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【レビュー】 気軽にハイレゾを楽しめる192/24対応DAC&アンプ内蔵USBヘッドホン − オーディオテクニカ「ATH-D900USB」

公開日 2014/02/17 10:28 高橋敦
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PCでの音楽再生、特にいまや主流とも言えるヘッドホン再生をより高音質化したい。その大きな要素となるアイテムはUSB-DAC、ヘッドホンアンプ、ヘッドホンだ。前のふたつは一体型になっている製品も多い。しかしそれらはそれぞれの選択肢がありすぎて組み合わせ方が悩ましいし、機器が増えればデスク上が煩雑になる。

そこでオーディオテクニカの提案が「ATH-D900USB」。前述の3つのアイテムをすべて合体させた、USB-DAC/ヘッドホンアンプ搭載ヘッドホンだ。PCと本機をUSBでつなぐだけでヘッドホン再生システムを一気にグレードアップできる。「これから本格的にヘッドホンオーディオを始めるにはまずは何を揃えたらいいの?」という方に向けての「これ一台でOK!」なアイテムだ。


見た目は普通のヘッドホンと変わらない。価格は税込3万7800円

PCとATH-D900USBをUSBケーブルでつなぐだけなのでデスク上もすっきり
USB-DAC部分は192kHz/24bit対応で、いわゆるハイレゾ音源もスペックダウンさせることなくそのまま再生できる。アンプ部分も高解像度と高ダイナミックレンジを実現し、ハイレゾを含めてあらゆる音源の魅力を存分に再現。ヘッドホン部分も、53mmと大口径のドライバーの搭載などで再生能力を高めてある。

使いやすさも万全。「3Dウイングサポート」はヘッドバンドの長さ調整不要でさっと着けられて優しくフィット。加えて本機はアンプ等も内蔵する大型機の割には重くなく、そして大型なおかげでイヤーパッドが耳をすっぽり覆うので、装着感良好だ。電源はUSBでPCから供給されるので電池は不要。充電や交換の手間もない。

ボリュームは左耳側ハウジングのボタンで調整。慣れれば手探りで操作できる。インジケーターは再生中の音源のサンプリング周波数に合わせて色が変わる。装着中は自分では見えないが、最初の動作確認時などに役立つ。


端子部とボタンとインジケーター。特殊な機能は搭載していないので普通に音量調整だけで高音質を楽しめる
なお本機にはアナログ接続端子とケーブルも用意されており、普通のヘッドホンとしても利用可能。本機の実力がフルに発揮されるのはUSB接続時だが、例えば「外出時にはスマホとアナログ接続、帰宅したらPCとUSB接続」といった使い方もできる。


スマートフォン等とのアナログ接続時には(内蔵アンプを使わず)普通のヘッドホンとして機能する
なお付属専用ケーブル以外でも保証外で動作はするが、専用ケーブルはハウジング側の凹凸に合わせて整形されていて固定がぐらつかず確実。このことは音質にも耐久性にも影響するはずだ。


付属ケーブルの本機に接続する側はこのような形状となっており…

本機ハウジング側の凹にはまることでがっちり堅牢に固定される
サウンドの印象は最初におおよそをまとめると、心地よく硬質な音像と引き締まった低音によって、実にソリッドでタイト。それでいて低音の迫力不足も感じさせない。重量感が控えめな分はスピード感で補われている。

上原ひろみさんのピアノ・トリオのアグレッシブな編曲と演奏が光る「MOVE」ではまず、冒頭のピアノの硬質で緊張感のある音色と響きの成分の豊かな描き込みに関心。続いてのライドシンバルも金属質の薄刃さで緊張感をさらに高めるが、その薄刃さをこのヘッドホンは巧く強めてくれる。研ぎ澄まされた高域表現だ。

ドラムスは太鼓も見事。音の頭のアタックから抜けが良いし、スタンッ!と最後に「ッ」が付くような語尾のキレもある。バスドラムの低い空気感の成分もクリア。ベースのスタッカートもスパッと決まっている。リズムの再現性はハイレベルだ。

Perfumeのハードエレクトロな曲「Enter the Sphere」では、高域の再現性のおかげで、シンセやシンセベースのギラギラとかジリジリとかするエッジ感の出しっぷりが良い。音像のタイトさによって音場に綺麗に残された余白を生かしてエフェクト成分や定位もクリアで、空間性も実に豊かだ。

女性ボーカルは坂本真綾さんの何曲かで確認。ドライというほどではないが、声の艶や湿度感は控えめな印象。シャープな成分を強めに出して、歌(言葉)を刺してくる部分がより鮮やかだ。

USB-DAC、ヘッドホンアンプ、ヘッドホンをトータルでチューニングできる強みも生かされているのか、そのサウンドチューニングは実に整っていて完成度が高い。加えてシステムをシンプル&コンパクトに構築できる利点もある。手軽に良い音を!という方には確かにぴったりなアイテムの登場だ。

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