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迫力の重低音サウンド

米国逆輸入のタフでスタイリッシュなヘッドホン&イヤホン − JVC“XXシリーズ”を聴く

2011/07/04 レビュー/高橋 敦
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アメリカ発モデルのヘッドホン・イヤホン“XXシリーズ”が逆輸入の形で登場した。ヒップホップ・ミュージックとエクストリーム・スポーツを意識したという、ヘヴィでタフなアイテムだ。


XXシリーズのヘッドホン「HA-M5X」
全モデルにクリアでキレのある重低音を生み出す「エクストリームディープバスポート」を採用。ヘッドホンはネオジウム磁石採用大口径ドライバー、イヤホンのドライバーもネオジウム磁石採用。イヤホン上位モデル「HA-FX3X」は振動板にカーボンを採用し、ハウジングは金属製だ。


外部からの衝撃に強いエラストマー素材の“Touch”ラバープロテクターを採用

長さ調整が可能なヘッドバンド
ルックスは見ての通りのハードな仕上げ。衝撃に強いエラストマー素材の「タフラバープロテクター」を装備し、実際にハードな扱いにも耐える。ヘッドホンタイプは、ヘッドパッドと低反発素材のイヤーパッドで装着の快適さも確保。装着時には見えなくなるパッドを迷彩柄にしてある遊び心もにくい。

ソフトタイプのヘッドパッドは迷彩柄を採り入れたスタイリッシュなデザイン

低反発素材のイヤーパッド


ケーブルは左右両出し

3.5mmステレオミニジャックを採用。ケーブルは赤色のカラーリングが採用されている
黒の本体とのコントラストも鮮やかな赤いケーブルは、導体に音質面で優位なOFC素材を使っている。ケーブルの太さはヘッドホンで2.6m、イヤホンで2.0mm。少し太めだが実にしなやかだ。

ヘッドホンの上位モデル「HA-M5X」でR&B系音源を聴いてみると、実に密度の濃い音場が再現される。低域はもちろんだが中域にまで充実感があり、力強い厚みを持つ。

高域側は意外と穏やかな感触だ。強烈なエッジ感を望む方には物足りないかもしれないが、耳障りな感じがしないのが良い。高域のその感触は女性ボーカルの柔らかな描写にもつながっている。総じて音色の太さと柔らかさは、2B以上の濃くて柔らかい鉛筆での描画を思い起こさせ、細密ではないが濃厚な描写だ。


左がHA-M5X、右がHA-S4X

ヘッドバンドにユニット左右の表記とブランドロゴを配置
ヘッドホンタイプのエントリーモデル「HA-S4X」は、ドライバー口径が小さくなるので音の太さや厚みは少し控えられるが、それでも十分な充実ぶり。ベースやドラムスのソリッド感は高まっているので、むしろこちらを好む方もいるかもしれない。音の感触は「HA-M5X」との一貫性が強く保たれており、同じく2B的な描写だ。その感触の音色がぎゅっと詰め込まれた音場の密度感も、やはり同様である。


HA-FX3X

ハウジングにシリーズロゴを配置
イヤホンタイプの上位モデル「HA-FX3X」は、低音を確かに充実させながらも、無駄な響きや膨らみのないタイトな感触も兼ね備える。低域から高域までキレが良い。メタルハウジング採用の狙いがズバリという感じだ。音場はぎゅっという密度は感じさせず、余白も適度に残して見通しが良い。ロックのベースのソリッドな力強さも好感触。ボーカルは特別に柔らかな感触ではないが、刺さるような鋭さにもせずに、それでいて実にクリアだ。


HA-FX1X
イヤホンタイプのエントリーモデル「HA-FX1X」は、「HA-FX3X」よりも手綱を緩めた音色で、タイトさは感じられなくなるが、その奔放な躍動は魅力的でもある。ロックやクラブ系の音源を屋外で聴くのにはハマりそうだ。高域側には粗さが残り、シンバルや女性ボーカルのざらつきがやや感じられるものの、歪んだギターのザクザク感などは、その傾向が良い方向に発揮される部分もあるので納得だ。

各モデルごとに個性はあるが、ルックスからの印象を裏切らないサウンドであることは共通であると言える。鮮烈なデザインに心を惹かれた方は、ぜひチェックしてみてほしいシリーズだ。

高橋 敦 プロフィール
デジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。

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