<CES>生成AI花盛り。「未来のオーディオ・ビジュアルテクノロジー」のお披露目に期待
アメリカ・ネバダ州ラスベガスで毎年年始に開催される国際エレクトロニクス見本市「CES(Consumer Electronics Show)」。1月6日から9日までの正式な会期を前にして、アメリカ太平洋時間の本日1月4日からはプレスカンファレンスが開催、今年の話題のトピックや今後期待されるテクノロジーについて披露された。
コロナ禍の期間を除き、ファイルウェブからも毎年のように現地特派員を派遣してきたが、記者がCESにくるのは11年ぶりである。主にオーディオをメイン領域とする私にとって、CESは「オーディオに関する大型発表がなされる場ではなくなった」というのがその大きな理由であったが、実は数年前からCESへの期待を個人的に改めて高めていた(取材希望を我がボスが数年がかりで許してくれたのは、まさに悲願叶ったりである)。
その理由はどこにあるかといえば、CESが最終プロダクトの発表の場ではなく、「未来のテクノロジーを見せる場」となっているのではないか、という期待である。かつてはソニーやパナソニックといった大手日本企業から、ハイエンドオーディオブランドも多く展示ブースを設けていたが、すくなくともHi-Fiに関しては5月の「ハイエンド」(ここ20年はミュンヘン開催、今年からウィーンに移転)が主戦場となっている。
ヘッドホンやイヤホン関連市場の成長も著しいが、こちらもビッグテックによる発表や、より専門性の高いイベントでの露出が増えてきている。今年はソニーが出展を見送ったことも一部で話題となっていた。
そんな中で、オーディオ・ビジュアルを専門とするファイルウェブにとってのCESの位置付けを考えてみると、それは「次にどんな技術が出てくるのか」 、そしてそれが「未来のプロダクトにどのような形に落とし込まれていくのか」を探る場である、ということだ。
2026年は、やはり「AI」を抜きには語れない
早速開催された「Trend to Watch」では、3つのメガトレンドが提示された。「Intelligent Transformation」「Longevity」「Engineering Tomorrow」である。
いずれにも通底するテーマはやはり「AI」であり、AIをどのように活用するか、あるいはAIの課題や限界も踏まえた上でどのように人間との関係性を構築していくのかといった問いが喫緊のものとして立ち上がっている。
オーディオ・ビジュアルに関していうならば、ハードウェアとソフトウェアの進化に加えて、AIをどのようにその中に組み込んでいくか、どのようなサービスとして提供していくかという総合的な視点が必要となる。
たとえばスマートグラスにはさらなる市場の発展が期待できるが、単にエンタテイメントだけではなく、シミュレーションや製造現場などの産業用途などにも活用の幅が広がってきている。
カンファレンスでは、映像に関わるトピックとして「AIが動画の制作の現場を決定的に変えるだろう」という未来展望が語られた。AIを活用した強力な映像エンジンの登場はもちろん、長い動画からのショート動画の作成、あるいは映像そのものの生成まで、AIがこなしてしまうことも増えるだろう。
オーディオに関しては、AIを活用したレコメンド機能によって、音楽再生やポッドキャストの楽しみの広がりが期待される。また、ミュージシャンの収入源の多角化、具体的にはCDやレコードと言ったフィジカルメディアだけではなく、ストリーミングプラットフォームを活用することで、ファンとの直接のコミュニケーションも広がる。
一方で、AIで容易に音楽や映像を作り出すことができるからこそ、AIの仕事と人間の役割をどう切り分けるかということも重要なテーマとなってくる。
ゲーミングデバイスの進化も期待の高い分野。キャプチャ技術の進化に加えて、ライブストリーミングの展開には会場内からも期待の声があがっていた。
モビリティの進化は、本年のCESにおける重要テーマのひとつである。自動運転の進化に伴う車内での良質なエンタテイメントの可能性や、あるいはクルマを「第2のリビング」として活用する事例も広がっている。良質な音、そして映像体験の可能性にも期待したい。
スマートホームに関しては、やはりアメリカが時代の先を行っている。アメリカに比べると日本のスマートホーム関連市場の立ち上がりは遅いと言われているが、照明やエアコン、カメラ、そして映像音楽体験まで一元的に “スマートに” 管理するあり方には新しいライフスタイルを予感させてくれる。
“健康的に” 長生きするためのテクノロジーにも注目集まる
またメガトレンドの1つ「Longevity」については、単に寿命を延ばすだけでなく、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)も向上させる技術が重要になりつつあることが語られた。例えばオーディオ分野に限って言えば、近年ゼンハイザーやオーディオテクニカといったオーディオブランドが「ヒアリングサポート」の領域にも大きく力を入れてきている。
実際、メディア向けの前夜祭的イベント「CES Unveiled」においても、完全ワイヤレスイヤホンを聴覚サポートや翻訳サポートなどの “一歩進んだ” デバイスとして提案する出展が数多くみられた。
豊かなライフスタイルに貢献する音のテクノロジーの力には大きな可能性がある。そういった音にまつわる先端デバイスの取り組みについても、今後現地からレポートしていきたい。



