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【特別企画】ヤマハ“S2100”シリーズ徹底解剖!

ヤマハ開発陣が明かす、最新Hi-Fi「A-S2100」「CD-S2100」開発秘話

公開日 2014/06/27 12:08 インタビュー:山之内 正 / 記事構成:ファイル・ウェブ編集部
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【5】楽器もオーディオも手がけるヤマハならではの“音楽思想”とは?


山之内: ちなみに御社は、楽器開発にもオーディオ開発にも取り組んでおられ、いずれもアナログ/デジタル両方の領域を網羅しているという珍しいメーカーですよね。社内の楽器製造部門とオーディオ製造部門の間で、情報や技術を共有されることなどあるのでしょうか。

辻川: S3000/S2100でいうと、プレーヤーのUSB-DAC部に搭載するドライバーはヤマハ・スタインバーグチームと技術協力したものです。そもそもDSD対応が盛り込まれたASIO規格は、スタインバーグによりオーディオアプリケーションとして提供されたものですから、いわば本家本元です。今回、私たちオーディオ部門側から彼らに協力を仰ぐことで、部門の壁を越えた技術協力が実現しました。

USB-DAC部に搭載するドライバーはスタインバーグのチームと技術協力したもの

結果的には、ハードウェアからPCドライバーを含むソフトウェアまで、全て社内で開発することになり、デジタルデータの管理を完璧に行えたことで、今回のUSB-DAC再生機能はヤマハHi-Fi製品の大きな強みとなりました。

山之内: 楽器メーカーならではのエピソードですね。S3000/S2100でピアノイメージのブラックサイドパネルを採用したことにも“楽器メーカーである”という思想が通じていますし、音作りにもその姿勢が表れていると感じます。

森井: ありがとうございます。ヤマハではこれまでにも、音に余計な味付けはせず楽器の音を素直に表現する“ナチュラルサウンド”の思想でオーディオ製品の開発を行ってきました。楽器メーカーとして、今後もこの考えは変わらず継承していきます。

実際にS3000は、ミュージシャンやエンジニアなど音楽制作に携わっている方からも高い評価を頂いています。「様々なプレーヤーを聴き比べたが、音源を最も素直に表現したのはS3000だった」と、実際に製品を購入されたエンジニアの方もいらっしゃいました。

山之内: 再生機器側の音の味付けが濃いと、音源の良さや狙いが逆にわかりにくくなってしまうこともありますよね。音楽制作に携わっている方からすると、自分がこだわった音の良さ・ポイントはそのまま聴く側に届けたいでしょうから、ヤマハ製品の“ナチュラルで素直な表現”を評価されるのはよくわかります。

辻川: S3000は、ヤマハHi-Fiが目指す音・デザインを体現したモデルでした。S2100はそのDNAを受け継ぎ、より幅広いお客様に楽しんで頂ける製品だと私たちは思っています。

あと、私自身は現在31歳なのですが、今回S2100の開発を担当するにあたって、自分と同世代の若年層にHi-Fiの魅力を体験してほしいという思いも込めました。私の世代は、大学生のときにiPodが登場したこともあり、音楽を聴くのはポータブル環境でヘッドホン/イヤホンがメインの方が多いと思います。正直、私自身もそういう聴き方が多かったんですが、ヤマハに入社後、据え置き型のスピーカーシステムで音楽を聴いたときに「空気をふるわせて音楽を聴くことは素晴らしいな」と感動したんです。

こういった感動を、S2100でより多くの方に体験して頂けたらと思います。従来のオーディオファンの方はもちろんですし、Hi-Fiを体験したことのない若年層や、ライブ・コンサートに通われる、もしくは自ら楽器演奏をされる方など、全ての音楽ファンに部屋の空気をふるわせて音楽を聴くことの楽しさを堪能して頂きたいと思っています。

山之内: 楽器開発とオーディオ開発の歴史を持つヤマハならではの魅力が詰まったS2100シリーズを多くの方に体験して頂き、Hi-Fiオーディオの世界がさらに盛り上がることを期待したいですね。本日は誠にありがとうございました。

(インタビュー:山之内 正 / 記事構成:ファイル・ウェブ編集部)


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