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インタビュー

VGP2012 金賞受賞メーカー特別インタビュー

製品を通して“本物の感動”を。
価値を伝える活動に手応え

ソニーマーケティング(株)
代表取締役
執行役員専務
鈴木功二
VGP2013 SUMMER 批評家大賞
液晶テレビ “BRAVIA”「X9200A」シリーズ
VGP2013 SUMMER 新技術普及特別賞
ソニーグループ
VGP2013 SUMMER 金賞受賞モデル
KD-84X9000/KD-65X9200A/KDL-55W900A/KDL-40W900A/KDL-32W600A/HMZ-T2/VAIO Lシリーズ/VPL-VW1000ES/BDZ-EX3000/BDZ-ET1000/BDZ-EW500/CECH-ZNR1J/HDR-PJ630V/TA-DA5800ES/STR-DN1040/HT-SS380/HT-CT660/SRS-BTV5/MDR-1R/MDR-1RNC/MDR-DS7500/MDR-1RBT/PHA-1
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批評家大賞を受賞した4Kテレビ、ブラビア「X9200A」シリーズをはじめ、数多くの商品が「VGP2013 SUMMER」を獲得したソニー。原点回帰による感動を与えるモノづくり、その価値を伝えるマーケティング活動に、確かな手応えを掴んだこの一年。最前線で指揮を執る鈴木功二氏に話を聞く。

映像と音のリアリティを画面いっぱいに映し出す

−− 今回も様々なジャンルで数多くの商品が「VGP2013 SUMMER」を受賞されました。

鈴木 われわれメーカーのミッションは、ワクワクドキドキする感動を、製品を通してお客様にお届けすること。この一年、モノづくりの原点にもう一度戻り、魂を込めて製品を開発してきました。その成果が、ひとつひとつこういう形で評価いただけたことは、企画、設計、製造の技術者をはじめ、マーケティング営業を担当する現場のメンバーまで、全員が本当に喜んでいると思います。

−− 店頭では4Kテレビが大きく取り上げられています。

鈴木 ソニーのモノづくりの技術の粋を集めた製品です。4K映像へのこだわりはもちろん、今回の特別なこだわりは音です。「スピーカーを顔にするぞ!」と、新しく磁性流体スピーカーをテレビに初めて搭載しました。私たちが接している自然界は、すべてが「映像」と「音」から成り立っており、静寂においても音が大切な要素といえます。そこで、映像にも音にも妥協することなく、そのリアリティを最大限に表現することを目指しました。お客様の視線の先にある画像とスピーカーから出てくる音とが一体になった、最高レベルの臨場感、音場感を実現できるスピーカー・デザインに仕上げられています。

4K対応液晶テレビ“BRAVIA”「X9200A」シリーズで批評家大賞を受賞。音にも特別にこだわり、本体には磁性流体スピーカーを搭載している(写真は65型のKD-65X9200A)。

また、通常の液晶テレビでは大画面になるほど目立つ画素の粗さも4Kテレビでは目立ちにくく、お客様からは目が疲れにくいといった声もいただいています。色域を拡げながら深みのある映像を実現したソニー独自の「トリルミナスディスプレイ」に、売り場では、お客様が画面に引き込まれるようにテレビに数歩近付いていくシーンも見受けられます。自然界で目で見える情景に限りなく近い映像をそのままに映し出すためか、この映像を体験したお客様からは「目が疲れず頭まで休まる」という感想もいただいています。これまでのテレビの常識が覆っていくと確信する自信作です。

−− 販売店でも力を込めた展開が見受けられます。

鈴木 BDや放送を楽しむだけではなく、お客様自身がデジタル一眼カメラで撮影された画像をメモリーカードに入れて持ち込み、店頭の4Kテレビで見る。そんな体験を演出している販売店様もあります。お客様は4Kテレビに映し出された自分が撮影した写真に感動され、実売に結び付くケースもあるそうです。800万画素を映し出せる4Kテレビではデジカメと連動した静止画モニターとしてのプロモーションもとても大切になると考えています。

