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【特別企画】空き端子に挿入して使用

音源本来の魅力を引き出すフルテックの「ラインオプティマイザー」。RCA/XLRタイプをチェック

公開日 2023/11/18 07:00 角田郁雄
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フルテックの「NCF Clear Line」は空き端子に差すだけで、ノイズをチューニング処理してくれるパッシブタイプの注目アクセサリー。最高峰RCAとXLRプラグの技術を応用し、特殊制振塗料でコーティングしたセラミックコンデンサーで音の色付けをせず、埋もれていた音源本来の魅力を引き出す効果を持つ。その注目の効果を角田郁雄氏が自宅のシステムで体験した。

フルテックのラインオプティマイザー「NCF ClearLine-RCA」 (28,380円/1個、税込、右側の2つ)、「NCF ClearLine-XLR(F)」(39,380円/1個、税込、出力用、右から3番目)、「NCF ClearLine-XLR(M)」(39,380円/1個、税込、入力用、右から4番目)

入出力の空き端子を積極活用し、埋もれていた表現力を引き出す



フルテックは、静電気と振動を低減させるNCF素材を研究開発し、製品化を行った。その代表製品は、「NCF Booster」シリーズだ。国内はもちろんのこと、世界のハイエンドブランドによるオーディオショウなどでも使用され、愛好家の導入が広がった。

さらに電源コネクターやRCAとXLRコネクターへも採用し、これらを搭載したケーブルなども発売。とりわけ、RCAとXLRコネクターは、従来では考えられない、コネクター自体の静電気と振動を低減することに成功した。私個人としては、電気的特性において静電容量を低減させていると考えられ、固有音の少ない高解像度ワイドレンジ・コネクターに仕上がったと、高く評価し導入した。

そして、電源用のオプティマイザー「NCF Clear Line」に続き、今回は新製品として、ライン入出力の音質を最適化するラインオプティマイザー、「NCF Clear Line-RCA」と「NCF Clear Line-XLR」を登場させた。本製品は、CDプレーヤー、DAC、プリアンプ、プリメインアンプなどの空き端子に設置することにより、S/Nの改善、音のディテール向上、埋もれていた音源本来の魅力を引き出すことを目的としたアイテムだ。

その形状は写真のとおりで実に精密感があり、美しく高級感のあるデザインだ。その構造は実に複雑で、主たる構造を紹介しておこう(詳しくは図を参考にされたい)。

構造図(右がRCA、左がXLR)。独自の静電気と振動を低減するNCFや高品位素材を、特殊設計で採用する

本体は、RCAコネクターである「CF-102 NCF」やXLRバランス型コネクター、「CF-601M NCF」「CF-602F NCF」の構造を踏襲し、ピン絶縁体とピンの中心にNCF材を採用している。ハウジング(外装)には、制振性の高いステンレス材が使用され、その表面は、特殊なNCFカーボンファイバー層など4層で仕上げられている。

さらにハウジングの表面積を増やすために凹凸のついたNCFエンドカバー(本体のキャップ)までも設置。もし、これをコネクターと考えれば、結構、重量級だ。これは、制振効果を高めると同時に、微細ノイズの導電性とNCFの静電気除去性能を高めるために、本体の低インピーダンス化を図ったのではないかと、私は推察している。

これだけでも音質効果が得られると思うのだが、これに留まらず、内部には、パッシブタイプのセラミックコンデンサー(2個)までも採用した。これは、コンデンサー内部の誘電体がノイズを吸収するためで、音質に関係するため、数々のコンデンサーを試したそうだ。微細振動低減のために、シルバーの特殊制振塗料でコーティングも行った。

さらに同社お家芸の超低温処理及び特殊電磁界処理である「α-Process」を本体に施し製品化した。このように高精度な技術が搭載されているのだ。

NCF Clear Line-RCA -透明度が向上し空気感も再現-



実際に「NCF Clear Line-RCA」をSACDプレーヤーのRCA出力端子に使用したが、音質は明らかに変化した。ヴォーカル曲を再生すると、ピアノ、トランペット、ヴォーカルにアタック感が強い状態が、本製品を使用するとその強調感が和らぎ、繊細で柔らかな音質が加わり、自然な立ち上がりが聴けた。

「NCF Clear Line-RCA」はチャックロック式の機構を備えており、最良の効果を得るためにはロックして使用を推奨(ボディは回さずに、ハウジングのみを回して使用)

これはまさに、ノイズに埋もれそうな超微弱音が楽器や声の倍音に付加されたからだと推察される。声質は、まさに肉声のように思えた。音の透明度も向上し、録音場所である教会の空気感もよく再現された。

RCA同軸デジタル入力でも試したが、一番効果的であったのは、RCA出力だ。この点は、機器によっても違いがあるはずなので、試すと良いであろう。

真空管フォノイコライザーやプリアンプの入力端子では、静寂感が明らかに増し、解像度が向上した。これらは、基板からの微細ノイズだけではなく、基板に発生する微細な静電気までも低減しているからであろう。

NCF Clear Line-XLR(M) -複合使用ではより私が望む音に-



次に「NCF Clear Line-XLR(M)」をプリアンプの入力端子でも試したが、CDプレーヤーと同様の効果が得られた。前述のCDプレーヤーとこのプリアンプに同時使用すると、驚くほどの高解像度な空間描写性が得られた。クラシックでは、未使用時には左右両翼のヴァイオリンパートのアタック感がシャープ(音のエッジが強め)だったが、そのエッジが弱まり、録音の良い曲を再生すると、演奏会に近い、柔らかで膨らみのある音へと変化した。こうした変化は私の望んだ音だ。

「NCF Clear Line-XLR(F)」と「NCF Clear Line-XLR(M)」。同社最高峰のXLRプラグの優れた構成を継承した設計によって、より効果的にクオリティアップに貢献する

実際の使用にあたっては、機器の入出力で試し、最も効果的な端子を選ぶと良いであろう。もちろん、最適な位置を探り、数を増やせばさらに効果が増す。ぜひ一度、専門店で試すと良いであろう。

電源用の「NCF Clear Line」(27,588円、税込)。空いているコンセントに差し込むだけで効果を得られる


【本シリーズの主な特徴】●センターピン内部に静電気対策としてフルテックの特殊素材「NCF」を注入したAlpha OCCロジウムメッキのワンピース中心導体●全てのコネクター、導体の金属部品は、フルテックの2段階の超低温処理および特殊電磁界処理「α-Process」を採用●エンドカバーは、NCF配合耐熱性ナイロン樹脂製で振動を効果的に吸収●優れた振動減衰特性を持つマルチマテリアルハイブリッド構造を採用
(協力:フルテック)


本記事は『オーディオアクセサリー大全2024〜2025』からの転載です。

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