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フラグシップの設計を受け継ぐ新シリーズ

ヤマハ新AVアンプ「AVENTAGE」速攻レビュー − 異なる音質チューニングを徹底チェック!

2011/08/25 高橋 敦
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フラグシップの設計を受け継ぐRX-A2010とRX-A1010

北米で「AVENTAGE(アヴェンタージュ)」シリーズとして発売されていたヤマハのAVアンプが、このたび国内にも導入される。「RX-A3010」「RX-A2010」「RX-A1010」の3モデルである(関連ニュース)。上位のRX-A3010はリリース近くまでチューニングを行っているとのことで試聴が叶わなかったが、RX-A1010とRX-A2010はチェックすることができた。さっそく2機種を紹介しよう。


RX-A2010

RX-A1010
両モデルとも、DAC回路とアナログ入力回路のグラウンドを共通化、基準グラウンド電位を一致させた「D.O.P.G」構造をハイエンド「Z」シリーズから継承。微小な信号も損なわず再生する。さらに、RX-A2010にはZシリーズの技術が各所に投入されている。例えば筐体の振動対策は両モデルとも入念だが、RX-A2010は上位モデルと同じく、Zシリーズで確立されたH型クロス構造フレームを踏襲している。

また、AVENTAGEシリーズ共通の技術として、底面中央に追加された5本目の脚「A.R.T Wedge」に注目したい。設置安定性の向上、筐体の共振の分散、電源トランスの微細な振動の抑制といった効果を得ている。

機能面は両モデルとも、iPodデジタル接続、DLNA 1.5&Windows 7準拠のネットワーク再生、スマートフォン用アプリ「AV CONTROLLER」からの操作といった現代的な機能を網羅。特に「AV CONTROLLER」の存在とシンプルな操作性は高く評価したい。無数のボタンが密集した付属リモコンに拒否反応が出る方には嬉しい選択肢だ。


フロントのUSB端子はiPodデジタル接続に対応

「AV CONTROLLER appの存在とシンプルな操作性は高く評価したい」と語る高橋氏
そしてヤマハの誇る音場創生技術「シネマDSP」。7.1ch対応のRX-A1010は、高さ方向の奥行きを加える「シネマDSP<3Dモード>」、9.2ch対応のRX-A2010はその構成を活かして、側方から後方にかけての音の移動感や距離感などの表現をさらに拡張する「シネマDSP3」を搭載している。

RX-A2010の方は、さらに最大8地点での計測結果を総合的に判断・評価するマルチポイント計測に加え、初期反射音を制御する「YPAO-R.S.C.」を備えた新世代YPAOを採用。上位モデルRX-A3010と同等のビデオプロセッサー「HQV Vida」も搭載しており、SDからHDへのアップスケーリングなどを高品位に実現する。

2機種の音質の違いは?


試聴中の筆者
さっそく2機種の音質をチェックしていこう。最初はRX-A2010で、BDソフト『エンジェル ウォーズ』の試聴を開始した。まずは寺院あるいは道場のような場所での対話シーン。細部にわたる描写力により、広い木造空間の感触が表現されており、台詞が響いてから吸収される様子を十分に伝えている。動く巨大甲冑にヒロインが襲われる部分では、ややエンハンスされた高域で、甲冑の振り回す長刀の派手なサラウンドの決まりっぷりが爽快だ。

続いては死体兵団を相手にした近代戦場に移る。脈絡のない展開であるが、そういう映画なのだ。ここでは上空を行くプロペラ機の爆音や、行き交う砲声の手応えが印象に残った。耳当たりの良い柔らかく大きな響きで、派手なのにうるさくない、絶妙のチューニングだ。劇場志向の音作りとも言える。

音楽再生でも、ベースなどの低音は適度に緩められてボリューム感がある。


USBメモリ内のFLAC再生にも対応
RX-A1010でも同じ場面を試聴した。RX-A2010と比較し、情報量が少し整理された印象だ。例えば長刀の鋭さなど高域は少し落ちる。しかしRX-A2010と比べればの話であって、十分なレベルは確保している。低音は、絶対的にではないが、RX-A2010の大きな響きと相対させれば引き締められており、タイトだ。砲声などは、スケール感は抑えられるが、その分スピード感が引き出されている。

音楽再生では、やはりワイドレンジではないものの、出ている範囲での帯域バランスの良さを実感。弦楽低音パートのスタッカートのキレの良さからは、低音の良質さも再確認できた。

両モデルとも当然のごとく充実した音だ。それぞれチューニング傾向が異なるので、予算だけを理由とせずに選ぶ楽しみもある。シリーズとしてのその面白味も評価したい。そしてこれらのさらに上には、RX-A3010が控えているわけだ。こちらへの期待も膨らませずにはいられない。

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