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DSやPSPにも宣戦布告

復帰したジョブズ氏、熱弁は変わらず − 「8GBのビデオカメラをタダにする」

公開日 2009/09/10 16:09 Phile-web編集部
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既にお伝えしたように、アップルは本日、iPod touch/nano/shuffle/classicの新製品を一斉に発表。またiTunesの新バージョン「9.0」や、iPhone/iPod touch向けのシステムソフトウェア「3.1」も公開した。

現地時間の9月9日、米サンフランシスコで新製品の披露イベントが行われ、同社CEOのスティーブ・ジョブズ氏が登壇した。公の場にジョブズ氏が登場したのは約1年ぶりということもあり、来場者は大きな拍手で迎えた。

アップルCEOのスティーブ・ジョブズ氏

イベントの来場者は万雷の拍手でジョブズ氏を迎えた

「またこの場所に来られて嬉しい」と語りながらステージに上がったジョブズ氏は、いつもの黒いタートルネックとブルージーンズという出で立ち。かなり痩せて、声も細くなった印象だが、表情は終始柔らかだった。「ご承知の通り、私は5ヶ月前に肝臓移植を行った。私が今いるのは、肝臓を提供してくれた20代半ばの男性のおかげだ。親切な心に感謝したい」と述べ、さらに「この難しい時期に、アップルの経営を行ってくれた、ティム・クック氏以下幹部全員にも感謝したい」と謝意を何度も強調した。

ジョブズ氏はまず、iPhoneの概況を説明。これまでに全世界で3,000万台のiPhoneを販売し、専用アプリは75,000以上が公開されたという。さらにアプリのダウンロード数が約18億となったことも説明。アプリの数が多くなったことで、新しいアプリをリリースした際に目立ちにくくなったとも言えるが、ジョブズ氏はiPhone/iPod touch向けのシステムソフトウェア「3.1」を紹介し、新機能のGeniusにより、ユーザー個々人に応じてアプリを推薦する機能によって使い勝手が高まると訴えた。

続いてiTunesの説明に移ったジョブズ氏は、新機能の「Genius Mix」を紹介。Geniusがライブラリーを自動的に探して相性のいい曲を組み合わせ、最大12個のGenius Mixを作成するというもので、ジョブズ氏は「まるでDJやラジオ局のようなもの」とその利便性を強調。またiPod/iPhoneとのシンク機能の向上にも触れ、「自分で選択したアーティストやジャンルだけをシンクしたり、フォルダーやアルバム単位でシンクしたりすることもできる」と新機能を紹介した。

Genius Mixの表示例

また、これもiTunesの新機能である家庭内コンテンツ共有機能「ホームシェアリング」についても、最大5台までのコンピュータとライブラリーを共有できること、ほかのコンピュータ内のコンテンツを自分のライブラリーに加えることが可能なことなど、従来の共有機能からの進化点を説明。さらに、iPhoneやiPod touchのホーム画面をiTunes上で編集可能になったことや、iTunes Storeで新たに販売を開始した「iTunes LP」の紹介なども行った。

「iTunes LP」のデモ

iTunes 9やシステムソフトウェア 3.1の説明を一通り終えたジョブズ氏は、フィル・シラー氏にバトンタッチ。シラー氏がiPod新モデルの紹介を行った。シラー氏はまず、北米におけるiPodのシェアが73.8%に上ることを紹介。そのうち50%以上が新規ユーザーとのことで、エントリーユーザーにもiPodが受け入れられていると分析。さらにiPod touchについてはこれまで2,000万台を販売し、「iPodファミリーの中でも急成長しているモデルだ」と売れ行きに自信を見せた。

北米におけるiPodのシェア

iPod新モデルの詳細についてはこちらの記事で紹介したとおりだが、シラー氏のプレゼンテーションの中で、iPhone/iPod touchのゲーム機能の紹介にかなり長い時間が割かれたことに注目したい。

シラー氏は、米ビジネスウィーク誌で「iPhone/iPod touchはハンドヘルドゲームの中でもリーダーになっている」と紹介されたことに言及。巨大スクリーンにPSPとニンテンドーDSの写真を映し出し、「PSPとニンテンドーDSは、出始めたときは確かに革新的だったが、マルチタッチユーザーインターフェースもなく、ゲームソフトが高価なので子供には手が出しづらい。またApp Storeもなく、もちろんiPod機能も備えていない」と、PSPとニンテンドーDSに対するiPodの優位性を印象づけた。

シラー氏はPSP/ニンテンドーDSとiPodの比較も行った

PSPとニンテンドーDSがiPodに比べ劣っている、とシラー氏が指摘したポイント

さらにゲームソフトのタイトル数を示したグラフも表示し、PSPが607タイトル、ニンテンドーDSが3,680タイトルに対し、iPhone OS用ゲーム&エンターテインメントのタイトル数は21,178であることを紹介し、コンテンツの豊富さを強調した。

iPhone OS用ゲーム&エンターテインメントのタイトル数は21,178。ただし無料ゲームなども大量に含まれている

さらにシラー氏は、いずれもApp Storeで大ヒットしたゲームを開発したゲームメーカー4社、UBIソフト、Tapulous、gameloft、EAの幹部を次々に壇上に招き、彼らから新作ソフトが次々に紹介された。シラー氏のプレゼンの中でiPod touchの新テレビCMも発表されたが、その内容はゲームばかりがフィーチャーされ、音楽再生機能やビジネス用の機能などについては全く触れていない。「楽しさ」を前面に押し出したテレビCMからも、iPod touchをゲームプラットフォームとして本格的に打ち出す戦略が確認できた。

UBIやEAなど有料ゲーム会社がiPhone OS向けゲームタイトルを紹介した

iPodの紹介を終えたシラー氏は、再びジョブズ氏にマイクを渡した。そして、ジョブズ氏はすでにおなじみの「One more thing...」と語りだし、紹介されたのが新iPod nano。特に動画撮影機能の搭載に重点を置き、「動画を撮れるビデオカメラは、たとえば4GBメモリーを内蔵したもので100ドル以上する。我々は、8GBのメモリーを内蔵したビデオカメラを“フリー”で提供する」とし、「そのために我々が選んだ方法が、iPod nanoにビデオカメラを内蔵することだ。通常のビデオカメラに比べはるかに小さく、軽いのも利点だ」と、iPod nanoの出来映えに胸を張った。

一般的なビデオカメラと比べiPod nanoが圧倒的にコンパクトであることを強調するジョブズ氏

その後、iPod nanoが新たに搭載したFMラジオチューナー機能や歩数計、カラーバリエーションなどを紹介し、iPod nanoの新作テレビCMも披露。ここでも大々的にフィーチャーされていたのは動画撮影機能で、この機能にかける同社の強い意気込みを感じさせた。

iPod nanoの新CMの一幕。動画撮影機能がフィーチャーされている

プレゼンテーションの最後にジョブズ氏は、「強調したいのは、これらの製品やサービスが、我々のチームのおかげで完成したということと、我々は音楽が大好きだということ。だからこそ、この場には生演奏がふさわしい」とし、ノラ・ジョーンズを紹介。壇上に上がったノラ・ジョーンズは、「こんなに朝早くから演奏するなんてはじめて! とにかくジョブズ氏が元気そうで安心したわ」と述べ、ヒット曲「Come away with me」と、9月に発売される新アルバムから「Young blood」の2曲を披露した。

ノラ・ジョーンズがスペシャルゲストに登場

2曲が披露され会場はアットホームな雰囲気に包まれた

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