インタビュー

HOME > インタビュー & VGP2012SUMMER金賞受賞メーカー特別インタビュー ソニー

VGP2012 金賞受賞メーカー特別インタビュー

お客様それぞれの使用シーンに合わせ
店頭で最大限に商品を体感していただく

ソニーマーケティング(株)
取締役
執行役員専務
鈴木功二
VGP2012SUMMER 技術賞
ヘッドホン「MDR-MA900」
VGP2012SUMMER 開発賞
ネットワークレコーダー「nasne」
VGP2012SUMMER 金賞受賞モデル
KDL-46HX850/KDL-26EX540/SGPT111JP/S/SGPT112JP/S/SGPT113JP/S/NW-Z1050、1060、1070/VPL-VW1000ES/VPL-HW30ES/BDZ-AT770T/CX590V/XBA-3SL/XBA-2SL/MDR-MA900/MDR-DS7500/DLC-HJ7
(VGP各部門の詳細はこちらをクリック)
業界全体が地デジ特需後のAVビジネスを模索する中、ソニーでは、スマートフォン、タブレット、パソコン、テレビをネットワーク化してのエンターテイメント訴求「4スクリーン戦略」を進める。その方向性の具体など、次のステージへの戦略を含め、受賞の意気込みをソニーマーケティングの鈴木専務に聞く。

テレビからつながる周辺商品にチャンスが

−− 今回も多くの商品が金賞を受賞されました。

鈴木 大変励みになる受賞です。テレビなどの本体商品だけでなく、ヘッドホンやケーブルといった関連商品にもスポットをあてていただきました。私どもでは周辺商品も大変多く販売しており、そのひとつひとつの評価はブランドの評価にもつながっていくと考えております。

金賞と技術賞をW受賞したヘッドホン「MDR-MA900」のほか、バランスドアーマチュア型イヤホン「XBA-3SL(左)」や、HDMIケーブル「DLC-HJ7(右)」など、テレビなどの本体製品だけでなく多くの周辺機器製品も金賞を受賞した。

テレビの特需が終わりましたが、法人様の幹部にお聞きすると、大きな本体ビジネス、特にテレビはある一定のサイクルで2008年頃の水準に戻るという見方をされている方も多いようです。それまでの間、テレビをはじめとする商品を購入いただいたお客様にいかに楽しんで商品を使い続けていただくか、そして再び売り場に来ていただくためにはどのように取り組んでいったらよいのか、という共通の認識を販売店様も私どもも持っております。

ソニーは本体商品として、テレビの他にもデジタルイメージング機器(DI)、PC、スマートフォン、ゲーム機など幅広く展開しております。それぞれの商品の良さが広がる楽しみ方をお客様に付加価値のあるかたちでお伝えしなくてはなりません。そうすることで販売店様の店頭にお客様の足を運んでいただきたい。そういう意味でも今回の受賞は心強い後押しになります。

−− テレビ本体は特需の反動がしばらく続くでしょうが、デジタルテレビが全国の家庭に入り、性能を活かす周辺商品にチャンスが広がります。

鈴木 当社のテレビのネットワーク接続比率は46インチ以上で40%台になりました。家庭内でネットワークにつながるということはルーターにつながる、そこからルームリンク機能やWi-FiでタブレットとTVと他の商品がダイレクトに連携できるといった新たな楽しみ方が生まれます。

ソニーは“テレビならではのネットワークサービスの楽しみ方”を推進。スマートフォン/タブレットとの連携も強化していくという。

すでに数年前から、「ルーターを制した販売店さんがこれからの商売を制する」と、ショップ店さんに申し上げてきました。各ご家庭に入ってのテレビの設置、それに加えてもう一歩踏み込んだネットワークの設定・接続は、必ず販売店様の付加価値の領域になるのです。最初の1台をネットにつなぐと、お客様は何かあったら必ずその販売店様に相談されることになり、いろいろな商売へとつながっていきます。販売店様にとっての大きな強みになるはずです。

家庭の中だけでもAVITの商売は連鎖的に広がっており、我々から見れば何でもつなげようという訴求になってしまいがちです。しかし、お客様によってやりたいことや楽しみたいことが違い、VODで映画をご覧になりたい方もいれば、カラオケをしたい方もいる。お客様のやりたいことによって必要となる商品も違ってくるのです。お客様それぞれの使い方に沿った的確なご提案が、今まで以上に必要になってきます。

 

新体制で強化するお客様目線での提案

−− 今年4月、ソニーマーケティングとソニーコンスーマーセールスが分かれたのも、そうした背景があってのことですね。

鈴木 ここ数年、我々はテレビを基点にビジネスを考え、販売体制もある程度のボリュームのあるテレビのビジネスを前提にしておりました。テレビは数年後には買い換えサイクルがやって来ると予想されますが、これまでのような訴求方法はもう通用しません。特にソニーはPCやタブレット、将来的にはスマートフォンやゲーム機との連携を考えなくてはなりません。さらにDIの展開も重要です。

これからの販売体制では、これまでのように商品の専門知識を持ちつつ、ネットワークの世界やつながる提案をお客様目線で提案できる体制を整えていかなければなりません。他メーカーさんに負けない販売提案、売り場づくりをやっていかなくてはならないと考えています。さらにDIでは撮ったあとに写真をいかに楽しんでいただくか、ソニーならではの提案にさらに力を入れなくてはなりません。これはPCやテレビ、録画機、そしてゲーム機を扱っているソニーだからこそのご提案です。

これからの営業のポイントは、個々の商品に関する専門的な知識を持つとともに、商品どうしをつなげ、それを家庭内のネットワークにつなぐ総合的な提案ができるということです。今年4月のソニーコンスーマーセールス鰍フ設立は、そういった活動に今まで以上に専念するための別組織化であり、そうしたリソースを最大限生かしていこうという考え方です。私どもマーケティング側としては、商品そのものを個で強くすることと、お客様への総合的なご提案ができるセールス体制を敷く。それぞれに機能を強化するということです。

−− 御社はソニーショップ、量販店、そしてショールームの機能があるソニーストアと、様々なお客様に対応できるチャネルをそろえています。

鈴木 店頭は顧客接点の最前線です。販売店様それぞれに異なる役割や得意分野があると思います。足を運ばれるお客様が違いますし、販売店様がその地域で担う役割も違うと考えています。お店の広さが違うのも品揃えが違うのも当たり前です。それぞれの販売店様のお客様に合った最良の販促提案をしたいと思います。

ソニーでは、テレビ・タブレット・PC・ゲーム機の4スクリーンを使って、ビデオ、音楽、パーソナルコンテンツコンテンツを時間や場所の制約を超えて楽しむことができる「ソニーエンタテインメントネットワーク」のサービスを提案しています。それぞれの商品のシームレスなつながりやユーザーインターフェースを統一していくことも含め力を入れ取り組んでおります。

引き続き重要な課題となってくるのはすべての商品をつなげたとしても、お客様から見て手軽で気軽に楽しんで使っていただけるかということです。それにはお客様の使用シーンをしっかりと見極め、お客様目線での販促や展示提案をしていくことが必要です。この夏から秋に向け、このようなことを体感していただける店頭提案からていねいに取り組み始めていきたいと思います。

鈴木功二氏 プロフィール

1982年4月ソニー(株)入社、6月 販売管理部門 管理課。2001年4月 CRM ビジネスセンター センター長、2003年4月 マイソニービジネスセンター センター長に就任。2004年4月 執行役員(CRM 担当)、カスタマーリレーションセンター センター長に就任。2005年4月 執行役員(IT/カスタマーリレーション担当)、2007年1月 執行役員(IT担当)、2008年4月 取締役に就任(現在に至る)、量販営業本部長に就任。2009年4月 執行役員常務、2012年4月執行役員専務に就任 現在に至る