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価格は2,625,000円

シャープ、60V型のICC 4Kテレビ「ICC PURIOS」【更新】

2012/12/13 ファイル・ウェブ編集部
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シャープ(株)は、アイキューブド研究所と共同開発した、60V型の4Kテレビ“ICC PURIOS"「LC-60HQ10」を2013年2月20日に発売する。価格は2,625,000円(税込)。受注生産品で、受注から納入までの期間は約5週間。

“ICC PURIOS”LC-60HQ10



台座やフレームは艶消しのアルミブラックフレーム

左上には“ICC PURIOS”ロゴがしるされている
同社ではこれまで、IFAやCEATECでICC 4Kテレビをデモしてきたが、今回商品化が正式に発表された格好だ。今後同社は国内市場において、液晶テレビを「ICC PURIOS」(アイシーシー ピュリオス)と「AQUOS」の2つの商品ブランドで展開する。ICC PURIOSはよりピュアな映像を表現するテレビ、AQUOSはリビングからパーソナルルームまで、幅広いユーザーにエンターテイメントを提供するテレビとして訴求するという。

リモコン

日本国内では“ICC PURIOS”と”AQUOS”ブランドの2つを擁し、展開を行っていく

元ソニーの近藤哲二郎氏が社長を務めるアイキューブド研究所が開発した、フルHD信号から4K映像を創造する信号処理技術「ICC」と、シャープの4K液晶パネル技術を組み合わせた製品。人間が自然の景色や被写体を光の刺激として脳で理解する「認知」の過程を、映像による光の刺激として再現するのが特徴だ。

「LC-60HQ10」の詳細

ICC技術を搭載

具体的には、映像内のオブジェクトの奥行き情報などを相対的に判別し、その差分が脳内で適切に認知されるように映像処理を加える。ほかにもLEDバックライトを活用して映像のユニフォーミティを高めたりなど、独自の工夫を行っているという。

従来機(左)との比較

チューナーは地上デジタルを3基、BS/110度CSデジタルチューナーを2基搭載。ディスプレイ解像度は3,840×2,160。パネルはシャープ製のUV2Aで、暗所での反射を抑えるノングレアのものを採用した。なおIGZO技術やモスアイ技術、クアトロン技術は搭載していない。テレビコントラスト比は700万対1、視野角は176度。LEDバックライトは直下型(個数は非公表)。またローカルディミングは行わない。これは、ローカルディミングによって暗部を沈めるという考え方が、ICCのパネルの明るさを均一にするというICCの基本的な考え方と異なるため。

画面の明るさを細かくコントロールするパネル制御技術を新開発。これにより高い輝度均一性を実現した。また、高い表示性能を発揮するための精密な検査工程も導入。これにより、同社では「業務用マスターモニター規格を超える、ムラの少ない均一な明るさ」の表示が可能になったと説明している。

光ムラをなくし均一性を高めた4Kパネルを採用

さらに、液晶パネルを独自の「平滑化アルゴリズム」で駆動。ガンマ特性を滑らかにすることで、暗部の階調表現や微妙な立体感なども表現できるという。

独自の「平滑化アルゴリズム」でパネルを駆動し、豊かな階調表現力を実現するという

HDMIはフルHD対応のものが4系統4端子で、4本を同時に使用することで3,840×2,160/60pの入力にも対応する。また3,840×2,160/30p対応の端子も1系統1端子を備える。

HDMI端子を4系統搭載し、4K映像の伝送を行う

また本機は、世界初のTHX 4Kディスプレイ規格の認証も取得した。通常のICC処理は、映像のボケた部分もくっきりとさせるが、THX 4K映画モードの場合は、ボケ具合を維持したままICC処理を活用することで、映画監督の意図する映像を忠実に再現するという。

左下にはTHX 4Kロゴがしるされている

「AVポジション」(画質調整)メニューとして、「ICC」「標準」「映画」、「映画 THX」、「ゲーム」「パソコン」「フォト」の8つのメニューを用意。

「AVポジション」(画質調整)メニューとして8つを用意

細かな調整を行える

「ICC」はアイキューブド研究所の推奨画質で、「標準」はシャープの推奨画質となる。ICCによる2Kから4Kへのアップスケーリング時の精細さはメニューの「解像感」で手動調整でき、0〜10の10段階で設定できる。

