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担当者・佐藤岳氏に訊く

DIATONE復活からまもなく2年。既成概念に縛られないアプローチでさらなる浸透と躍進を誓う

公開日 2019/06/13 16:32 Senka21編集部:竹内純
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■市場活性化の突破口「PCオーディオ」

―― ハイファイオーディオ市場では高齢化が大きな課題となっています。現場に再び立って、市況の課題やその解決策をどのようにご覧になられていますか。

佐藤 高齢化が進んでいることはヒシヒシと感じていますし、若い人を取り込まないとまずい、これは業界の誰もが強く感じていることです。そのような中で、最近、ひとつ気づいたことは、イベント等でPCオーディオをデモソースに使い始めるようになってから、若い人が目に見えて増えてきて、客層の変化に大変驚いています。PCオーディオが介在することで、彼らにとってはハードルがぐっと低くなり、親近感も湧いてくるようです。

DS-4NB70のメインターゲットは団塊世代でした。終活でライフスタイルにも変化が表れ、小型のスピーカーが欲しいとの声もよく聞かれるようです。しかし、いざフタを開けてみると、DS-4NB70を購入されているマジョリティは30、40代の可処分所得の高い方たちで、ほとんどの人がPCオーディオを楽しまれています。PCをカスタマイズして楽しむ姿は、カートリッジなどアクセサリーを揃えてアナログを楽しんでいた光景に通じるものがあります。私はPCオーディオに、新しいムーブメントを巻き起こす大きな可能性を感じています。ヘッドホンユーザーが2chに目覚めるきっかけにもなる。そのハードルも意外と低いのではないかと思えてきました。

―― 見逃せない突破口ですね。

佐藤 そのことを改めて強く感じたのが、2月に開催された「オーディオフェスタ・イン・ナゴヤ2019」でした。昨年から運営の見直しが進められ、集客や告知にはインターネットやSNSが活用され、若い方の来場が目立つようになりました。PCオーディオでデモを行った当社ブースにも若い人がたくさんいらっしゃいました。話をしてみると、皆、PCオーディオをやっていて、そこには10万円、20万円と惜しみなくお金をかけるんですね。どんな工夫をすればいい音が出るのか、追求には余念がなく、「2chってこんな空間が創れるのか」とその驚きがとても新鮮でした。

2月に開催された「オーディオフェスタ・イン・ナゴヤ2019」に出展。ファイル再生へのこだわりを訴え若いPCオーディオファンからも注目を集める

PCオーディオを蔑視するような風潮がありますが、僕はこの新しい動きこそが、意外にピュアオーディオとの橋渡しをしてくれるように思えてなりません。ポイントは、従来のハイファイオーディオから彼らを見下ろして引き上げようとするのではなく、彼らの立ち位置から、どうしたらハイファイオーディオに上がっていくのかを見渡すことではないかと思います。

■聴ける場、機会をもっと増やしていく

―― 今秋で復活から丸2年になるDIATONEですが、今後の取り組み課題をどのようにお考えですか。

佐藤 やはり、まだ聴いていただけていないお客様や展示していただけていない地域が数多くありますので、まずは、それらの地域での試聴会を開催すること。各地で催される大規模なオーディオイベントにも積極的に参加していきます。先日、高松で開催されたカーオーディオのイベントに参加しました。皆さん、DIATONEのことはよくご存じでしたが、実際にホームオーディオを聴かれるのは初めてで、「こんなにいい音がするのなら、カーオーディオはもういいから、ホームオーディオにお金をかけよう」と購入いただいたお客様もいらっしゃいました(笑)。さきほどのPCオーディオの例もそうですが、既成概念に縛られることなく、アプローチの仕方を変えてみることが大切ではないでしょうか。

「オーソドックスなDIATONEユーザーが、DS-4NB70に対して否定的で購入してくれないわけではなくて、それ以上に、団塊世代ではない30代・40代の若い人たちが意外にもボリュームゾーンとなっていることが僕らにはとても新鮮でした」と語る佐藤氏

―― ご販売店からは、国内ブランドの統合が進められる中で、復活したDIATONEに期待を寄せる声が多く聞かれます。

佐藤 DIATONEのレゾンデートルであるNCV振動板の価値や魅力をどうやって浸透させていくかがこれからの大きなテーマです。本来はB4Cピュアボロンもやりたいのですが、設備の老朽化により使えなくなっておりますが、違う製造方法で車載用トゥイーターに残っているなど、研究は持続しており、今後も、DIATONEのレゾンデートルであるNCVと B4Cは大事にしていきたいですね。

東日本大震災で旧試聴室などは被害を受けましたが、40畳ほどの試聴室や無響室、実験室は無事でした。現在、組み立ては外部に委託していますが、基本設計や開発は郡山で行っています。DS-4NB70も安定的に供給できる体制が整いました。最終段階では、組み上がって来た製品を試聴室で、設計担当者と僕とで全数チェックを行います。2時間くらいエージングをしてペアマッチングをとり、そこではじめてシリアルが連番で貼られます。

―― 次の発表が待望されますね。

佐藤 よくご指摘をいただくラインナップに関しては、価格やサイズ、また、3ウェイの大口径などいろいろなご要望をいただいています。お客様の姿も見えてき、こういうことを要望されているのだなと肌で感じられるようにもなりました。スピーカーは耐久消費財ではありませんし、ちょっとやそっとでは壊れません。それを下取りに出してまで、「新しいDIATONEに買い替えたい」と思っていただくためには、相当によい音のパフォーマンスを感じていただけるものでなくてはなりません。お取扱いいただくご販売店のビジネスにも貢献できるようさらに力を入れて参ります。これからのDIATONEに是非、ご期待ください。

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