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軽量・薄型化を追求

レノボ、4K HDR/アトモス対応の新“ThinkPad X1”。 旗艦機「Carbon」と2in1「Yoga」

公開日 2019/06/25 11:16 編集部:平山洸太
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レノボ・ジャパンは、ノートPC「ThinkPad X1 Carbon」「ThinkPad X1 Yoga」の2019年モデルを本日6月25日よりビジネス向けモデルとして受注開始する。出荷は28日頃を予定しており、価格はThinkPad X1 Carbonが233,000円(税抜)より、ThinkPad X1 Yogaが246,000円(税抜)より。

新ThinkPad X1シリーズが発表

両機種とも、4K HDR IPS液晶を選択可能なほか、最大で第8世代のCore i7 プロセッサー、メモリー16GB、ストレージ2TB SSDを搭載可能。また、ノートPCでも快適なオンライン会議などが行えるよう、マイクやスピーカー機能の根本から見直したという。

「ThinkPad X1 Carbon」

「ThinkPad X1 Yoga」

スピーカーにはDolby Atmosを搭載し、2つのウーファー、2つのトゥイーターを搭載する。マイクは液晶ベゼルの上面に4つ搭載し、全方向均一性能を実現、感度も2倍以上に向上した。これによりPC前の利用者だけでなく、会議のように複数人が話す環境での使用も想定されている。

上部にマイクを搭載

ウーファーユニットは従来から75%大型化

またセキュリティ面にも配慮しており、WEBカメラ部分を隠すことが可能な「ThinkShutter」を搭載。またワンタッチでON/OFFや角度調節できるのぞき見防止フィルター「Privacy Guard」を搭載可能(オプション・夏頃選択可能になる予定)などセキュリティ面も配慮した。

「ThinkShutter」

基盤部分などは共通化されており、2機種とも基本的な仕様は同様。大きく異なるのが筐体設計となっている。ThinkPad X1 Carbonは筐体にカーボンを採用した14型のフラグシップモデル。さらなる薄型化、軽量化を実現したとしており、従来モデルから6%の薄型化と約40g軽量化した。

キーボード面(X1 Carbon)

筐体内部(X1 Carbon)

ThinkPad X1 Yogaは、狭額縁ディスプレイとアルミニウム筐体を採用した2-in-1 PC。狭額縁ディスプレイにより、13型サイズの筐体に14型のディスプレイを搭載したとする。筐体に使用するアルミニウムはThinkPad初となるCNC削りだしで製造されている。従来モデルから11%薄型化され、17%小型化、また約70g軽量化された。

キーボード面(X1 Yoga)

本日都内で発表会を開催し、製品のコンセプトや技術的にこだわった点などがプレゼンで解説。冒頭には同社代表取締役社長のDavid Bennett氏が登壇し、事業戦略について述べた。

レノボ・ジャパン 同社代表取締役社長 David Bennett氏

Bennett氏によると、同社の法人市場での成長率は前年比プラス51.4%とのこと。働き方改革においてもマーケットリーダーになっているとアピールした。同社ではPCを用いることで、在宅勤務や外出先など、場所と時間に囚われない働き方を推進しているという。

そこで実施された自社調査によると、日本においてテレワーク制度の利用者は4.9%。その背景には「職場の方が生産性が高い(62.7%)」「職場の会議に参加できない(44.1%)」「セキュリティが心配(42.0%)」という意見があったとのこと。これを改善すべく、今回の新製品に至ったという。

日本でのテレワークの普及度は約5%

テレワークが活用されない背景として、「セキュリティが心配」などの声があるという

またプロダクトマネージャーを務めた吉原敦子氏は、PCの果たす役割の変化について言及。これまでの創るためのツールとしてのPCから、オンライン会議や共同編集といったコラボレーションツールの機能も求められていくと述べた。そこで今回の製品では、オンライン会議での利用を前提とした「オーディオ」、のぞき見防止などの「セキュリティ」、働くモチベーションを向上させる「外装」の3つにフォーカスし、こだわったという。

レノボ・ジャパン コマーシャル事業部 企画本部 製品企画部 吉原敦子氏

製品の詳細についての解説は、大和研究所の方々から実施。第3先進ノートブック開発 システムデザイン 高橋睦良氏はデザインコンセプトとして「大画面・可搬性・デザイン性」「会議ツールとしてのオーディオ」「どこでも いつでも つながる」「実環境バッテリー駆動時間」「安心して使えるセキュリティ」を挙げた。

大和研究所 第3先進ノートブック開発 システムデザイン 高橋睦良氏

同氏によると、今回のシステム設計では多くの技術的チャレンジがあり、2017年度から研究所を中心に実施していた2台のコンセプト機を組み合わせたとのこと。1台目のPoC(Proof of Concept)“H”は14インチ・狭額縁、4スピーカー+4マイク、バッテリー駆動時間を、もう1台のPoC-“C”ではLTEサポート、金属筐体&薄型化、製品品質向上のための共用のマザーボードといった特徴があったという。

