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HDMI 2.0+HDCP 2.2対応

【CES】東芝、4K「プレミアム」REGZAを参考出展 − 広色域+直下型でHEVC/HDCP 2.2対応

2014/01/06 ファイル・ウェブ編集部
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(株)東芝は、CES 2014の開催にあわせ、国内プレス向けに映像商品&PC事業戦略の説明会を開催。同社執行役常務 デジタルプロダクツ&サービス社 社長の徳光重則氏が説明を行った。

徳光氏は2014年の同社映像商品戦略について、「“4K”のさらなる強化を行い、4Kリーディングカンパニーになる」と宣言。具体的には4Kラインナップの拡充を行うほか、4K次世代高画質システムも開発。さらに4K放送や4K配信に対応した商品の開発も行う。説明会にはこれらを実現させた「プレミアム」REGZAも参考展示した。

4K「プレミアム」REGZA

4K次世代高画質システムについては、4K解像度に加え、広色域技術、ダイレクト高輝度LEDバックライト、高画質処理エンジンを搭載した。同社が現在販売している4K REGZA「Z8X」シリーズと、広色域+直下型LEDバックライト採用の“プレミアム2K”REGZA「Z8」シリーズの良いところを足し上げたような商品内容だ。

4K「プレミアム」REGZAの概要

同社映像事業の商品戦略

さらに4K放送や4K配信への対応に関しては、HDMI 2.0とHDCP 2.2にも対応し、HEVCデコーダーも備えるとしている。

HDCP 2.2について補足しておこう。HDCP 2.2はDigital Content Protection LLCが策定したコンテンツ保護技術。パラマウント、ソニー・ピクチャーズ、20世紀FOX、ユニバーサル、ディズニー、ワーナーの6社が立ち上げた研究・開発のためのジョイントベンチャー「Movie Labs」が昨年、4K映像をデジタル伝送する際に、HDCP 2.2の採用を要求した。このため、将来的に出てくる外付け機器などからこれらハリウッドメジャーの作品を4Kで入力する際は、HDCP 2.2に対応していないと表示できない可能性がある。今回の参考展示品はHDCP 2.2対応のため、こういった問題は起きない。

なお、同社がこれまで発売してきた4Kテレビは、現在販売中のZ8Xシリーズを含め、すべてHDCP 2.2には対応していない。この点について聞かれた同社 デジタルプロダクツ&サービス社 ビジュアルソリューション事業部 事業部長の村沢圧司氏は、「これまでの製品についても対応する」と明言。「まだ詳しくはお伝えできないが、希望された方を対象にした基板交換になるだろう」とし、「有償か無償かなどはまだお答えできない」とした。

またHEVCデコーダーについては、4K放送や4K配信の動画が、高効率な映像圧縮フォーマットであるHEVCでエンコードされるものが多くなると考えられることから、採用を決めたという。

今回展示した試作機の画面サイズは65型だったが、「外観や仕様を含め、正式発表の際に変わる可能性も高い」という。試作機のサイズは65型だが、サイズや仕様などはまだ流動的だという。

また、4Kテレビの国内ラインナップを拡充することも表明。現在同社は58、65、84型の4Kテレビをを展開しているが、これをさらに広げるという。さらに大型サイズでは、58型以上の大型モデル新機種は全モデルを4Kにする計画だという。

4Kのラインナップを拡充する

4K以外にも注目すべき展示は多い。商品化を前提として現在開発中なのが、ディスプレイの新市場を創出するという強い意気込みが込められた新しい概念の映像デバイス「BORDERLESS BOARD」だ。試作機のサイズは24型で、バッテリー駆動ではなく、外部電源から給電する据え置き仕様を想定している。ただし、スペックは今後の意見や反応を参考にして詰めていくとのことなので、このあたりの仕様はまだまだ変わる可能性が高い。

「BORDERLESS BOARD」

「BORDERLESS BOARD」はまだ仕様が固まっておらず、不明な点も多い

開発スタッフは「常に付けっぱなしで使う新スタイルを提案する製品。単なるタブレットではなく、単なるテレビでもなく、テレビとしてもタブレットとしても使える新タイプの製品として開発している」という。「まだまだ言えない機能が多く、いまお話しできないのが残念」(同)とのことなので、正式発表を待ちたい。

