インタビュー

HOME > インタビュー & VGP2012金賞受賞メーカー特別インタビュー ソニー

VGP2012 金賞受賞メーカー特別インタビュー

「4スクリーン」戦略と「ソニー サウンドプレミアムプロジェクト」で
“お客様の心に響く提案”を
ソニーマーケティング(株)
代表取締役
執行役員社長
栗田伸樹
ビジュアルグランプリ2012 特別金賞
SXRDプロジェクター「VPL-VW1000ES」
(写真)
ビジュアルグランプリ2012 批評家賞(ビジュアル)
SXRDプロジェクター「VPL-VW1000ES」
ビジュアルグランプリ2012 批評家賞(サウンド)
AVアンプ「TA-DA5700ES」
ビジュアルグランプリ2012 開発賞
有機ELモニター 「PVM-1741」「PVM-2541」
ヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」
電子双眼鏡「DEV-3」
ビジュアルグランプリ2012 技術賞
SXRDプロジェクター「VPL-VW1000ES」(ピクチャーポジションメモリー機能)
ビジュアルグランプリ2012 金賞受賞モデル
KDL-55HX920/KDL-32EX720/KDL-22EX42H/HMZ-T1/SGPT111JP/S/SGPT211JP/S/BDZ-AX2700T/TA-DA5700ES
(VGP各部門の詳細はこちらをクリック)
大きな期待と話題を集める“ソニーらしさ”溢れる商品が出揃った。市場の鼓舞、付加価値化へ力を入れるとともに、新たに「ソニー サウンドプレミアムプロジェクト」をスタート。お客様の価値へのアンテナが研ぎ澄まされるこの好機に、同社ならではという“いい音”の価値訴求にも積極的な展開を図り、音質への啓発、音基点の需要喚起にも改めて力を入れていく構えだ。

強力商品が目白押し 市場創造へも強い自覚

−− 次の時代の画質を商品化した特別金賞受賞の「VPL-VW1000ES」、徹底した音質追求が高い評価を獲得した批評家賞受賞の「TA-DA5700ES」、さらに、数々の話題商品が出揃いました。

栗田 3Dにも対応したヘッドマウントディスプレイ、デジタル双眼鏡、タブレット、ミラーレスにα77など、ソニーらしさを強く感じていただける商品が目白押しです。先頃のCEATECでも、これらの製品を見るために長い行列ができるほどでした。日本市場の大切さを常々言い続けてきましたが、このような大きな反響をいただくことができ、本当に良かったと思います。ヘッドマウントディスプレイやデジタル双眼鏡では、エンターテインメントの世界のみならず、医療など様々な分野での用途も考えられ、新しい提案も行っていきたいと思います。

ヘッドマウントディスプレイや電子双眼鏡、AVアンプ、"αシリーズ"など多彩な製品が目白押し。

ソニーらしい商品が揃う一方で、取り巻く環境がこれほど大変な年はありませんでした。ここに来てタイの洪水がさらに追い打ちをかけるかたちになりました。デジタルイメージングの新商品などが影響を受けており、大変高い評価をいただいていただけに残念な思いです。

しかし、ほかにも強力な商品が出揃っていますので、年末商戦ではあるものをしっかりと売り、来る2012年は希望の大きな年にしていきたいと思います。

−− 7月24日を契機に環境が大きく変わりつつあります。

栗田 地デジ化により薄型テレビ需要が空前の規模に膨れ上がり、一時、在庫がありさえすれば次々と売れる、という状況にもなりました。ですがこれからは、販売の原点に戻って“売る"という行為をしっかり現場で行っていかなければなりません。我々販売会社の実力が試されるときです。成熟市場での戦い方をソニーが示していきたいと思います。

一つには、市場の声を反映させた良い商品を出し続けること、同時に、それらの商品で何ができるのかを訴え続けること、これを引き続き行っていきます。加えて、テレビ、スマートフォン、タブレット、PCの「4スクリーン」とソニーのネットワークサービスの組み合わせにより“ソニーだからできる"ユーザー・エクスペリエンスの統合提案を実現していくことも、来年の大きなテーマになります。