多くの技術チャレンジによって開発

会議のためのマイクは、筐体液晶部の上面に搭載する。従来はWEBカメラの左右に設置されていたため、PC前の使用者の声を拾う想定だったが、上向きの配置になったことにより、360度の全方向から録音できるようになった。感度も2倍にになっている。

4マイク+4スピーカーを薄型筐体に収めた

搭載されるマイク基盤。2基のマイクが実装されており、これが2基内蔵される

このマイクの設計にあたり、音の入り口にもこだわったと同研究所のシステム機構設計 宮本旅人氏は解説。マイクの穴の中の空気の動きの共振周波数をシミュレーションし、人の声の帯域を最大限拾うように、穴の径や長さを最適化したという。マイクを密閉することで筐体内のノイズを拾わないように配慮している。加えて狭額縁に基盤を収めるため、基盤幅の最小化にも気を使ったと説明した。

大和研究所 システム機構設計 宮本旅人氏

マイク穴の大きさなどにもこだわったという

スピーカーは4つ搭載されており、トゥイーターがキーボード上のヒンジ近く、ウーファーが下部のパームレスト付近に位置する。前モデルよりも筐体が薄型化したにもかかわらず、4つのユニットを収めるのは非常に苦労したとのこと。0.1mm単位でパーツを調整し、さらにパズルのように他パーツと組み合わされ、配置したという。

4スピーカー搭載にあたっての機械設計を説明

ともに開口部は穴の大きさなどを調整したと話しており、さらに最短距離で耳に音を届けるため、振動板を筐体開口部になるべく近づけたと話す。ウーファーユニットは従来モデルから75%体積が向上しており、またユニット自体をラバーブッシュでフローティングさせることで、筐体に振動が伝わらないように配慮した。この構造は水天宮の免震構造を参考にしたという。

トゥイーターユニット

ウーファーユニットはX1シリーズ最大

筐体については、X1 Carbonではカーボンを、X1 Yogaではアルミニウムを採用する。X1 Carbonでは新たにカーボン柄の本体を選ぶことができるようになった。このカーボン柄にはカーボン柄を見せるための半透明、柔らかい手触り、耐指紋性能を備えた新規塗料が開発され、使用されている。また過去の第5、6世代で採用されたコア層「低密度カーボンファイバー網」を改良することで、剛性を維持しつつも10%の軽量化を実現した。

新たにカーボン柄が見えるタイプを用意

従来からの天板も用意される

X1 Yogaに採用されるアルミボディは、CNCアルミ切削によって製造される。曲線的な動きなど切削方法にこだわることでデザインと手触りに配慮。また表面にはヘアライン加工やアノダイズ処理が施され、色については素材を生かす色の開発が行われた。継ぎ目のない一体ボディや落下シミュレーションによって堅牢性に配慮し、ヒンジの小型化やタッチガラスの薄型化などで薄型・小型化にも力が入れられている。

アルミの美しさ・小型化を追求

アルミ削り出しで作られたキーボード面

アンテナに関しては、狭額縁化によって額縁にアンテナを設けることができないため、Wi-Fiアンテナはヒンジ部に搭載。さらにLTEアンテナは本体下部のカバー部に内蔵し、筐体と一体化させることで外側にアンテナを配置できるため、接続パフォーマンスも高いという。なお筐体とアンテナは別素材となるため、三次元接合形状を設計し、さらに化学処理を工夫することで接合を実現できたとのことだ。

LTEアンテナ部

ヒンジ部とWi-Fiアンテナ

そのほか追求された点として、バッテリーライフと高速起動の両立がある。起動については従来から搭載される「Modern Standby」によって、未搭載でのスリープ復帰時間 3.7秒を1.3秒に短縮可能。しかし消費電力は増大するとのことで、従来では一晩で最大3.7%に対し、Modern Standbyでは最大10.5%消費してしまう欠点があった。

「Modern Standby」搭載により復帰時間を短縮

これを改善するために使用しない時間を設定、深夜などはModern Standbyをオフにする「Lenovo Smart Standby」を新たに搭載することで、休止状態でのバッテリー消費を従来から1/3に抑えた。

「Lenovo Smart Standby」を搭載

どちらのモデルもインターフェースとしてUSB Type-C 3.1 Gen2×2、USB 3.1 Gen1×1、HDMI、マイク/ヘッドホンコンボジャック、イーサネット拡張コネクター2を搭載。バッテリー駆動は最大約19時間に対応する。外形寸法はX1 Carbonが約323W×14.95H×217Dmm、X1 Yogaが約323W×15.5H×218Dmm。また質量はX1 Carbonが約1.09kgから、X1 Yogaが約1.36kgから。

側面端子部(X1 Carbon)

側面端子部(X1 Carbon)

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