HOME > ニュース > 欧州と日本でポータブルオーディオ市場はどう違う?「CanJam EUROPE」レポート

欧州初&最大のポータブルオーディオフェア

欧州と日本でポータブルオーディオ市場はどう違う?「CanJam EUROPE」レポート

公開日 2015/11/04 16:43 香田康晴(ラディウス)
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
2013年からドイツ・エッセンにて開催されている、ヘッドホン等ポータブルオーディオ製品にフォーカスしたイベント「CanJam EUROPE」。ライトユーザーからコアユーザーまで幅広いオーディオファンをターゲットに、ヘッドホンやイヤホン、カスタムIEM、USB-DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプなどに加え、据え置き型システムなどが出展されており、試聴も行えます。「Europe's leading headphone show」と銘打たれた、ヨーロッパで唯一の、ポータブルオーディオに特化したイベントなのです。


まだ若いイベントですが、着実に規模が大きくなっています。参加ブランド数は2013年に50だったのが、2014年には80、そして2015年は100オーバーに。会場はメッセ・エッセンのウエストコングレスセンターですが、昨年まで使われた1,000m2のホールに加え、今年は400m2のホールにもブースが並びました。

会場のコングレスセンターはかなり広く、外周一周で30分以上かかるほど。裏手には広い公園がある、非常にのどかな場所でした

会場のようす

今年は9月26日、27日に開催されました。来場者は年配のオーディオマニア層から10代のライトユーザーまで幅広く、おおよその男女比は9対1という印象でした。オーディオファンだけでなく、ヨーロッパのオーディオショップオーナーやディストリビューターなど、情報発信力のある入場者が多いのもこのイベントの特長です。開催国のドイツ人を中心に、近隣の欧州人がほとんどで、出展社を含め、来場者のなかに日本人を見かけることはありませんでした。

SHUREのブース

beyerdynamicのブース


日本からはSTAXやラディウスも出展

この"ポータブル・オーディオフェア“、年々拡大してきたとは言え、日本市場の急速な変化に比べればまだその動きはゆっくりです。ヨーロッパでは「音楽は家でゆっくり楽しむもの」というライフスタイルは健在で、その際に使用するものとしてのヘッドホンニーズが高いようです。

ヨーロッパの都市部においては、新旧建物を問わず集合住宅やマンションが多く、開催地であるエッセンでも、市内を移動中に一軒家を見かけることはまずありませんでした。そのためか、スピーカーに対抗する性能を持つヘッドホンの需要は高く、そのニーズがゼンハイザーなどの専門メーカーを育てたとも言えます。

なおイヤホンについては「ヘッドホンに比べると音質が劣るもの」というイメージが強いようでした。そのため、ハイレゾ対応のDAC内蔵ポータブルアンプやハイレゾ対応イヤホンシリーズを試聴して驚く方が多かったです。日本と違い、イヤホンを販売店の店頭で試聴する機会が少ない方々にとっては、常識を覆す存在のようでした。


一口に"ポータブル・オーディオ"と言っても、国や地域の文化や生活習慣によって好まれる製品傾向は少しずつ違います。しかし来場者の感想を聞くと、ヨーロッパ市場においても「良い音で好きな音楽をいつでもどこでも聴ける」というハイレゾ対応ポータブルオーディオの世界は、早晩広がっていくものと確信します。

5月にミュンヘンでハイエンドショウ、9月にベルリンでIFAという大きなイベントが開催され、多くのオーディオファンが訪れました。時間を置かずして、この「CanJam EUROPE」が成功を収めたのは、ヨーロッパにおいても着実にポータブルオーディオの成長が進んでいるひとつの証とみています。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク