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「SUSVARA」など計4製品を国内発表

<ヘッドホン祭>HIFIMANの超高級ヘッドホン「SHANGRI-LA」は594万円で5月から受注開始

2017/04/29 編集部:小野佳希
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中野サンプラザで開幕した春のヘッドフォン祭2017。HIFIMANは発表会を開催し、超高級ヘッドホンシステム「SHANGRI-LA」を594万円で5月に発売することなど、新製品4モデルの国内投入を明らかにした。

SHANGRI-LA

SHANGRI-LA

国内発売を発表したのは、上記「SHANGRI-LA」のほか、平面駆動ヘッドホンのフラグシップ機「SUSVARA」、フラグシップインイヤーモニター(IEM)「RE2000」、ユニバーサルIEM「RE800」の計4製品。各モデルの価格は下記の通り。発売時期は全モデルとも5月だが、SHANGRI-LAは受注生産となる。

SHANGRI-LA ¥5,940,000(税込)
SUSVARA ¥702,000(税込)
RE2000 ¥226,800(税込)
RE800 ¥82,080(税込)

■SHANGRI-LA

静電型ヘッドホンと専用の真空管アンプをセットにしたシステム。ヘッドホンは、ナノ粒子でコーティングした厚さ1ミクロン以下の極薄振動板を搭載しており、これによって卓越した周波数特性を実現したという。また、ドライバーも「歪みのまったくない超高速反応ドライバー」なのだとしている。

SHANGRI-LAのアンプ部

そして金属メッシュの電極を、その極薄振動板に近接して配置。電極のフレームは特殊合金製だという。そしてこのメッシュの格子は幅わずか50ミクロンであるため、100万ヘルツよりも小さな音波が歪みなく通過でき、これによってクリアなサウンドを実現したとしている。

従来の静電駆動ヘッドホンでは電極の設計に起因する音質劣化が生じると説明

特殊合金による幅わずか50ミクロンの格子が音質に好影響を及ぼすという

アンプ部はカスタム明度による300B真空管4基をドライブ段に使用。この真空管とヘッドホンまでの間にはコンデンサーや変圧器などがなく、真空管の音を直接聴くことができるという。

HIFIMANの創立者であるCEOのDr.Fang(ファン)氏は、「300B真空管はオーディオファンに音がいい真空管として知られている」と、同真空管を採用した理由を説明。

創立者のDr.Fangが来日しプレゼンテーション

一方で「一般に中域の良さに対して低域や高域は弱いというイメージがある」とも述べ、「しかしそれはアンプの設計の問題だ。トランスフォーマーレスの設計にすることで、300Bの素晴らしい音を味わえるようにした。300Bは本当は低域も高域もよいものだったことが分かるだろう」と続けた。

独自のリレーベースによるアッテネーターを搭載。24ステップのボリュームコントロールを持ち、23個の抵抗を使用しており、すべての音量レベルはそれぞれ個別に独立したものになっている。

周波数特性は7Hz〜120Hzで、バイアス電圧が440〜650V。質量はヘッドホンが374gでアンプは16kg。アンプの外形寸法は437.8W×335.8H×458.9Dmm。

背面端子部

発表会でファン氏は「以前にニューヨークに住んでいたのだが、私の理想はカーネギーホールで聴くような音だ」とコメント。「SHANGRI-LAの音もカーネギーホールの正面で聴くような音に仕上がっている」と自信を見せた。

■SUSVARA

SUSVARA

平面駆動ヘッドホンのフラグシップ機「SUSVARA」は、特許を取得したという独自の「ステルスマグネット」技術を投入。同技術によって「磁石が音波に与える反射や屈折といった悪影響を劇的に減少させることに成功した」としている。なお製品名のSUSVARAとは、サンスクリット語で「世界中すべての素晴らしい音」を意味している。

ステルスマグネット技術では、特殊な形状の磁石を採用。これによって音がほぼ完璧に磁石を通ることができるようにしたとのことで、一般的な静電ヘッドホンで問題となるプレートや磁気回路に起因する音割れが起こらないという。こうして音波と過電流の干渉を低減することで、歪みやノイズを抑えたとしている。

ステルスマグネットの解説

そのほかにも、極薄ダイアフラム、高伝導の金コーティング、非対称イヤーカップ、人間工学デザインのヘッドバンドなど、様々な技術を投入。再生周波数特性は7Hz〜65kHzで、インピーダンスが60Ω、感度は84dB。

なお、SUSVARAは能率が低く駆動しにくい面もあるため、これを鳴らせる新たなヘッドホンアンプ「EF1000」も開発したことを公表。日本での価格等は未定だが15,000米ドル(約165万円)での発売を予定しているという。

■RE2000

RE2000

IEMの同社フラグシップ機「RE2000」は、ユニバーサルとカスタムの両方で展開予定。ユニバーサルモデルについて「カスタムIEMに迫るパフォーマンス」を持っているとアピールしている。

特徴は、ダイヤフラムの表面に特殊なメッキ処理を施した「トポロジーダイヤフラム」を採用した点。そのコーティングは特別な幾何学模様となっており、様々な音色に応じて幾何学模様の形状、配合物、厚さを調整することで、周波数応答の完璧なコントロールを目指したという。

トポロジーダイヤフラムの解説

CEOのファン氏は、「BAドライバーにはいろいろと課題があると考えている」とコメント。「ユニットとして小さいので音が反射したり屈折しているため音場が比較的小さい」とし、そうした課題を克服して広い音場をダイナミックドライバーで実現するためにトポロジーダイアフラムを開発したという。

9.2mmドライバーを搭載し周波数特性が20Hz〜20kHz、インピーダンスは60Ωで、感度は103dB。

■RE800

RE800

RE800はRE2000同様にトポロジーダイヤフラムを採用したユニバーサルIEM。ハウジング素材には真鍮を採用し、クリアで力強いサウンドを実現したとしている。

ドライバー径は9.2mmで、周波数特性は20Hz〜20kHz。インピーダンスが60Ω、感度は105dB。

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製品スペックやデータを見る
  • ジャンルヘッドホン(単体)
  • ブランドHIFIMAN
  • 型番SHANGRI-LA
  • 発売日2017年5月
  • 価格5500000
【SPEC】●周波数特性は7Hz〜50kHz ●バイアス電圧:500〜650V ●外形寸法:437.8W×335.8H×458.9Dmm(アンプの大きさのみ) ●質量:374g(ヘッドホンのみ)