新製品批評
Phile-web >> 製品批評 >> Victor Digital Hi-Vision Movie「GR-HD1」

第1回
「GR-HD1」で広がるビクターハイビジョンワールド
2. 「GR-HD1」の真価


ここ数年、BSデジタル放送や2003年12月からスタートする地上波デジタル放送とも絡んで、家庭用AV機器の環境は大きく変化してきた。とくにBSデジタル放送が始まるやディスプレイのハイビジョン化はどんどん進み、その美しい映像は一度見れば忘れられないものとなった。しかし、それはあくまで放送局から流されている映像の話であって、その映像を自ら撮影しようと思っても、そのためには放送局が使っている一台1000万円〜数千万円はするという放送業務用カメラを使うしかなかった。つまり、これまでハイビジョン映像は、事実上、放送局が流すBSデジタル放送を見るだけのものでしかなかったのだ。

しかし、ビクターが開発した新しいビデオカメラによって、ハイビジョン映像を「自 分で撮る」時代が幕を上げた。それが世界初の民生用デジタルハイビジョンビデオカ メラ、「GR-HD1」である。


このモデルの最大のポイントは、本機のカメラブロックに光学式手振れ補正システムを採用した光学10倍ズームレンズと1/3型118万画素プログレッシブスキャンCCDを組み合わせながら、デッキ部にはMiniDVカセットが使えるデッキメカを採用にある。これにより、世の中で普及しているMiniDV方式のカセットをそのまま使うことができるのだ。この組み合わせで、デジタルビデオカメラの主流となっているDV方式のほか、MPEG2方式での記録を可能とし、デジタルハイビジョン映像(720/30p)撮影用の「HDモード」のほか、プログレッシブワイド映像(480p)用「SDモード」、従来のデジタルビデオカメラと互換性のあるDV(480i)で撮影する「DVモード」の、計3モードを実現。しかも、再生時には相互のサイズ変換が可能となっており、この意味でHD1は“マルチフォーマット”に対応したビデオカメラと言うこともできる。
新開発 1/3型メガピクセルプログレッシブCCD
有効画素:
 34万画素(480i)
 46万画素(480p)
 84万画素(720p)
 112万画素(静止画時)
MiniDV方式のデッキメカを使ったとなると、一見してこれまでのDVビデオカメラの延長線上にあるかのように見えるが、それはまったく違う。このカメラはハイビジョン用として最初から開発が行われ、現在市販されているハイビジョン用ディスプレイの多くが再現可能な720pを最大限に記録できる機能をフル搭載しているのだ。レンズにしても多重コーティングを施すことでハイビジョン撮影にふさわしい解像度を達成しているし、ディスプレイとの接続用の端子にはD1〜D4までフル対応のD端子を搭載している。これらはまさにハイビジョンビデオカメラとして独自に開発されたことの証と言えるのではないだろうか。

■GR-HD1 記録/再生方式
映像
音声
DV
(480i)
・DV方式(SD仕様)
・60i(4:3)記録/再生
・デジタルコンポーネント記録
PCMデジタル記録
32kHz 4チャンネル(12bit)
48kHz 2チャンネル(16bit)
SD
(480p)
・MPEG2方式
・60p(16:9)記録/再生
・720×480×59.97Hz
・4:2:0 CBR(固定レート)
MPEG1 Layer2
Stereo 2チャンネル(16bit)
サンプリング周波数48kHz
HD
(720p)
・MPEG2方式
・30p(16:9)記録/60p(16:9)変換再生
・1280×720×29.94Hz
・4:2:0 CBR(固定レート)
MPEG1 Layer2
Stereo 2チャンネル(16bit)
サンプリング周波数48kHz

 

さて、これほどまでに手軽に手に入るようになったハイビジョンビデオカメラではあるが、撮影方法までも手軽になったわけではない。撮影される映像はあくまでハイビジョンなのだ。これまでのビデオ撮影のように手持ちで振り回して撮影するのは決して得策ではない。三脚でしっかり本機を固定し、引き気味でじっくりと撮影して、必要に応じてアップを挿入する。どちらかといえば、映画的な撮影方法が適している。解像度が高いため、フォーカスをより正確に合わせる練習も必要になるだろう。これらは慣れないうちは何かと不自由かもしれない。しかし、これらがうまく使いこなせるようになってこそ、初めてハイビジョン映像が生きてくるわけで、喜びもそれだけ大きくなるのである。

 

「GR-HD1」各部写真
*各部、クリックで拡大します

レンズ
HDズームレンズユニット
新開発の光学10 倍ズームレンズ。マルチコートを施したレンズと大型のレンズフードを採用。ゴーストが少なく、抜けの良い映像記録を可能にする。
グリップ
ローテーティンググリップ

基本的な撮影操作ボタンを配置したグリップ部に、90°まで無段階で角度が変えられる独自の機構を採用。
MPEG2専用編集ソフト
MPEG Edit Studio (R) Pro LE
HD1からキャプチャーしたMPEG2ファイルの編集を家庭用で初めて実現。各モードで撮影した映像のフレーム編集、アフレコ作業など、様々な編集がパソコン上で行える。

 

第1回 1. Hi-Visionとは
2. 「GR-HD1」概要
3. 「ビクターハイビジョンワールド」
 ■ハイビジョン [用語解説]
第2回 1. ハイビジョン映像を「撮る」
2. 「HD1」徹底画質評価
第3回 1. 専用ソフトで作品を創る
2. HD1の持つ様々な可能性