HOME > レビュー > 白熱電球、電源を入れたタイミングで切れがちなのはなぜ?

【連載】ガジェットTIPS

白熱電球、電源を入れたタイミングで切れがちなのはなぜ?

公開日 2022/09/21 06:30 海上忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
電気ストーブや掃除機など、比較的 “電気を食う” 家電の電源をオンにしたそのとき、一瞬だけ部屋の照明が暗くなった/チラついたという経験はありますか? それはおそらく「突入電流」。電化製品のスイッチを入れた直後、ごく短時間流れる定常電流値を超えた大電流のことです。

突入電流のイメージ(Image:Noinrush)

突入電流が生じる原因としては、大容量/大量のコンデンサを充電する必要があるから、電源投入直後はフィラメントの抵抗が小さいから、といった理由を挙げることができます。特にモーターを使用する電化製品は、起動電流が定常電流を上回ることが大半といっていいほどです。

そしてフィラメントといえば...そう、白熱電球の発光体として使われています。照明用フィラメントの主要素材であるタングステンは、一般的な抵抗とは異なり、電圧が加わり電流が流れると次第に抵抗値が高まるという特性を有しています。照明用フィラメントは高抵抗の部材ですが、電源投入直後から一定しているわけではないのです。

Image:Pushish Images/Shutterstock.com

電源投入から間もない照明用フィラメントは抵抗値が小さく、発熱するまでの数十分の1秒ほどのごく短い時間に、通常の数倍もの電流が流れます。だから繰り返し使用し蒸発により細くなった照明用フィラメントは、大電流が流れる電源投入直後に(局所的に細くなった部分が)焼断されやすい、切れやすいというわけです。LED照明への置き換えが進んだ現在、なかなか白熱電球に出会う機会はありませんが、電源オン直後に切れるのは珍しいことではないのです。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE