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中田さんはダミヘ収録にどう臨んだ?

中田譲治さんはリンカーン・ナポレオンをどう演じた? バイノーラル歴史ドラマ『あと3分』インタビュー

公開日 2021/12/16 11:30 編集部:杉山康介
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技術の進化は、声優の演技や仕事の可能性も広げてくれる

スタジオではKU100の後ろにキービジュアルが貼られており、そこに話しかけるようなイメージで収録されたそうだ

ーーオーディオ業界ではハイレゾなど、音源の高音質化がどんどん進んでいて、さらに近年では空間オーディオだったり、今回のバイノーラルだったりと方向性も多様になってきています。こういった変化というのは、演じる側のお立場でも感じられるものでしょうか?

中田 そうですね、昔はマイクの性能がそこまでだったので「もっと声出せ」「ここは効果音が大きいから大声で喋ってくれ」なんて言われたものですけど、今はマイクの性能が上がってきているのでボソボソ喋っていても全然問題がない。なので今はみなさん本当に自然な芝居が上手くて、逆に自分は大仰で昔の時代劇みたいだな、なんて思ってしまう部分もあるくらい、マイクによって芝居の質が変わってきている実感があります。

ーーなるほど! 昔の映画やアニメなどを見ていると「芝居がかった喋り方だな」と感じることがありましたが、マイク性能の違いによる部分もあるかもしれないと。

中田 映像だってそうですよね。僕らの若い頃はアナログフィルムで撮影していましたけど、デジタル技術が登場してドラマ『大岡越前』などが最初にビデオ化されたときは悲しかったですよ。ツルッとして映りすぎちゃっていて、陰影も奥行きもなかった。でも、デジタル技術自体はもちろん、それに対応してメイクさんや照明さんなどの技術も上がったからこそ、今は4Kや8Kでも見えすぎて困ることなくドラマが作れるんですから。

僕ら声優もTwitterやYouTubeをやってみたりしてますけど、今は社会やAV機器が進化していて、それによって仕事の可能性がすごく広がっている良い時代だと思うんですよね。だから自分の選択肢を増やすためには留まっていてはだめで、まず試してみるのが大事なのかなと。

今回の『あと3分』もそうですが、いろいろな形で作品が世に出て、みなさんに楽しんでいただく方法が多様になっていくというのは、僕らとしても歓迎するべきことだと思います。

ーーおっしゃる通り媒体や表現方法が多様化してる今、我々リスナーやファンとしても、皆さんの新たな魅力に出会う機会が増えていると感じます。今後世の中がどんな風に面白くなっていくか、期待せずにはいられませんね。

それでは最後に、この記事を読んでくださっている方や『あと3分』を聞いてくださっている方にメッセージをお願いします!


中田 僕自身、人を動かすものは何かと考えてみると、器用な人でも不器用な人でも「誠」しかないような気がするんです。僕が演じたリンカーンとナポレオンは必ずしも良いことだけをしてきたわけじゃないでしょうけど、彼らには彼らなりの「誠」があって、それだけ真剣に国家や人民のことを考えていたわけですから、そういう「誠」の部分を感じていただけたらいいですね。

「人民の人民による人民のための政治」などは皆さんも一度は聞いたことがあるセリフだと思います。僕の演じたもので聴いて「こういうイメージの人かもしれないな」「こういう喋り方だったかもしれないな」など、少しでも思っていただけたら嬉しいです。

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