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2020年度第3四半期決算を発表

ソニー、1兆円超えの純利益。ゲーム分野好調、通期見通しも大幅に上方修正

公開日 2021/02/03 18:13 ファイルウェブ編集部
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ソニーは、2020年度第3四半期業績説明会を開催。同社副社長 兼 CFO 十時裕樹氏が説明を行った。ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野と音楽分野の大幅増収増益がけん引役となり、1Q-3Q 連結業績は前年同期を4,952億円(87%増)上回る1兆648億円の純利益を計上した。売上高は前年同期比4%増(2,678億円)となる6兆7,789億円で、営業利益は12%増(954億円)となる9,054億円。

ソニー(株)副社長 兼 CFO 十時裕樹氏

第3四半期のセグメント別概況は、G&NS分野では、PS5の発売とアドオンコンテンツを含むゲームソフトウェアの販売好調によって、売上高は前年同期比2,511億円(40%)増の大幅増収。PlayStation Plusを中心としたネットワークサービスの増収や、PS4ハードウェアの収益性改善などにより、営業利益も267億円増の大幅増益となった。一方、PS5は発売にかかる販売費及び一般管理費の増加、および製造コストを下回る戦略的な価格設定による損失などによって、損益面ではマイナス要因だった。

2020年度第3四半期連結業績 一覧表

巣ごもり需要の継続により、ゲームのプレイ時間は30%増加、「顧客ベースを拡大するためのさまざまな施策が機能している」とPlayStation Plus の加入率は87%に達する。PS5は今期760万台以上という計画は順調に進捗しているものの、市場の品薄感に対し、「お客様の期待に応えきれていないことは真摯に受け止めている。1台でも多く早く生産していきたい」と語る。さらに、「来期も強い需要が見込まれる。当初より部材の確保にはつとめていたが、より多くのお客様に手にしていただくためには、不足する半導体の影響も少なからずありなかなかむずかしい。ベストを尽くし、当初の予定超える出荷を目指していく」と説明した。

第3四半期セグメント別業績

「ネットワークサービスの拡充により収益構造が大きく変化している」と指摘する十時氏。「ユーザー・エンゲージメントの強化を戦略の柱に据え、ネットワークサービスの魅力を高めることに注力していく」と訴えた。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う映画館の閉鎖および新作映画公開延期による影響があった映画分野は、第3四半期の売上高が前年同期比448億円減の大幅減収。しかし一方で、損益では映画製作における広告宣伝費の減少や、前年度公開作品及びカタログ作品のテレビ向けライセンス及びホームエンタテインメントの増収により、168億円の大幅増益となった。

テレビ事業やオーディオ事業などを含むエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野は、第3四半期の売上高はほぼ横ばいだが、営業利益はテレビ、デジタルカメラの製品ミックスの改善やモバイル・コミュニケーションにおけるオペレーション費用の削減により、前年同期比254億円増の1,058億円と大幅な増益となった。

「ホームAVの巣ごもり、デジタルカメラの回復、パネル需給がひっ迫する中でのテレビの高付加価値モデルへのシフトなどにより、高い収益性を確保できた。部品供給の悪影響も事業に対する影響は最小限にとどめられた。独自技術で差異化を図り、今後も付加価値の高い商品をお届けしていく」とさらなる高付加価値化を推し進める。

これらを受け、通期見通しも上方修正。前回10月時点より、売上高は3,000億円増の8兆8,000億円、営業利益は同2,400億円増の9,400億円、当期純利益は同2,850億円増の1兆850億円とした。セグメント別では、テレビ及びデジタルカメラにおける製品ミックスの改善などが好調要因となるEP&S分野、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の好調を中心としたアニメ事業売上の増加及びモバイル向けゲームアプリケーションの好調などがある音楽分野など、映画分野の売上高を除き、10月時点の見通しを大幅に上回る見込みだ。

「一時的な要因やコロナ禍の環境もあるが、私の感覚では、ロングレンジで見ると経営力は強化され、個々の事業は確実に強くなってきている。中期的なトレンドで見ると、利益水準は上がっていく、上げていけると思う」と語る十時氏。2021年度からの新たな中期経営計画を見据え、「この3年間、財務体質も強くなり、投資意欲も出てきた。エンターテインメントを中心に、戦略的な投資のよい機会増えている。さらに一段スケールをあげて戦略投資を実行していきたい」と力を込めた。

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