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「1+1が3か4になる提携を目指す」− シャープ、パイオニア共同記者会見詳報

2007/09/20
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既報の通り、シャープ(株)とパイオニア(株)は本日、業務・資本提携を行うと発表。都内で記者会見を実施した。

会見には、シャープ代表取締役社長の片山幹雄氏、パイオニア代表取締役社長の須藤民彦氏が出席。今回の提携についての説明を行った。

資本提携は12月20日に行う。パイオニアが3,000万株(約414億円分)の新株を第三者割り当てにて発行し、シャープがこれを引き受ける。一方シャープは、すでに発行済みの株式1,000万株(約197億円分)をパイオニアに割り当て処分する。資本提携後は、シャープがパイオニア株を14.28%保有することになり、筆頭株主となる(パイオニアは自己株式を3.14%保有していることから、総株主の議決権の数に対する割合は14.69%となる)。なお、パイオニアのシャープ株保有比率は低水準にとどまる。

シャープ 片山氏


シャープ(株)代表取締役社長 片山幹雄氏
まず初めにコメントを発表したのは片山氏。今回の提携の主目的となる「共同開発の推進」では、「次世代DVD分野」、「ネットワーク関連分野」、「カーエレクトロニクス分野」、「映像分野」において技術の相互利用を行っていきたいと説明。

「次世代DVD分野」については、シャープのレーザー技術、パイオニアのドライブモジュール技術を有効活用することで、「両者の特長を活かした製品を創出したい」と述べた。また「カーエレクトロニクス分野」では、シャープのディスプレイ/通信/センサ技術、パイオニアのカーナビ技術により、新たな事業展開を図っていくという。

片山氏は、「エレクトロニクス業界では、厳しいグローバル競争が起こっている。1年先はおろか、半年後、3ヶ月後の市場動向も読みづらい状態にあり、1社では勝機を逸する可能性もある」と現状を説明。「1+1=2ではなく、3や4になるような相性の良い企業とペアを組む必要があった」と語り、“パイオニアとの提携”が大きな意味を持つと強調した。

提携による具体的な製品開発の例として片山氏は、「先日発表した厚さ20mmの超薄型液晶ディスプレイは上級のモデルとなる。音声部はこれに見合うようなスピーカーが必要で、ここにパイオニアの技術を投入するといったことも考えている」と述べ、様々な分野で高いシナジー効果を発揮していきたいとした。

また片山氏は「パイオニアはGPSを搭載したカーナビ、シャープは電卓など、両社ともに、他にはない世界初の製品を創出する力がある。企業が代々受け継いできたDNAが似ており、共感することができた」と語り、お互いの良い部分を出し合うことで高い成果を望むことができるとした。


パイオニア 須藤氏


パイオニア(株)代表取締役社長 須藤民彦氏
「シャープとは以前から業界動向の情報交換などを行い、親しくしており、高い技術力に関心を持っていた」と語り始めた須藤氏。「次世代の車載用ディスプレイにシャープの液晶パネルを採用すると決定し、挨拶に来てもらった折に、提携の話が話題に上がった」と、協議をはじめた経緯を明かした。

須藤氏が強調したのが「事業の拡大」と「企業価値の向上」という2つのキーワード。この命題はシャープとも一致しており、技術の相互提供を進めていくことで新事業や新製品の創出にも期待をかける。

事業拡大の点において須藤氏は、「テレビ事業はPDPに絞ってやってきたが、液晶テレビをラインナップに加えていく可能性も出できた」と語り、テレビ戦略の方向転換を視野に入れていることを明らかにした。

また部品調達については、双方の部品を積極的に採用する方針をとることで「BD、ホームシアター、スピーカーなどの分野で事業の効率化を図っていくことができる」と説明した。


質疑応答

Q.シャープの持株比率が14.69%という中途半端な数の意味は?
A.将来、お互いに部品や製品を融通し合ったり、価値を高め合うような技術開発の負担の割合から導き出した。シャープとパイオニアで折り合いが付いたのがこの数字だ。持ち分比率をどうしていくかといった計画は今のところない。(須藤)

Q.どっちがどっちの支配下に入るといったことはない?
A.シャープはパイオニアの筆頭株主になるので、筆頭株主としての存在は出てくるが、経営自体は独立してやっていく。(須藤)

Q.パイオニアは薄型テレビでどんな戦略をとっていく?
A.プラズマがパイオニアの中核製品であることには変わりがなく、今後もその方針をとっていく。しかし現実的には、液晶の市場の伸張は大きい。プラズマで競合する国内2社、海外2社は液晶もやっている。パイオニアでは、ビジネスの追加という位置づけで液晶テレビをやろうと思っている。(須藤)

液晶テレビに関してはパイオニアは大きなお客様となる。シャープとしては大歓迎だ。(片山)

Q.今回の提携は、いつ、どちらから持ちかけたのか?
A.時期はノーコメント。どちらからということはなく、自然発生的に持ち上がってきた話だ。(須藤)

Q.共同開発するもののIP(知的財産)はどうなるのか?
A.共同開発の話し合いもこれからという段階。もちろんIPについても今後協議を進めていくことになる。(片山)

Q.有機ELの開発はどうなっていく?
A.開発スピードを高めていきたい分野だ。共同開発のテーマにしていきたいと話をしている最中。(片山)

具体的な話はまだないが、提携を早く発表し、下の方に話を下ろした方がスピード感が上がると考えていた。発表を行うなら早めに行いたいと言ってきた。(須藤)

Q.将来的に経営統合の可能性はあるか?
A.現在は考えていない。(片山・須藤)


(Phile-web編集部)

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