また、主要なアンプ部ではフォノEQに至るまで電流帰還回路を採用しハイスピード化を図っている。リニアコントロールボリュームはSC-7S1で開発された画期的な音量調整機能で、驚異的なチャンネルセパレーション特性実現の一つの要素ともなり、また本機の構成面での特徴となる、理想的なレイアウトを実現する決め手でもある。可変範囲は0〜-100dBを±0。5dBでカバーする高精度タイプである。パワー部の定格出力は100W×2(8Ω)/200W×2(4Ω)でPM-14SAV2と同じだが、瞬時に供給できる電流は倍以上と飛躍的に向上している。MA-9S1の設計コンセプトを踏襲、パワー段の電圧増幅度を12.5
dB と低く抑え、スピーカーからの逆起電力の影響を抑えている。プリアンプ部に電力を供給する電源部には、ソリッドステートアンプでは珍しいチョークインプット型の平滑回路を採用、15000μF×2の電解コンデンサーやショットキーダイオードの採用により、高周波雑音の低減に効果をあげている。チョークコイルを電源トランスと同一ケースに組み込む独自の構成にも注目したい。全入力系にHDAM
SA2のバッファーアンプを採用し、バランス入力アンプ、電流帰還方式のMM/MC対応のフォノイコライザーアンプ、4台までのPM-11S1を高速双方向でシステム制御し、コンプリートバイアンプやマルチチャンネルにも対応できるFCBSの採用など、まさに充実した内容である。