−− 今回、業務用機器からBDソフトに至るまで、ソニーグループの一貫した4K普及への取り組みに対して「新技術普及特別賞」が贈られています。

鈴木 厚木の設計部隊が開発した4K映像を制作するプロフェッショナル用のカメラ、コンスーマー向けの4Kテレビ、そして、4Kコンテンツを提供するソニーピクチャーズなど、ソニーグループが結集し一気通貫で製品・コンテンツを開発・制作し、お客様のもとへと提供しています。4Kを軸にソニーグループが一丸となって取り組むことで、お客様が心の底から感動する体験を提供することが可能となりました。今後もコンテンツとハードウェアが織りなすソニーの強みを発揮していきたいと思います。

4Kに対する取り組みが評価され、ソニーグループ全体で「新技術普及特別賞」を受賞。業務用4Kカメラ「PMW-F55」(左)は、CMOSイメージセンサーに4K Super35mm相当の素子を搭載する。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは、マスターに4K解像度の高画質映像を使用し、広色域情報を保持しながら高ビットレートで再生可能な「Mastered in 4K」を採用している(右)。

−− 映像商品の市場環境をどのように展望されますか。

鈴木 テレビは相当の需要の先食いはありましたが、ここに来て大画面のマーケットは伸びていますし、製品単価も上がっています。買い替えサイクルも想定より早いですね。買い替え需要を喚起していくためにも、高画質・高音質・大画面というテレビの本質を究めた製品をしっかりと提案していくことが大切になります。

また、ソニーの特長のひとつに「撮る」「貯める」「編集する」「見る」、この一連の流れにあるすべての製品をお客様に提供するメーカーであることがあげられます。映像にまつわるパーソナルコンテンツの世界観をしっかり提案させていただくことで、改めてそれぞれのカテゴリーが活性化していくと考えております。

−− 新体制の1年を振り返っていかがでしょう。

鈴木 エンジニアの魂が込められた製品、ソニーファンの期待に答える「ソニーらしい製品」が次々と世に出てきています。その製品を通して、心動かされる体験をお客様にしっかりと伝えていくこと、また「顧客接点」として販売店の皆様とお客様の心を動かす店頭を作っていくことが、我々、ソニーマーケティング、ソニーコンスーマーセールス両社の最も重要な使命となります。この1年はまさにそこへ注力し、感動や楽しさ、そして、クオリティやこだわりという付加価値をお客様に提案していく、原点に返った売り場づくり、人づくりを販売店様にも提案させていただきました。われわれも最前線の営業担当だけでなく、マーケティングのメンバー、コールセンターや修理、サポートなど、すべての社員の意識と活動の底上げを図り、製品に込められた思いを伝えていくんだというムーブメントを浸透させることができた1年だったと確信しています。

売り場にも、それぞれのカテゴリーごとに、お客様にしっかりと提案できるコーナーがつくれるようになってきていると感じています。さらに現在は、店頭から修理現場まで、スピーディーにお客様の声を開発や設計にフィードバックできる仕組みの構築を目指しています。

−− マーケットをぐんぐん引っ張っていただきたいですね。

鈴木 販売の現場である「顧客接点」と、モノづくりの現場である「事業部」、この間を距離なくシンプルにつなげられるかどうかが重要なポイントです。また、ソニーの社長の平井は自らがとてもモノが好きで、足繁く現場にも通うことで理解もある。われわれとしてもやりやすいです。一方責任と期待も大きなわけで、AV・ITマーケットを再び活発にすることにはとても力が入ります。

販売店様からも大きな期待のプレッシャーをいただいていますが、ソニーが頑張ることで家電業界が元気になり、その元気が日本の国の明るさにもつながっていくのではないかと考えています。また、お客様にソニーのファン・ソニー製品のファンになっていただけるよう、遠回りのようでも商品をひとつひとつ丁寧にご提案していくことが、お客様から本当に評価していただける近道なのだとも思っています。

鈴木功二氏 プロフィール

1982年4月 ソニー(株)入社。 2001年4月ソニーマーケティング(株)CRMビジネスセンター長、04年4月執行役員(CRM担当)、05年4月執行役員(IT/カスタマーリレーション担当)、08年4月取締役、執行役員(量販営業本部長)、09年4月執行役員常務、12年4月執行役員専務(現任)、13年4月代表取締役に就任。現在に至る。