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キーデバイスは直径5.8ミリの「マイクロHDユニット」

ビクターのヘッドホン“HP-FXC”シリーズ開発者に訊く − 独自技術「トップマウント構造」の秘密

公開日 2008/11/07 16:51 高橋 敦
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■すべて手作業で組み立てられる直径5.8ミリの「マイクロHDユニット」

−−では開発においていちばん難しかったのはやはり、そのマイクロHDユニットということになりますか。

石坂氏:そうですね。実物を見ていただければわかるように、従来のイヤホンのドライバーユニットと比べて非常に小さいものですので、設計にはもちろん苦心はしましたが、それ以上に組み立て、生産ラインの確立も大変でした。一ヶ月間、中国の工場に貼り付いて何とか立ち上げました。イヤホンのユニットでこれほど立ち上げが難しかったのは、私が担当したモデルの中では今回が初めてですね。

−−これが実物ですね。

石坂氏:はい。赤っぽく見えるのがコイル、真ん中にあるのが振動板、目玉みたいな部分が磁石です。


直径5.8ミリという超小型サイズを実現した「マイクロHDユニット」

マイクロHDユニット(左)と、ビクター製インナーイヤーヘッドホン(中央)、インイヤーヘッドホン(右)とのユニットサイズ比較
−−ものすごく細やかな構造ですね。

石坂氏:振動板の厚みが100分の5ミリ、コイルの線径は100分の3ミリという小ささですからね。そういうものを組み立てるわけですから、成型にはとても苦労しました。このユニットひとつを組み立てるのに、37人体制の手作業です。顕微鏡で覗きながらの作業もあります。

−−こんな細かい部分を手作業でつくるのですか。

石坂氏:逆に、手作業でなければできません。

−−これだけ繊細な作業だとコストに響いてこないものかと思うのですが、今回の製品は価格も抑えられていますよね。

柿本氏:はい。より多くのお客様にこの商品の良さを楽しんでもらえるように、当初から価格設定を考慮しながら部材選定や加工方法などに取り組みました。またこれに、これまで蓄積した技術を生かしながら開発を進めた結果、リーズナブルな価格で提供する事ができました。


日本ビクター(株)柿本雅博氏
−−特別な素材を使うなどのコスト投入をするのではなく、トップマウント構造というアイディアによって音質向上を実現したことに加え、部材選定や生産技術の蓄積によって、コストパフォーマンスの面での優位を得られたわけですね。

柿本氏:そうなります。

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