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編集部の“Wooo”「PJ-TX200J」集中レポート(1)プロフィール&画質インプレッション

2005/11/30
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今年も各社から最新の液晶プロジェクターが出揃った。中でも注目なのは720pパネルを使用した液晶プロジェクターで、このクラスは毎年話題の新モデルが機能向上に鎬を削り、激戦が繰り広げられている。

従来、液晶プロジェクターは黒浮きなどが課題として挙げられることが多かったが、最近ではレンズやランプ部にアイリス(絞り)機構を設けることにより、数値上はDLP方式などに迫るコントラスト比を得られるようになった。今年の720p系プロジェクターは、ほぼすべてがこの機構を備えており、目覚ましい画質の進化を遂げている。

私事になるが、編集子の自宅には、4年前に発売されたVGAクラスのホームシアター用液晶プロジェクターが設置されている。当時はかなり話題になった製品だが、この数年の間の画質の進化にすっかり取り残されてしまっていた。ふだん、編集部の視聴室では、超ハイエンド機を含めて様々なプロジェクターの画に触れているが、自宅に実機を持ち込み、映像を投写してみたら、また違った感想が得られるのではないか。そんな考えから今回、最新プロジェクターの中から“Wooo”「PJ-TX200J」をピックアップし、長期試用することにした。全3回の短期集中連載で本機の実力を明らかにしていきたい。

レンズへのこだわりは“Wooo”プロジェクターの伝統


PJ-TX200J
本機は、Woooブランドの液晶プロジェクターとして3代目にあたるモデルだ。初代の「PJ-TX10」は2003年に、2代目の「PJ-TX100J」は2004年に発売された。他社モデルと同様、1年に1回のモデルチェンジを果たしている。

液晶パネルは、セイコーエプソンが開発する「D5」パネルを採用。解像度は1280×720だ。これはソニー以外の720p液晶プロジェクターがこぞって採用しているもので、ここでは性能差を出しようがない。このパネルの性能を引き出すレンズ性能、アイリス機構、映像回路などが、画質の善し悪しを決定する。


PJ-TX200Jのレンズ部
10Jから200Jまで、Woooブランドのプロジェクターが一貫してこだわり続けているのは、投写レンズの性能だ。10Jでは、「Woooワイドズームレンズ」と名付けられた光学2倍ズームレンズを搭載。初代機ながら、すでに他社モデルを圧倒する光学性能を有していた。

2代目の100Jでは名称を「Woooハイビジョンレンズ」と変え、高価なED(超低分散)レンズを4枚も使用するなど、さらにレンズの性能を高め、フォーカス性能と明るさを上げることに成功した。ズーム倍率は1.6倍と若干下がったが、その分レンズシフト幅と画質を高める方向に設計コンセプトを変更した点も話題を呼んだ。10Jと比べレンズ口径が格段に大きくなり、本体デザインもレンズの大きさを前面に押し出すものに変更された。

200Jでも、100Jで到達した高いレンズ性能を継承。13群16枚のレンズ構成により、他社機を上回る精緻な描写を実現している。

レンズとランプの「デュアルアイリス」機構を搭載


PJ-TX200Jが搭載したデュアルアイリス機構
本機の最大の特徴は、100Jから搭載されたレンズアイリス機構だけでなく、ランプ光量を自動制御する「アクティブアイリス」機構も搭載する、デュアルアイリス機構としたことだ。

レンズアイリスは、好みで10段階で選ぶことができ、投写光の明るさをコントロールすることが可能。ランプ光量を制御するアクティブアイリスは、映像のAPL(平均輝度レベル)を検出し、絞りを32stepで制御するもので、モードはOFF/オート1/オート2から選択できる。

この2つのアイリスを組み合わせることにより、コントラスト比は飛躍的に向上。最大で7000対1という、非常に高い数値を実現した。これにより、これまで以上の黒の締まりを表現することができるようになり、映像の深みを的確に描写することが可能になった。

デザインは、TX100Jのものを基本的に継承しながら、細かな部分をリファイン。本体色もミッドナイトチタンとブラックのツートーンカラーに変更され、精悍な印象となっている。

このほかにも、画質調整機能や映像回路など、細かなリファインは数多く行われているが、詳細は追々ご紹介していくことにしよう。

我が目を疑うほどの映像が現れた


自宅に設置したPJ-TX200J
PJ-TX200Jを自宅に設置して1週間が経過したが、最初に映像を見たときの衝撃はいまだ鮮明だ。前述したように、これまで使用していたプロジェクターは4年前のVGAモデル。今回、720pパネルの映像になったことで、精細感がアップすることは当然予想していたが、投写された映像はそんな次元を遙かに超えていた。高性能レンズの解像力、巧みなアイリスコントロール、高精度なデジタル映像回路などが高い次元で調和した結果、これまで見たこともないような映像美がそこに出現したのだ。正直に言って、手持ちのDVDプレーヤーはあまり高価なものではない。接続はRCAコンポーネントで、HDMI端子によるデジタル接続の恩恵も受けていない。そんな悪条件にもかかわらず、「これが同じソースか」と我が目を疑うほどの映像が現れたものだから、心底驚き、不明を恥じたほどだ。

もっとも、4年前のVGA機と比べることにあまり意味がないことは承知している。4年前は20〜30万円の低価格液晶プロジェクターの黎明期で、「安価な大画面が楽しめる」というだけで、多くのAVファンの支持を得られた時代だった。その後、第一世代機が押し広げた市場に新規メーカーが続々と参入し、ライバル機器同士が激しい開発競争を繰り広げたおかげで、プロジェクターの画質は大きな進化を遂げた。編集部の視聴室やメーカーの発表会など、多くの機会でその最新モデルに触れており、その性能は十分理解しているつもりだったが、今回の体験によって、自宅で見るのと外で見るのは大違い、という当たり前の事実を再認識させられた。

PJ-TX200Jの画は、頭で予想した範囲をはるかに超える説得力を持っていた。黒がしっかりと締まり、コントラスト比が格段に上がったおかげで、明部の美しさがさらに強調され、映像が輝きで満たされている。ビデオ収録のライブDVD『ア・トリビュート・トゥ・グラム・パーソンズ』では、スポットライトに照らされた出演者たちの顔がキラキラと輝き、ベールを何枚か取り払ったような爽やかな映像に心が洗われる。全体的に、映像の質感が非常に高い印象で、奥行き感もリアルに感じられる。

映画ソフト『ワイルド・スピード』の、夜の街中をスポーツカーが疾駆するシーンでは、粘り気のある漆黒の闇を原色で彩られたクルマが切り裂き、その華やかな演出に思わずため息が洩れる。映像に実在感が満ちているのだ。

貧弱なレンズでは、細かく見ていくと色ズレや周辺のフォーカスボケが気になるものだが、高価なレンズを奢った本機では、そんな不安は一切持つ必要がない。画面の全域に渡ってフォーカスがカッチリと合っている。厳密に比較視聴を行ったわけではないが、その鋭利でヌケの良い映像は、今年発表されたライバル機を一歩リードしているように感じる。

断言したいのだが、3〜4年前、もしくはそれ以前に購入した液晶プロジェクターを使っていて、その画質に不満をお持ちの方は、いますぐ最新モデルに買い換えた方がよい。以前、弊社刊行雑誌でおなじみのAV評論家・貝山知弘氏が、高品位な映像再生装置を褒める際、「DVDにはこんなに素晴らしい映像が入っていたのか」という表現を用いていたが、それと同じ感想を得られること請け合いである。

この記事を書いている編集子自身も、PJ-TX200Jの映像を見てからすぐにインターネットで販売価格を調べ、資金繰りに頭を巡らせたことを報告しておく。本機の価格は273,000円だが、決して高い買い物にはならないはずだ。

次回は、本機の画質調整機能についてご紹介する予定だ。

(Phile-web編集部)

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