Bowers & Wilkinsの新フラグシップ「Px8 S2」レビュー。ワイヤレスの枠を超えた"妥協なきヘッドホン”

プレミアムな価格帯のヘッドホンで近年、利用者を増やしているBowers & Wilkins(以下、B&W)。その牽引役となっていた「Px8」が、音質もデザインも刷新されて「Px8 S2」へと進化しました。審査員も太鼓判を押すワイヤレスヘッドホンとは思えないサウンドは必聴です。
実在感を感じる圧倒的な解像度、リッチすぎる重低音
特にサウンドクオリティの高さは特筆すべき点であり、ワイヤレスヘッドホンの極致とも呼ぶべき圧倒的なサウンドパフォーマンスこそが最大の評価ポイントです。
ドライバーユニットは歪みを極限まで低減し、高解像度を最大化するために専用設計された40mmカーボンコーン・ドライブユニットを搭載しています。
ドライバーを駆動するアンプ部も、最適化された独立の24bit DSPに加え、DACやアンプまでも個別に搭載するという贅沢な構成を採用しています。
そしてワイヤレスの側面では、CD品質のロスレス伝送を実現する「aptX Lossless」、および最大96kHz/24bitのハイレゾ伝送に対応する「aptX Adaptive」をサポートしています。
特に有線接続に迫る情報量を無線で伝送するロスレス再生の重視は、B&Wのワイヤレス技術におけるアドバンテージともいえます。
さらに、B&W「Px8 S2」は今夏に登場した弟モデル「Px7 S3」でも評価された薄型ハウジングを採用しつつ、ドライバーを耳に対して15.4°傾けて配置する「アングルド・ドライバー」構造も継承しています。
これにより、密閉構造かつスリムな外観からは想像できない、優れたフォーカス感と広大なサウンドステージを両立しています。
採用したマテリアルにおいてもフラグシップの品格を示します。イヤーカップやヘッドバンドなど肌が触れる主要部には上質なナッパレザーを惜しみなく使用しています。
アーム部には堅牢なアルミダイキャストを採用し、P7でも採用された実績のあるケーブル露出デザインが機能美と高級感を演出します。

快適な装着性。ノイズキャンセリングも強力
実際に装着してみると、人間工学に基づきテストを繰り返したというスリムなシルエットは見た目の美しさだけでなく、長時間の使用にも耐えうる快適な装着性と高い気密性につながっていることがわかります。
出荷時からB&Wのレファレンスサウンドを届けますが、連携する「Bowers & Wilkins Music」アプリもアップデートされています。
カスタマイズ可能な5バンドEQに加え、EQプリセット保存機能(最大10個)が登場しました。標準設定の「True Sound」を基準としながら、自身の好みを反映させる自由度も手に入れています。
アクティブ・ノイズキャンセリングも強力です。左右合計8つのマイクを最適配置し、特に中低域のノイズキャンセリング性能が大幅に向上しています。
試聴でも、電車内の騒音を重低音から中高域まで自然に低減する効果が確認できました。サウンド哲学どおり、音楽のダイナミクスやエネルギー感を損なうことなく、静寂と高音質を両立させている点は見事です。
まさしく「レファレンス」となる価値を備えたヘッドホン
音質は、J-POPの米津玄師&宇多田ヒカル『JANE DOE』から聴きはじめると、深く沈み込むベースラインと、それに埋もれないボーカルの分離感の高さに驚かされます。
音像が空間に立ち上がりスッと消えるキレのよさが、空間をよりリアルに再現してくれ、極めてリッチなサウンドを構成しています。ピアノの音階も見通しがよく美しいです。
洋楽のROSÉ & Bruno Mars『APT.』では、歌声の粒立ちがよく、まるで部屋が振動するかのような強烈な重低音と圧倒的な臨場感に支配されます。
ジャズのダイアナ・クラール『夢のカリフォルニア』でも情報量の多さに驚きます。ブリリアントな女性ボーカル、ピアノの美しい余韻、弦楽器の立体的な「実存感」まで、生々しく描き切ります。演奏現場のライブ感をこれまでになく再現してくれるヘッドホンです。
B&W「Px8 S2」は、ワイヤレスヘッドホンというジャンルの中で、音質、デザイン、機能性のすべてにおいて一切の妥協を排した製品です。
売価は12万円台後半というプレミアムな製品ですが、得られる体験とサウンドは価格以上だと感じます。
まさしく「レファレンス」となる価値を備えたヘッドホンだといえます。
※本記事は『VGP受賞製品お買い物ガイド 2026年冬版』からの転載です。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)