そのほかCES 2014の同社ブースには、105型、21対9の「5K」解像度のテレビ、湾曲画面の4Kテレビなども参考出展が行われる予定だ。

CESには21対9の5Kテレビなども出展する予定だ

PCやタブレット関連の、CESの主な出展内容

2014年度は“攻め”の事業戦略を加速させる

説明会で徳光氏は、国内のテレビ市場環境について、50型以上の大型モデルの構成比が拡大し、昨年11月には12%近くにまで伸びたこと、さらに単価が7万円程度にまで上がったことで、市場が再活性化していることを指摘。「日本市場は重点市場」と述べ、存在感をさらに拡大するべく注力すると述べた。

(株)東芝 執行役常務 デジタルプロダクツ&サービス社 社長の徳光重則氏

「日本市場は重点市場」と位置づけている

ASEAN市場についても、販売台数が2012年度は1,200万台、2013年度は1,300万台、そして2014年度は1,400万台と予測し、年8%の伸びを達成していることを紹介。各国でデジタル放送がスタートしたことを背景に、高付加価値モデルや大型モデルが伸びていると説明した。サイズ別の構成でも、2011年度は40型以上のモデルが24%にとどまっていたが、2014年度には35%に高まると予測し、「大きく変化するASEAN市場のニーズを先取りした商品戦略を展開する」とした。

また徳光氏は、2013年に行った構造改革についても説明。開発・設計については、プラットフォーム数を削減することで効率化とスピードアップを実現し、高付加価値モデルの開発強化を行ったと紹介した。またテレビの生産拠点の集約も行ったと述べ、「東芝テレビ中欧社」の売却と、「大連東芝テレビジョン社」の終息を行ったことを説明した。またファブライト化の加速により、スリムな生産体制を確立したことも強調した。

さらに同社は、事業体制の再編も現在行っている。2013年8月にはPC事業の組織を再編。そして2014年4月には、映像事業と家電事業を統合した分社会社を発足させる予定だ。

こういった環境のもと、徳光氏は「2013年は構造改革によりスリムな体制を確立した。2014年度は攻めの事業戦略を加速させる」と宣言した。

商品戦略の柱は4つ。1つは「4Kのさらなる強化」で、詳細は上で説明したとおりだ。もう1つは、主にASEAN市場向けの施策で、成長著しいASEAN市場での人気を高めるため、「JAPAN QUALITY」を訴求。日本における映像処理技術のノウハウをASEAN向けに展開し、「東芝テレビ」のプレゼンスを最大化させる。

JAPAN QUALITYを前面に打ち出す


スマート機能の拡充も2014年のテーマだ。同社では「名ばかりのスマートブームは終焉する」との考えから、2014年にはタイムシフトマシンやクラウドサービス「TimeOn」など、テレビをさらに楽しむためのスマート機能を拡充する。

スマート機能をさらに拡充させる

またタイムシフトマシンについては、同機能をベースにしたスマート機能を海外にも展開することを発表した。TimeOnと同様、「テレビのHDDとクラウドを活用した、レコメンド視聴でテレビ番組を便利に楽しむサービス」になるという。

タイムシフトマシンをベースにした機能の海外展開も行う

なお、日本以外の市場は、あまりテレビ番組を録画する習慣がないが、これについて尋ねられた村沢事業部長は「たとえば米国では録画するのが面倒、他チャンネル過ぎて録画がしにくいなどの背景があった。だが最近になって、状況が次第に変わってきた。CATVの料金が高いので、地上波に戻るという現象が起きている。また番組のメタデータも充実してきた。東芝独自の機能によって、録画すべき番組をサジェストするということもできる」とした。

「強い商品戦略」でPC事業も強化

テレビだけでなく、PCの事業戦略も説明が行われた。PC事業戦略の柱も4つで、このうちの1つに「4K」が挙げられている。

PCの市場環境

PCも4Kの時代に突入した、と同社

徳光氏は「PCも4Kの時代に突入した」と述べ、プロフェッショナルユース向けには、CAD/CAMなどを4Kディスプレイでより使いやすくすることを提案。CESではこのための4Kワークステーションを参考出展する。さらにプロシューマーユース向けには、超高解像度の写真や動画をより美しく見ることが可能な「4K PC」も参考出展した。

15.6型の4Kディスプレイを備えた「4Kモバイルワークステーション」を参考出展

同じく15.6型の4Kディスプレイを備えた「4KPC」も参考出展

そのほかのPC商品戦略では、キーボードとタブレットの手軽さを両立挿せた「2 -in-1」PCを強化するほか、生産性やクリエイティビティーを高めるタブレットの投入、またB2B事業の強化が柱となる。

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