なお映画作品では、レンズのボケ味を活かした画作りが多用されるが、ボケ部分をどこまで精細化するかはシャープがICCとは別に独立して開発した「コアリング」という調整値で設定が可能。コアリングも0から10までの10段階調整が可能で、数値は小さければ小さいほどボケ部分が精細化され、数値を上げるとボケ部分を活かした柔らかい映像になる。

ICC技術によって調整される解像感やコアリング(フォーカシング)なども調整可能だ

「映画」や「映画 THX」(THX 4Kに準拠した画質)モードでは、ICC技術によって調整される解像感やコアリング(フォーカシング)の値が高めに設定されており、柔らかさやボケなどを適度に残した表示が可能になる。なお「ゲーム」「パソコン」「フォト」メニューを選んだ場合は、ICC技術を適用することはできない。

そのほかスピーカーには、シルクドームトゥイーターや2つのウーファーユニットを対向配置することで不要な振動を打ち消し、迫力ある音再生が可能な「DuoBass」を搭載。音声の実用最大出力は35W(10W+10W+15W)となっている。また、(株)ミキサーズ・ラボの内沼映二氏と三浦瑞生氏のチューニングによる音質モード「音楽 ミキサーズラボ」を搭載した。

迫力ある音再生が可能な「DuoBass」を搭載

「音楽 ミキサーズラボ」モードも備えた

筐体は外光の反射を抑える、艶消しのブラックフレームを搭載。質感が高いアルミ素材を採用したという。ディスプレイ下中央には電源のON/OFF時に点灯するイルミネーションを配している。

機能面では、無線LANユニットを本体に内蔵。テレビ放送やネット情報を一覧表示する「ビジュアルモーションガイド」も搭載した。またUSB-HDDに2番組同時録画を行うことも可能。同社のスマートフォンと連携する「スマートファミリンク」も利用できる。


映像にこだわるユーザーニーズに応え、
液晶テレビ市場の更なる発展を図っていく − 発表会レポート



シャープ(株)デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部 事業部長 戸祭正信 氏
シャープは本日都内で発表会を開催。デジタル情報家電事業本部長の戸祭正信氏らが登壇し、“ICC PURIOS"の説明を行った。

戸祭氏は「“PURIOS”は“PURE”を元にした造語。よりピュアな映像を提供するテレビを目指す、という考えが込められている。シャープの新たなプレミアムモデルである“ICC PURIOS”と、幅広いユーザーに向けた“AQUOS”双方の販売を通じて、ユーザーのみなさまに充実した映像体験を提供し続けていく。また、映像にこだわるユーザーニーズに応え、液晶テレビ市場の更なる発展を図っていきたい」と語った。

以下、発表会で執り行われた質疑応答の主な内容を掲載する。


Q.“ICC PURIOS”ブランドの使用について。ICC液晶採用の製品のみに付けられるブランド名なのか?
A.基本的にはICCチップを搭載したものに限る。非搭載のハイエンドモデルは従来どおりAQUOSブランドで展開していく。

Q.アイキューブド研究所がシャープ以外のメーカーへICCチップを供給することはあるのか。そうなると他社もICC-4K液晶テレビを作れてしまうのでは?
A.それは契約などがあり、答えられない。ただ、ICCチップだけでは“ICC PURIOS"の画質は完成しない。シャープ製パネルと組み合わせてこそ力を発揮できるものだ。

Q.4Kテレビ発売は東芝、ソニーに次いで3番目となる。“ICC PURIOS"は先行2社の製品とどのように違うのか?
A.東芝さんやソニーさんは超解像技術を使っているが、シャープが採用しているのは、人間の光認知の過程を再現する「ICC」。全てをクッキリと際立たせるのではなく、意図してピントをずらすような映画のようなソースでも、鮮やかさを残しつつ味わいも消さない再生ができるのが特徴だ。

Q.受注販売というかたちにした理由はなにか。今後量産化する可能性はあるか。また目標とする販売台数は。
A.製作にかなり作り込みや調整が必要になるため。量産化については、市場の動向を見つつ決めていきたい。また、特に目標販売台数は設定していない。

Q.海外での販売展開は?
A.現在検討中。国内の状況を見て判断していきたい。

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