HOME > インタビュー > “ヤマハらしさ” の全てが結実、ハイエンドヘッドホンアンプ「HA-L7A」のこだわりを開発者に聞く

PR注目の音質、「サウンドフィールド」モードもレポート

“ヤマハらしさ” の全てが結実、ハイエンドヘッドホンアンプ「HA-L7A」のこだわりを開発者に聞く

公開日 2023/12/05 06:30 土方久明/インタビュー構成:ファイルウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

具体的には、まず従来どおり回路を組むとどれぐらいの残留ノイズレベルになるのか、というところから計算をはじめ、目標とするスペックや残留ノイズレベルを満たせるように回路シミュレーションを重ねていきました。

その中で、部品そのものが持ってしまう残留ノイズもキーポイントになりました。部品ごとに電源を入力/出力するときに生まれる残留ノイズのレベルというものが違ってきますので、事前にシミュレーションを実施したりして回路設計を行いました。また、各ポイントにおける部品選定もシビアに行っています。そのため、いままでのヤマハ製品では使ったことが無いようなパーツも大量に採用しており、その評価にも多くの時間を費やしました。

ヘッドホンアンプならではのテーマとして、ノイズを抑えることが課題となった

レッグの部分もコンポーネントとまったく同じにはしていません。卓上に置くヘッドホンアンプは、ヘッドホン/イヤホンのプラグの挿抜など、コンポーネントよりも直接触る機会が多くなります。そういう点も考慮して、筐体を置いた時に極力ガタツキが出ない構造にしようと考えた為、レッグとボトムカバーの間にダンパー・クッションをはさんでガタツキを吸収できる構造としました。


HA-L7Aのフットは、ボトムカバーとの間にダンパー・クッションをはさみ、ガタつきを抑える構造
筐体のビルドクオリティという観点でも、Hi-Fiコンポーネントで培ってきた知見を活かせる部分は数多くありました。例えば、どのようなサイズであれ筐体の剛性を担保する、といったところですね。一方で、筐体の見た目や手触りについて「どういう見た目、どういう手触りに仕上げると、ヘッドホン/イヤホンファンの皆さんに愛でていただけるのか?」といろいろな製品を研究し、新しいアルミ部材などを取り入れたりしています。

土方氏:読者の方に改めて伝えたいのですが、佐藤さんご自身がヘッドホンマニアなんですね。多くのヘッドホンリスナーが重視する性能、気にするポイントをしっかりと押さえている。先程のノイズのお話など特にそうですが、コンポーネントオーディオ畑の方なら多分あまり気にならず、徹底的に抑えようとまではしなかったと思うんです。

そういう人が舵をとって、ヤマハならではの技術やノウハウ、調達できる部材、技術者やデザイナーなどの人材をフルに活用して、自身も満足できるものを作ろうとしたのがHA-L7Aなんですね。ヤマハらしさの結集した、大変魅力にあふれる製品だと思います。

■これから体験するなら、ぜひお気に入りの映像コンテンツを持ち込んで


土方氏:続いて大澤さんにお尋ねしますが、HA-L7Aは11月30日に国内発売となりましたが、それ以前からオーディオイベントに何度も参考出展されていたと思います。反響のほどはいかがでしょうか。

大澤氏:今年の4月くらいから国内外のイベントで参考出展を開始しましたが、非常に多くの方に音を聴いていただき、音、「サウンドフィールド」モード、デザインなどに対して大変ポジティブなフィードバックを寄せていただけて嬉しいところです。国内ではいよいよ11月30日に発売となったことを受け、我々もイベントや店舗での試聴の機会を増やしてより多くの方にHA-L7Aの音を体験していただきたいと考えています。

CCA事業部事業開発部ホームオーディオグループ マーケティング担当 大澤一瑛氏

音楽試聴はもちろんですが、これからHA-L7Aの「サウンドフィールド」モードを体験したいという方はぜひ、ご自身の見たいコンテンツが入ったスマートフォンやタブレットをお持ちいただければと思います。もちろん、イベントに出展する際は我々もいろいろな試聴コンテンツを用意していますが、普段見たり聴いたりしているお気に入りのコンテンツが「サウンドフィールド」モードによってどのように没入感が増すのかを体験いただけると、なお嬉しいですね。

土方氏:ヤマハの音場創生技術といえば、私がオーディオ少年時代にであったのが“サラウンドプロセッサー”「DSP-1」でした。当時はまだ、サラウンドというものが2ch再生のおまけ機能、“遊び”の要素として見られがちだったのですが、DSP-1はおまけどころか本気で作り込まれていました。

秋葉原の量販店で聴いた音はいまでもはっきり覚えていますが、ステレオのソース音源に対して最適な環境音を付加させて、360度から感じられる本格的なサウンドステージを作り上げていたことに大変感銘を受けました。そんなエポックメイキングな製品から続く最新技術がヘッドホンアンプに乗ったということは、個人的にもとても嬉しいポイントです。

大澤氏:ヘッドホン/イヤホンファンの方に限らず、スピーカーでマルチchを組んでいるという方にも「サウンドフィールド」モードをお試しいただきたいですね。いまの日本の住環境だと、AVレシーバーで5chを組みたいと思ってもなかなか場所を確保できなかったり、また設置は問題なくとも時間帯によっては再生できないといった問題が起こりがちだと思います。

そういった場合でも、HA-L7Aの「サウンドフィールド」モードなら映像コンテンツに最適な音場をヘッドホンで楽しめますし、もちろんピュアダイレクトモードでハイレゾ音楽も聴き込むことができます。光/同軸デジタル入力や、RCA/XLRアナログ出力も搭載していますので、いろんな楽しみ方をしていただきたいです。

次ページ2種類のヘッドホンで「HA-L7A」の音質を聴き込む

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: