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HA7USB視聴レポート

このヘッドホンの音は文句なしにワイドレンジだ。口径が大きいから低音が出やすいといった単純なことではなく、下から上までどこにも無理のない自然な伸び方を示している。例えばジャズでもウッドベースやピアノの低音部などぐっと深く沈みこみ、にじみのない音調を確保する。無理がないというのは人工的に弾みをつけたような不自然な圧迫感が感じられないということで、どんな音でも意外にさらりと滑らかに対応してしまう。

高域の方も同じ感覚で、金属的で耳障りな尖った音調がなく軽やかで伸び伸びしている。ボーイソプラノの高域は透き通るように瑞々しいが、突き刺すような硬さや濁りがない。ハーモニーがふわりと浮いて漂うように柔らかく繊細だ。


様々なオーディオソースを試聴する井上氏

試聴に使用したPowerBook G4

 

音量調整&ミュート機能
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右のハウジングの外側には、音量調節とミュートのボタンが配置されている

こうした伸びやかな両エンドを基礎に、全体の音調はいたって透明できめが細かい。そして当然のことながらS/Nが極めて良好だ。試しにパソコンのヘッドホン出力と比べてみると、明らかにレンジが広く背景が静かだ。感覚的に言えば一桁違うといった印象である。USB接続の効果が一目瞭然となる瞬間である。

静寂な背景と微小レベルの再現力によって、音場の出方も豊かなものになっている。声楽ではホールの情景が目に浮かぶように広がり、音像のフォーカスも鮮やかだ。ピントがよく合っている。声の質感にくせがなく、ピアノとソプラノがステージにくっきりと立つ。

バロックは緻密なアンサンブルと艶やかな音色が穏やかな感触で描かれている。わずかに中域を引いたバランスが押し付けがましさのない音調を生み出し、たっぷりとした余韻が四方にしみわたってゆくようだ。いつでも重苦しさがなく、軽快で爽やかである。