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入門者にオススメ!アナログプレーヤー(5)デノン「DP-500M」

2016/07/07 石原 俊
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抜群の上質感と高級感を持った上級機譲りの高剛性プレーヤー
DENON DP-500M
¥85,000(税抜)


==こんな方にオススメ==
上級機に準じたクオリティ

筆者は本機の兄貴分に相当するDP-1300MkIIを自宅で愛用している。本機の音はそれに準ずるものだ。本文には記さなかったが、本機の音には、1950〜70年代にイギリスで製造されたアイドラードライブ式機のきっちりと調整された個体に一脈通じるところがある。入門者はもとよりベテランにもお薦めしたいモデルである。



■高いSN比と力強い表現が両立している

DENONのダイレクトドライブ式機である。同社はテクニクスとともにダイレクトドライブ方式のターンテーブルを開発したメーカーとして歴史に名が刻まれている。本機は現在の同社のセカンドクラスのモデルで、その内容は上級機のDP‐1300MkIIに準ずる。このクラスの製品としては上質感・高級感が抜群だ。とくにスタティックバランス式のS字型トーンアームは金属を多用したもので、剛性が高く安心して使うことができる。ターンテーブルはアルミダイキャスト製の重量級で、これまた安心感がある。付属するカートリッジは標準的なMM型だ。DJ用機ではないが、スタート/ストップは素早く、レコードをかけ替える際にベルトドライブ式機のようなもどかしさがない。

そのサウンドはこのクラスのダイレクトドライブ式機の代表格といえよう。外力によって回転するベルトドライブ式機は安定感と静寂感が支配的だ。それに対してターンテーブルをモーターがダイレクトに回転させるダイレクトドライブ式機は、音にスピード感と力感がある。これはアイドラードライブ式機にもいえることなのだが、この方式はSN比が得にくい。その点、本機は高いSN比と力強い表現が両立している。

ジャズはエネルギッシュ。現代の最先端機のように音場の中に音像を点描するのではなく、音そのものが空間から飛び出してくるのだ。この生命力のあるサウンドに接すると、ベルトドライブ式機の淡白な表現では物足らなくなる。解像度はベルトドライブ式機に一歩譲るが、ジャズをジャズらしく楽しむのには本機のほうがいい。

ヴォーカルは基本的にニュートラルなのだが、レコードによって千変万化を遂げる。言い換えれば出たとこ勝負ではあるのだが、この偶然性がアナログの楽しみであり、レコード蒐集趣味のキモだと思う。本機のユーザーはレコード屋めぐりが人生の大きな楽しみになるだろう。

クラシックは大きな可能性を感じた。付属のカートリッジのエネルギーバランスは摩天楼型だが、低音がよく出るカートリッジを装着すれば、アナログらしい堂々たる表現が手に入るにちがいない。



【SPEC】
●駆動方式:クォーツサーボ式ダイレクトドライブ ●回転数:33・1/3、45rpm ●ワウ・フラッター:0.1%以下(WRMS) ●起動時間:0.3秒以内で規定回転(33・1/3rpm時) ●ターンテーブル:アルミダイキャスト径331mm(裏面振動吸収ラバーによる防振処理) ●トーンアーム:スタティックバランス S字型パイプアーム ●負荷特性:針圧80gで0% ●回転数偏差:±0.003%以内 ●外形寸法:450W×170H×370Dmm(フット含む) ●質量:10.1kg ●取り扱い:(株)ディーアンドエムホールディングス



このコンテンツは「やさしくできるアナログレコード再生の本」からの転載です。
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