テレビ、スマートフォン、タブレット、PCの「4スクリーン」戦略で、"ソニーらしい"ユーザー体験を創っていく。

11月に入り、市場も回復傾向にあります。テレビは大型の構成比が高まってきていますし、ネット接続率は今年発売したブラビアにおいて全体で15%、40V型以上で約30%まで上がってきています。目標とするブラビア全体で30%というところまで引き上げるために、販売店様にもご協力いただきながら、店頭作りと提案力強化に引き続き取り組んでいきます。

パソコンはほぼ100%がネットに接続され、PS3もその多くがネットにつながれてゲームが楽しまれています。これら機器と違い、テレビはネットにつながなくても番組を楽しむことができます。ネットにつなぐとさらに何ができるのかを示していくこと、それとテレビも簡単にネットにつながるということを、業界をあげて訴えていく必要があると思います。

−− 4スクリーン戦略を打ち出されていますが、ソニーはゲームにケータイ、こだわりのオーディオまで、あらゆるジャンルの商品をお持ちになっている唯一のメーカーと言えます。

栗田 4スクリーンを融合させ、ソニーらしいユーザー体験を創っていくこともこれからの大切なテーマです。キーワードは“お客様の心に響く提案"です。単なる商品の機能説明だけでなく、4つの商品がネットワークにつながり、各々連携することで何ができるのか。ここをきちんと説明していきます。

年末商戦でブラビアは「家族がつながるテレビ」をテーマに、スカイプ編とユーチューブ編のテレビCMを展開します。家族の絆の大切さが指摘される昨今、家族と過ごす時間も増えていく中で、家族と創るエンターテインメントが重要になっています。そのような中で、「ブラビアだとこんなことができるんですよ」と、需要そのものを創っていくことに重きを置きました。購買への背中を押す提案を行っていきます。

あれもこれもと総花的にせずに、まずは分かりやすいところから訴求し、需要を創っていく。日本で成功例を作り、海外へ示していく模範をつくりたい。これからどういう世界になるのか、私たちもすごく楽しみにしています。

−− 高画質や大画面に匹敵する音質も重要なテーマとなりますが、そこでの差別化、付加価値化に大変力を入れているとお聞きします。

栗田 先日、市場調査を行ったところ、「ソニーといって何を思い浮かべますか」という設問に、あらゆる年代層に共通して出てきたものがありました。実はそれが「音質」だったのです。ウォークマンやヘッドホンでも音の良さを訴え続けてきましたが、老若男女のたくさんのお客様から高い支持をいただき、非常にうれしく思いました。先日新たに「ソニー サウンドプレミアムプロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトを通してソニーの音に対するこだわりをもう一度、きちんと訴求していこうと思っています。

“いい音は人を満たす"をコンセプトに、現在、銀座のソニーショールームでは、ウォークマンやヘッドホンを聴き比べていただく試聴体験イベント「いい音診療所」を開設しています。茂木健一郎さんにいい音について脳科学から解説いただくなど、ホームページも立ち上げました。ソニーの新しいトライアルとして、色々な角度からアピールしていきたいと考えています。音は常に人々の生活の中にあるものです。それぞれのシーンにおけるいい音の重要さを訴えて参りますので、どうぞご期待ください。

地デジ化の終了とともに、他に向いてしまった皆さんの関心の目と消費を、もう一度AVの世界に戻していく。それが我々メーカーの使命です。魅力溢れる商品が揃っているわけですから、きちんとした提案が行えれば、売上げも自ずと上がってくると確信しています。

栗田伸樹氏 プロフィール

1979年4月ソニー(株)入社。99年 Sony de Mexicoプレジデント、03年ソニー(株)IT&モバイルソリューションネットワークカンパニー・e-ビークルカンパニープレジデント、05年オーディオ事業本部・車載機器事業部事業部長、06年 Sony Electronics inc.(米国) Consumer product Maketing,EVP、08年4月ソニーマーケティング?代表取締役副社長を経て、09年7月1日代表取締役社長に就任。現在に至る。