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財政状況は健全と自信

セイコーエプソン、19年度決算発表。20年度は新型コロナウイルス収束後を見据え、新たな価値創造を進める

公開日 2020/04/30 18:28 Senka21編集部 徳田ゆかり
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セイコーエプソンは2019年度の通期決算説明会をオンラインにて開催。4月より代表取締役社長に就任した小川恭範氏が説明を行った。

小川氏は冒頭に、昨今の新型コロナウイルスの影響について触れ、「エプソンの事業活動にも影響している。グループでは各国政府や地方自治体などの指針に従い、社員やお客様、ステークホルダーの皆様の健康や安全確保、感染拡大防止に努めることを最優先している。社会活動を維持する上で必要な商品供給やサービス提供を可能な限り継続して社会への責任を果たす。将来の継続的な事業成長を見据えた活動をする」と語った。

2019年度通期の決算ハイライト

通期決算のポイントとして、2019年度は前年度に対して減収減益、当初の想定より景気の停滞は中国のみならず欧米にも広がった。4Qには新型コロナウイルスの拡大が社会生活に大きな影響を及ぼした。円高もマイナス要因となった、として売り上げ収益は前年度を下回ったと説明。

戦略商品の伸長が継続

「外部環境変化を踏まえメリハリをきかせた費用でコントロールしたが、減収をカバーできなかった。厳しい業績だが、従来のエプソンにはなかった飛躍の分野への仕込みなど成長への準備は計画通り。オフィス共有IJPでは、プリントヘッド外販ビジネスやエプソンブランド完成品など2020年度の拡大へ向け準備が進んだ。協業やオープンイノベーションも前進している。ウェアラブル産業プロダクツでは、生産の効率化などが進んだ」と成長の方向性を語った。

4Qの新型コロナウイルスの影響については「多くの事業で需要が滞った。中国生産の一部商品は供給も滞った。一方、中国での在宅学習や欧米・豪州での在宅勤務の需要が発生。総じて4Qには約140億円程度の販売減となった」と説明。

新型コロナウィルスの影響について

セグメント別通期実績として、プリンティングソリューションズのプリンター事業は、「大容量インクタンクモデル、オフィス共有IJPは増収、SOHO、ホーム向けIJPは大容量インクタンクモデルへの変換を進めている。SIDMは中国などで販売減少した。プロフェッショナルプリンティングは商業・産業IJPの軟調な市場環境の中で堅調に推移し前年度並。セグメント利益は減益。減収影響に加え、成長に向けた費用投入を実施したことなどによる。セグメント利益に占めるプリンター事業の割合は4割半ば」とした。

2019年度通期のの事業セグメント別内容

ビジュアルコミュニケーション、ウェアラブル・産業プロダクツについては「ビジュアルコミュニケーションは、プロジェクタースタンダードモデル、超単焦点モデルで低価格化の影響を受け減収減益。ウェアラブル・産業プロダクツも減収減益でウォッチ事業が停滞し、強みであるアナログスポーツウォッチへリソースを集中している。ロボティクスソリューションは、ロボティクス市場で低調な需要環境の中、回復の兆しも見えている。短期的には不安定な見通しだが、中期的には大きなポテンシャルを持つ事業と位置づけ引き続き強化していく」と語った。

ビジュアルコミュニケーション・ウェアラブル・産業プロダクツの通期実績

プリンティングソリューションズの2019年度通期実績

財政状況については「新型コロナウイルスの影響は不透明だが、当社の財政状況は健全さを保っていることに加え、資金も十分な手当ができている」と力を込めた。

2019年度4Qについては、「決算の数字だけを見ると厳しいものとなったが、新型コロナウイルスび影響や為替影響、昨年度発生の会計上の一過性要因が含まれている。特殊要因を除外すると、戦略進展などの効果は前回予想どおり。前年同期からは回復している。新型コロナウイルスによる厳しい状況下でも、これまで進めてきた取り組みは着実に成果につながっている。自信の持てる結果で2019年度を終えることができた」と振り返った。

2019年度4Qのハイライト

2020年度の取り組みについて、「第二期中期経営計画の基本方針に変更なし。資産の最大活用、協業・オープンイノベーションによる成長加速、本社からのコントロールによるグローバルオペレーションの強化。経済環境、戦略の実効性を踏まえた規律ある経営資源の投入。といった3つの方針のもと、大容量インクタンクモデル、オフィス共用IJPといった戦略モデルの販売拡大を継続させ、従来のエプソンにはできなかった新たな成長分野での展開に向け、準備してきたものをいよいよ成果につなげる時である」と自信を見せる。

2020年度の基本方針

新型コロナウイルスの影響は広範囲と警戒した上で、「収束後への準備も進めている。人が同じ場所に集まることが前提にならなくなることから、情報のやりとりはデジタル化の進展がさらに加速する。人々の生活様式の変化や企業活動の変化を予測し、新たな価値創造に向けた活動を進めている」とした。

2020年度の事業別取り組み


さらに、新たな価値創出について「デジタル化加速で、プロジェクターを使った遠隔授業も可能になる。環境実現で教育の地域格差といった社会課題の解決につなげていく。製造業のものづくりにも変革が生まれ、ロボットが可能な作業を拡大、工場の無人化への対応を進めている。持続的な成長を実現、社会にとってなくてはならない会社となるための基盤強化にも取り組む」と意欲を見せた。

2020年度の経営基盤

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