HOME > インタビュー > <CES>ソニー高木氏に訊くハイレゾ/UHD BD/テレビの製品戦略

Backlight Master Drive搭載テレビの価格帯は?

<CES>ソニー高木氏に訊くハイレゾ/UHD BD/テレビの製品戦略

2016/01/10 折原一也
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

― 4K/HDRが今回のCESでの大きな話題でした。4K HDRストリーミングサービスの開始がアナウンスされましたが、ディスクについての展開はどうするのでしょう。

高木氏 ソニーグループとしてはパッケージソフトも出す予定でいますし、フォーマット制定でも中心的な役割を果たしています。ただし、まずは音と映像を届ける「アウトプットデバイス」(テレビなど)に集中してリソースを割いていく予定です。プレーヤーなど「プロセッシングデバイス」は、その次に、市場の要求に応じて考えていきたいと思っています。

― BDレコーダーの新製品投入もありませんでした。

高木氏 「遅いんじゃないか、出ないんじゃないか」という声を頂いていますが、我々は決して戦略は変えていませんし、お客様への答えをしっかり考えています。

― 「UHD Alliance」による「Ultra HDプレミアム」のロゴがあるのに、ソニーは独自の「4K/HDR」のロゴを打ち出しました。これは何故でしょうか。また、他社へのライセンス展開はあるのでしょうか。

独自の「4K HDR」ロゴを打ち出すことで、「UHD」ではなく「4K」そして「HDR」を前面に出していく考えだ

高木氏 「Ultra HDプレミアム」のロゴは標準化団体で決まったもので、リスペクトしています。ただし、ソニーとしては「UHD」よりも「4K」を前面に押し出したいのです。「ハイレゾ」のような他社ライセンスは考えていません。

― テレビではハイエンドモデルの競合メーカーが減っています。

高木氏 他ブランドがどうなっているかは、基本的には気にしていません。ソニーとして黒字化して、次は何をやるかで考えていますし、他社の動向を見て自社の戦略を変えることもありません。今は数を追わずに、ブランド価値を高めることに注力して一定の成果を得ています。「最も高画質なテレビはソニー」と呼ばれることを目標にしていく所存です。アメリカでは75インチ以上がプレミアムになっています。一方欧州は55〜65インチ、日本では55インチ程度が主流で、これが一気に大きくなることはないでしょう。特に日本では大画面化より4K化の方が支持されています。

― 今後、テレビに有機ELを採用するお考えはありますか。

高木氏 有機ELは、飽くまでもディスプレイデバイスのひとつの選択肢です。ソニーはパネルを開発していませんから、パネルを買う立場、選択する立場にあります。ブラビアは大画面で高画質であることと、コストに対して私達がやりたいことをできるかで商品企画を行っていきます。有機ELのコストが下がって来たり、私達の求める大画面化がなされれば、選択肢としてはありえると考えます。

― ブースで披露された「Backlight Master Drive」のプロトタイプの画質は素晴らしいものでした。実際に発売される際はどのくらいの価格帯になるのでしょうか。

新たなバックライト駆動技術「Backlight Master Drive」により4K/HDR映像の魅力を引き出すことを狙う

高木氏 価格帯は青天井だと思っています。1,000万円のテレビがあっても良いのでは。ソニーが初めて4Kテレビを出した時は200万円くらいだったので、市場性はあると思っています。プロジェクターには500万円の商品もあります。プレミアムブランドとして、フラグシップモデルに幾らまで出してもらえるのかで検討したいと思います。

― 「Backlight Master Drive」を安く提供する余地はあるか。

高木氏 もちろんです。より多くの人に見ていただきたいという考えもありますから、いくらコストを下げるかはメーカーの責務です。ただし、儲からない価格にするつもりはありません。

― プレイステーションで展開しているVRは、ホームAVの領域にも入ってくると考えますか。

高木氏 まずはエンターテイメントの領域で確立するものだと思っています。TVの世界観でVRをどう表現できるかには、様々なハードルがあると思っています。

― 有り難うございました。

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE