行える。

現在選択している出力解像度はXMBからすぐに確認できる

テレビへの出力端子は上記から選択可能


一通り選択が終わると設定を保存できる

チャンネル数やサンプリング周波数ごとに、再生可/不可を選択できる
BD音声出力フォーマットは、HDMIと光デジタルそれぞれに対して「ビットストリーム」「リニアPCM」を選択。この時も、チャンネル数やビットレートなどを、一つ一つ再生できるか手動でチェックしていくこともできる。このほか字幕優先する字幕言語なども選べる作りになっている。

●SACDの再生、音楽CDの取り込みにも対応

音楽関連の機能は、テレビ内蔵スピーカーでしか視聴できなかったので機能面を中心に簡単に紹介していこう。

PS3は、音楽CDだけでなくSACDの再生にも対応している。SACDをセットしたところ「ミュージック」カテゴリにディスクアイコンが追加され、CD層、SACD層(ステレオ)、SACD層(マルチ)と明示される。音楽CD層は、△ボタンで開けるサブメニューからHDDへの取り込みが可能だ。取り込みにかかる時間は圧縮形式、ビットレートなどによって異なるが1トラック1分程度を目安と考えたい。取り込んだ音楽はフォルダ化して追加され、そのまま再生できるためミュージックサーバーとしても使用できる。取り込む形式はMP3/AAC/ATRACの3方式を設定して使用できる。

音楽再生時のメニュー画面

音楽CDをHDDに取り込むことも可能

取り込む際のビットレートは、写真の通り非常に豊富な選択肢を用意している

●BDプレーヤーとして欲しい一台

今回レポートしたとおり、AVファンから見たPSは、BD再生機能を中心にクオリティ面での不安もなく完成度は十分高い。エントリー機が49,800円、上位機種も実売62,790円程度とAV機器としては破格の価格も魅力的であり、これから買うのならブルーレイといういうことを強烈に印象付けてくれる。

PS3はゲーム機の常として発売当初は出荷台数が追いつかずしばらくの間は入手困難になることが予想されるが、在庫が落ち着くころにはBD-ROM作品タイトル数も増えBDプレーヤーとしての活躍の機会も広がっているはずだ。

(折原一也)

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