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もうすぐプラグ/ジャックが量産開始

ヘッドホンのバランス端子がついに統一? JEITAが規格化「5極φ4.4mmプラグ」の詳細を聞く

2016/04/25 編集部:風間雄介
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「2.5mmや3.5mmでは強度や音質面に不安も」

音質上の理由もある。「プラグを太く、大きくすればするほど、耐久性や音質の点で有利になります。個人的には、2.5mmプラグは機械的な強度がやや心配です。またHI-FI用途を考えると、2.5mmや3.5mmでは音質面で物足りない。色々と検討を重ねた結果、3.5mmと6.3mmのあいだ、4.4mmというところに落ち着きました」。

音質面のコメントについて補足しよう。原氏が2.5mmプラグを測定したデータでは、もちろんプラグにもよるが、ピン間の抵抗値が高いものがかなり多かったという。これは、音質に決して良い影響を与えない。

φ4.4mmで、長さが19.5mmという今回の規格であれば、余裕のあるプラグ開発が可能になり、当然ながらピン間の抵抗値も下げられる。その結果、音質向上が期待できることになる。

4.4mmは太くないか? 5極にした理由とは?

4.4mmという太さのジャックを搭載するのは、据え置き型では全く問題とならないだろう。むしろ現在主流の6.3mmに比べてかなり細い。一方でDAPやポータブルヘッドホンアンプでは、これまでの3.5mmや2.5mmに対してかなり太く、搭載により大きい体積を必要とする。この点については議論がなかったのだろうか。

「それについては確かに、様々な意見がありました。薄型のポータブルヘッドホンアンプがあることも承知しています。ですが、バランス接続というのは音質向上のために行うものですので、それを第一に考えると、この程度の太さは欲しいと考えました」。

原氏はまた、GNDを加えた5極にした理由についても説明した。「基本的にはGNDはプレーヤーとヘッドホンアンプ間の接続に使っていただく際に必要となります。ヘッドホンとバランス接続する際にはGND端子は必要ありません」。

なお、この新プラグを使ってアンバランス続を行うことも、もちろん可能だ。「その場合ですと、L、R、そしてGNDが必要になります。1本のプラグでアンバランスとバランスの両方に対応できますから、そういう意味でも5極にしたのは正解でしたね」。

規定された5極4.4φプラグの資料

当初は混乱も想定、だが「どこかでやらなければならない」

JEITAが規格化したことで、バランス接続プラグ統一の機運が高まることは間違いない。だが、これまで使用していたDAPやヘッドホンアンプでは変換ケーブルが必要になったり、さらには高価なリケーブルが使えなくなったり、改造の必要が出てきたりすることも事実だ。

「最初のうちはそういった点で、ご面倒やご不便をおかけしてしまうことは事実です。ですが、どこかでやらなければならないことですし、さらなる混乱を防ぐためにも、なるべく早期に行わなければなりません」と原氏は語る。

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