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| PM-11S1は、先行するフラッグシップのセパレートアンプSC-7S1/MA-9S1の開発のコンセプトに基づき設計されているだけに、インテグレーテッドアンプという従来の概念を遥かに超えた雄大なスケール感をベースに、繊細な描写能力も兼ね備えたプレイバックレファレンス的な再生音である。レンジは両翼に伸びやかに広がるがHi-Fi的な誇張感はなくスムーズで、SACDなどの先進フォーマットにマッチする開放感に溢れている。本機はチャンネルセパレーションのよさが特徴だが、その成果は音が複雑に重なり合った際の混変調の少なさに反映され、聴感的なS/Nのよさを演出、広々としたダイナミックレンジをもたらす。
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| マランツのショールームにてPM-11S1とSA-11S1の組み合わせの試聴を行った |
音像に対する描写はリアルで瑞々しく、スッキリとした輪郭の中に濃やかな音の粒子が一杯に詰め込まれた密度感があり、音像自体の立体感や躍動感が実にフレッシュである。各音像は不自然に輪郭が膨張することがなく音像間の分離が良好で、その周辺のアコースティックや雰囲気が映し出され、独特のプレゼンスが得られる。また、音像からの間接音成分の分離も明瞭で、音場感にも奥行きがありアコースティックソースでは豊かなホールイメージが展開する。パルシブなソースでは、ハイスピードな音の立ち上がりが、空間に伸びやかな音像描写を実現、歯切れはよいが刺激的にならず、しなやかで爽快な聴感特性が得られる。明るく晴れやかな伝統的のマランツサウンドにスケール感と豊かな空間描写が加味されている。
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| SA-11S1の基本的な再生音もインテグレーテッドアンプのパターンに準じるが、センターメカニズム配置と筐体構成、ニュープレミアムデザインがもたらす独自の安定感が印象的。CD再生音にあっても伸びやかで高密度なフラットバランスをベースにSACDに肉薄する爽快なパターンが得られ、聴き慣れたソースの深部に埋もれていた細かい情報まで映し出す高い描写性に特徴。SACDではレンジが一段と拡大、しなやかで厚く、生演奏に通じる空気感を演出、アナログに最も近いデジタル方式というDSDの持ち味が反映される。興味深い点は、両フォーマットに対応するフィルター選択機能で、ソースに適正の選択により録音時の環境が克明に再現される。
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| 極限まで探求されたオーディオ特性を誇るPM-11S1の登場であるが、その高度な描写性から生み出される格調高い情緒を感じる再生音である。セパレート方式ではプリ/パワー間に介在する信号ケーブルの影響があるが、インテグレーテッドタイプでは純粋のマランツサウンドが楽しめる。SA-11S1は、CD/SACDのライセンシーグループとして、長年培ったテクノロジーの集大成といえる完成度の高さが特徴で、ディスクに刻まれた情報を100%取り出したい人に薦められる。
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| マランツが音楽のリアルさを追求した新システム、ミュージックダイアログ<シグネチャー>はPM-11S1とSA-11S1、そしてスピーカーはSignature805の組み合わせとなっている(セット価格\1,323,000・税込) |
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