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2007年08月07日
いま明かされる“土下座発言の真相” − 東芝DM社藤井社長 単独インタビュー【後編】
HD DVDの商品化を実現しているのは今のところ東芝だけだが、一社でBD連合軍へ用船して勝ち目はあるのか、藤井氏に率直な疑問を投げかけてみた。(インタビュー/鈴木桂水)
■HD DVDの製品開発を1社で行うメリット
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(株)東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長 藤井美英氏 |
その一方で次世代DVDでは高いセキュリティ機能も求められています。多くの機器どうしが高いセキュリティを維持しながら機能を共有しようとすると、複数のメーカー機器どうしではすり合わせに苦労が要るはずです。すでにBlu-ray Disc規格のレコーダーは、HDDに録画したDVD画質の番組をBDメディアに記録するのに、メーカごとに異なる処理をしています。市販BDソフトの再生時にトラブルが発生した機器も出てきているようです。今後、薄型テレビやデジタルムービーなど、他のAV機器との連動を進めていく段階で、メーカー機器間の相性の問題などが発生しやすくなるのではないでしょうか。
HD DVD関連機器は社内で一貫した製品開発を行っています。自社内で連絡を密に取り合いながら開発が進められるので、複数機器接続時の検証や、HDMIやデジタル放送などの外部規格とのすり合わせも簡単に行えます。結果としてユーザーが迷わずに使えるデジタルコンバージェンスを効率良く構築できる体制が整っています。もちろん、他社が参入を申し込まれるのであれば歓迎したいと思います。東芝は誰でも簡単に便利な機能の恩恵に預かれるようなモノづくりを目指しています。メーカーの利害を超えて多くの機器が接続できる、そういった機能を構築することが私たちの理想です。
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本体に60GBのHDDを搭載する“gigashot”「GSC-R60」。2006年2月の第一号機発売以来、新製品が発表されていないだけに、同社のHDD搭載ムービーの動向は気になるところだ |
■藤井氏が思わず明かした“土下座発言の真相”とは
藤井氏は「ユーザーにとっての便利性が高まるのであれば、本来メーカー間の敷居は関係なしに便利な機能を共有できるのが、デジタルAV機器の理想のかたちである」と言い切る。それならば、HD DVD規格とBlu-ray Disc規格の両方に対応する製品を出すべきではないだろうか。HD DVDとBDのどちらにも録画できるようなスーパーマシンを望むのではなく、せめて“BDも再生できるHD DVDレコーダー”あたりを製品化すれば、市場の注目を集めると筆者は考え、それについて質問した。
藤井氏の表情に大きな変化がうかがえたのは、その質問を投げかけた直後だった。いままで穏やかだった藤井氏の表情は瞬時に紅潮し、眼光はにわかに鋭くなった。そして語気を強め、藤井氏はこう語り始めた…。
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━それほどHD DVDの規格が有利ならBD陣営も歩み寄ったのではないでしょうか。
藤井氏:すでにお話ししましたが、BDとHD DVDでは根本的な思想が異なっています。BD規格が動き出した1999年頃はHDDなどの大容量ストレージが高価で、大容量のデジタル放送を記録するには25GB、50GBという大容量光ディスクの存在意義がありました。そのことは私も認めています。しかし、その後HDDの価格が下がり、時代の変化とともに光メディアが大容量である必要が薄れてしまったのです。HD DVDはBDのように記録容量だけに重きを置かず、開発・製造コストを重視しながら発展を続けてきた規格です。現時点でディスクの容量だけを見ればBDが有利でしょうが、HD DVDはディスクの容量だけでなく、ネットとの融合、DVD規格との互換性、そして他のストレージとの連携性の高さを同時に満たしています。新しい規格の投入は「ライトタイミング・ライトプライス・ライトスペック」で行うことが重要です。BDはディスクの録画機能を重視していますが、HD DVDは程よい容量、手ごろな価格、ネットワーク機能を兼ね備えています。
コンシューマーの皆様には、HD DVD規格の全体的なバランスの良さに注目していただきたいと思います。HD DVDはハイビジョン映像を記録する技術だけでなく、同時にプラスアルファも進化させている規格です。次世代DVDはハイビジョンをそのまま録画できて当たり前なのです。大事な点は、それ以上の機能が使いやすいもので、ユーザーの皆様が楽しめないと、次世代の規格として存在する意味がないということです。HD DVDは今選んでいただいて、決して損のない規格だという自信があります。以前、私はあるところで「もしHD DVDを選んだユーザーから将来、『BDよりもHD DVDを選んで失敗した』という声が高まってきたら、私は土下座をして謝る」と申し上げましたが、これだけ魅力的なHD DVDがユーザーの方々にご満足いただけないことはないと確信しております。それだけ私が強い自信を持っているのだということを、ぜひご理解いただければ幸いです。
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世界初のHD DVDプレーヤー「HD-XA1」の新製品発表会で壇上に立つ藤井氏(2006年3月31日)。HD DVDの商品戦略について語る藤井氏のスピーチに注目が集まった |
藤井氏へのインタビューを終えて印象に残ったことは「HD DVDはディスクの容量だけでなく、ネットとの融合、DVD規格との共通化、そして他のストレージとの連携性の高さを同時に満たしている」という藤井氏の指摘だ。現在発売されているHD DVDレコーダー「RD-A600/A300」を見る限り、その片鱗は感じるものの、藤井氏が語る魅力をすべて満足させているとは言い難い。やはり東芝のAV機器は、今年の年末に大きな波がありそうだ。前回筆者が語ったように、キーワードは「REGZAとVARDIAの連携」であり、それが実現すればHD DVDの使い勝手はいま以上に向上する。さらにハイビジョン対応ムービーのgigashotが今後し、理想的なかたちでREGZAやVARDIAと連携できるなら、強固なHD DVDワールドが構築されるだろう。これから年末にかけて東芝の新製品には一層、目を光らせたいと感じている。
ケースイの取材メモ
・HD DVDはVRモードで録画したDVDビデオを無劣化で高速ダビングできるなどDVD規格との親和性が高い。
・将来大容量の2層30GBを超えるHD DVDメディアが登場する可能性は大いにあり得る。
・東芝は今後、テレビ、ムービーなどと連携した、新しいデジタルレコーダーの用途提案を検討している。
・年末にはHD DVDレコーダーのラインアップがさらに充実する。
鈴木桂水(Keisui Suzuki)
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>>鈴木桂水氏のブログはこちら
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