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企画発案者ABIさん、永谷P、ヒロイン役高垣彩陽さんにインタビュー

ファンの力が実現 −「あなたの力でBD化プロジェクト」から生まれた「true tears」の舞台裏

鈴木桂水

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2009年12月14日
BDレコーダー&プレーヤーが、着々と家庭に普及している。2009年9月に発売にはSCEのPLAYSTATION 3(CECH-2000A)が登場したこともあり、不況下ではあるがこの年末商戦以降もじわじわと家庭に浸透してゆく事だろう。

ハードの普及とともに問題になるのがBDソフトのタイトル不足だ。というのも日本映像ソフト協会(以下JVA)の調査などを見ると、発売中のタイトル数を比べるとDVDとBDでは10倍もの開きがある。2009年時点で本格的にBD機器が発売されてから約3年は経過していることを考えると「普及が遅れている」などの意見も聞かれるようになっている。

筆者やPhile-web読者のように、どっぷりとフルHD環境に浸りBDの恩恵に預かっていると、見たいタイトルがBD化されないもどかしさを感じることも多い。そんな折、BDの規格策定と普及推進を担うBDA(Blu-ray Disc Association)が、ユーザーからBD化を望むタイトルの投票を募り、1位の作品についてパッケージ化に向けて働きかける「あなたの力でBD化プロジェクト ランキング第1弾<アニメ編>」というユニークな試みを行った。

■ユーザーの力で見たいタイトルをBD化!「あなたの力でBD化プロジェクト」

ファンの力でBD化が実現した「true tears」※ジャケット写真とは異なります

「あなたの力でBD化プロジェクト」とは、一般投票でアニメ化を希望する作品を募り、1位を獲得した作品についてBDAの担当者が製品化を働きかけるという企画だ。第1回の投票は2009年8月1日から21日まで実施。集計の末もっとも投票数が多かったのは、P.A.WORKS制作の「true tears」という作品だった。

「true tears」は、PC用恋愛ゲームのタイトルを基に大胆にリニューアルした、ピュアなストーリーが魅力の作品。BDAの担当者が製品化権を持つバンダイビジュアルに働きかけ、製品化へ動き出した。ただし単に販売されるわけではなく「予約入金数が2,000件を超えた場合に販売される」という条件つきだ。バンダイビジュアルによると2009年12月7日時点で入金前の事前予約は予想を上回る数字を推移しており。発売はかなり期待できる状況となっている。

一般からの投票で製品化を実現させるユニークな動きはなぜ実現できたのか? そして、多くの人がBD化を希望するtrue tearsとはどんな作品なのか? 作品の魅力を含めてレポートしていこう。

■BDA担当者に訊くプロジェクトの舞台裏

まずお話を伺ったのはBDAのサイトで「BDマイスターサイト」「ブルーレイディスクの小部屋」を担当しているABI(アビ)さんだ。この方の発案でプロジェクトは動き出した。


「ブルーレイディスクの小部屋」などの名物管理人にして本プロジェクトの発案者・ABIさん
━━「あなたの力でBD化プロジェクト」を始めたきっかけは?

ABIさん:BDのソフトタイトルが普及するにはどうしたらよいか?と考えたとき、投票方式で製品を決めてはどうかと思いつきました。これまでもアニメはBDタイトルの売れ行きが順調で、ソフトを購入するユーザーが多い傾向にあったので、まずはアニメのタイトルでやってみようということになりました。

━━ランキングの結果についてお聞かせください。

ABIさん:投票を始めてみると「true tears」と「ゼーガペイン」の接戦がものすごくて驚きました。投票は1日1回なら、同じ人が何度投票してもよいことにしたのですが、データを解析すると、「true tears」のファンは多くの票を集めつつも、1度投票したら再投票する人は少ない傾向にありましたが、「ゼーガペイン」は同じ人が毎日投票していることが多く、熱心なファンが多いことがわかりましたね。結果を考えると全13話の「true tears」の方が全26話のゼーガペインに比べて、製品価格も安く設定できるはずなので、初めての試みを成功させるにはよかったと思っています。

━━あなたの力でBD化プロジェクトの今後について教えてください。

ABIさん:現在12月21日まで、第2弾の投票を実施中です。今回はPS3の「トロステーション」やアニメ雑誌「アニメージュ」でも投票を受け付け、より多くのみなさんの意見を募っています。現時点では前回惜しくも2位となってしまったゼーガペインが独走していますが、まいにちいっしょのクロさんが応援する「とらドラ!」も健闘していますし、結果が出るまではわかりませんね。個人的にはアニメだけでなく、映画やミュージックの投票が増えればよいのですが、アニメの投票に比べると元気がないですね。ぜひ、映画や音楽ファンもほしいタイトルに投票してください!

■永谷Pが語る、ブルーレイになった「true tears」

次に本作のプロデューサーである、エモーションの永谷敬之氏にお話を伺った。


「true tears」のプロデューサー・永谷敬之氏。ヒロイン・乃絵を演じた高垣彩陽さんと一緒に。
━━true tearsが1位を獲得した感想はいかがですか?

永谷氏:あなたの力でBD化プロジェクトのことは聞いていたのですが、まさか自分が担当したtrue tearsが1位になるとは思っていませんでした。投票していただいた皆さんには感謝しています。いま思えば、この作品は放映中からかなり反響があり、ファンの皆さんの熱気を感じる作品でした。

━━作品の魅力についてお聞かせください。

永谷氏:主人公の仲上眞一郎を中心とした、恋愛のもどかしさを感じる青春群像です。ストレートなストーリーだけに、日頃アニメを見ないという方からも多くの反響をいただいています。それから、舞台となった富山県南砺市の風景をつぶさに書き込んだことも作品に厚みができたと思っています。いまでもファンの方が実際に現地を訪れて、作品を追体験されていると聞いております。

━━映像特典などについてお聞かせください。

永谷氏:TV未放映の新作エピローグ映像を追加した第13話特別版は、キャラクターのその後が気になっているファンには見ておいて損は無いと思っています。実際に富山県南砺市の町並みを紹介する約20分の「true tearsロケ地紹介映像」は、現地へ足を運べない方やこれから訪れてみたいと考えている方に喜んでいただける内容になればと思っています!なぜなら「true tears」は観光大使という任を頂いておりますので。また、作中で重要なアイテムになる絵本「雷轟丸とじべたの物語」をピクチャードラマとして完全収録してお届けできます。

━━今後、投票による作品販売というのは検討されているのでしょうか?

永谷氏:無いとは言い切れませんが、基本は販売店を通じてのお届けするのが一般的だと思っているので、今回はとても異例の試みだと思っています。

━━今回true tearsはBOX販売のみになりますが、各巻ごとのパッケージ販売のご予定はありますか?

永谷氏:これについては完全限定生産ですから現時点で個別のタイトル販売は考えていません。要望があれば考えますが、それでもかなり先になるはずです。ただ、低価格化、という面では、今回のBOXはかなりがんばってお値打ち価格にしています。BOXも追加生産はありませんので、迷っている方は今回の販売を逃さないほうがよいと思います!


■ヒロイン役・高垣さんインタビュー「投票していただいたファンの方に感謝」

最後に本作でヒロインの一人、石動 乃絵(いするぎ のえ)を担当した声優の高垣彩陽さんに、演者から見たtrue tearsの魅力を伺った。


高垣彩陽さんと鈴木桂水氏
━━ヒロインを演じた作品がファンの投票でBD化される感想は?

高垣さん:とにかく驚きました!2009年夏に富山でtrue tearsのイベントがあったのですが、放送終了から2年が経過した作品なのに驚くほどの応募数があり、とても盛り上がりました。それだけでも感動していたのに、さらに今回のBD化のお話を聞いてとても嬉しいです!素晴らしい作品に巡り会えた喜びを改めて噛み締めています。

今回の「あなたの力でBD化プロジェクト」は、いろんな方が注目されていたようで、応援して下さる方だけでなく、ほかの作品の現場でもスタッフの方から「おめでとう」と声をかけていただいています。インターネットでもたくさんの方がブログで応援してくださっていて、とても感動しました。投票していただいたファンの皆様には、感謝するばかりです。

true tearsを大切に思って下さる方がこんなにたくさんいらっしゃるということ、そして作品を通じてみなさんと「気持ちがつながっているんだ」と思うと、とても嬉しいですね。

━━乃絵という役を演じた感想をお聞かせください。

高垣さん:オーディションのときに「魅力的だけどなんて難しい役なのだろう」と思いました。カテゴライズできない、してはいけないキャラクターだと思いました。乃絵は純粋で、自分なりの価値観を大切にしている子なので、彼女とどう向き合うかに心をかたむけました。最初の頃は張り切り過ぎて音響監督さんから「肩の力を抜いて」とよくアドバイスを頂きました。

はじめの頃は頭で考えてしまうことも多かったですが、4話の坂道で乃絵が眞一郎に声をかけるシーンで心で添えるようになったと感じました。このシーンのセリフをどう発したらよいのか、アフレコまで答えが見つからず…「乃絵に任せてみよう」と思ったら、自然にマイク前に立てた気がしました。

━━たいへんな人気作ですが、もし今後、続編ができるとしたら?

高垣さん:私はtrue tearsは完成した作品だと思うので、続編などに関しては思い至りません。でも、今回のBDの特典の新作映像はとってもとっても楽しみにしています!

制作者、ファンの思いがひとつになってこそBD化が実現できた

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