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「もう、東芝は第2世代に突入」 ― 東芝HD DVDプレーヤー発表会詳報

公開日 2006/11/15 18:56
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(株)東芝は本日、HD DVDプレーヤー新モデル「HD-XA2」「HD-XF2」の発表会を開催した。本項では発表会の模様をお伝えする。

冒頭、同社デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏が登壇し、HD DVDの特長と今後の展望について説明した。


デジタルメディアネットワーク社 藤井美英氏

製品リリースでBDに先んじていることを強調
同氏は、「HD-XA1」と「RD-A1」のリリースによりプレーヤーとレコーダーを先行して発売することができたとアピール。本年末は、米国、欧州、豪州で新機種を発売予定で、BD陣営に一歩先んじていることを強調した。

また、HD DVDの特長として、DVDとのツインフォーマットが可能なこと、アドバンストコンテンツが楽しめることの2点を挙げた。

同氏は、「同一のピックアップレンズでDVD/HD DVDの読み書きが可能なため、ツインフォーマットやコンビネーションディスクを製作することもできる。これはDVDからHD DVDへの円滑な移行の実現に一役買うだろう。さらに、1枚のディスクに多様な組み合わせのコンテンツを収録できる。PinPやインターネットを経由した新コンテンツなどのアドバンストコンテンツを収録することも可能だ。以上2点の特長は、コンテンツメーカーはもちろん、ユーザーにも大きなメリットであると考える」と述べた。

なお、アドバンストコンテンツの一つである、インターネットを経由した新コンテンツは来年には開始できる予定だという。

また、BDと比較して1枚あたりの記録容量が少ない点について、同氏は「現在の30GBという記録容量は、コンテンツメーカーからの要望を考慮して設定したものであり、これがHD DVDの限界というわけではない。技術はニーズによってどんどん進歩するものであり、容量の増加や多層化なども視野にある」と強調。「弊社はHDD分野で世界第1位、光ディスク/フラッシュメモリー分野で第2位のシェアを誇っている。光ストレージはストレージの一つの選択肢に過ぎない。記録用は大容量のHDD、保存用はHD DVDなどと、この3つのソリューションの機能やコストに合わせ、いいとこどりをすることが必要だ」と続けた。


不利とされる要因のひとつである記憶容量の問題を一蹴

総合力を活かした製品づくりをするという

「HD DVDは進化し続ける」と強調
さらに同氏は、地上デジタル放送の開始やHDコンテンツの増加により、2010年には映像のHD化は100%に達するだろうと予測。「消費者の満足は、最適な仕様・最適な発売時期・最適な価格と同義である。50,000円を切る価格の普及機『HD-XF2』、1080p出力やディープカラーに対応したハイエンド機『HD-XA2』はこの3点を満たすものであり、HD DVDが最適な次世代映像ソリューションであることを消費者に訴求できると考える。今後も大容量化、インターネット接続対応など、HD DVDをますます進化させてゆく」と締めくくった。

マイクロソフト(株)泉水 敬氏

マイクロソフト(株)執行役 ホーム&エンターテイメント担当 Xbox事業本部の泉水 敬氏が登壇し、DVDとの互換性やインタラクティブ性の高さなどHD DVDの利点を挙げた。同氏は「デジタルコンテンツを容易に、安全に提供するのが我々の使命だ。今日発表された新機種は、これを可能にするものだと考えている。今後もデバイスやソフトウェアの技術を通じ、HD DVDの普及につとめていく」と述べた。

また、HD DVDを指示するコンテンツホルダー17社が登壇。各社を代表し、ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 代表取締役社長の秋山 玄氏が挨拶した。

秋山氏は、「ソフトメーカーが探していた新フォーマットがHD DVDであると考えている。HD DVDで消費者に新しい提案をしていきたい」と述べた。


HD DVDを支持するコンテンツホルダー17社

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 秋山 玄氏
さらに、光ディスクメーカーであるメモリーテック(株)代表取締役社長の川崎代治氏が挨拶した。


メモリーテック(株)川崎代治氏
川崎氏は、「ハードあってのソフトであり、ソフトあってのハード。プレーヤー新2機種が発売されることは、コンテンツ市場にも嬉しいニュースだ。品質やコスト面で、HD DVDは有利だと考えている。弊社は日本の工場と中国の工場合わせて月産1000万枚の生産体制を整えた。消費者にとって魅力あるHD DVDを、コンテンツ市場から応援していきたい」と述べた。

最後に、同社デジタルAV事業部 DAV国内営業部 部長の増山泰正氏が、新機種の広告戦略について説明した。


デジタルメディアネットワーク社 増山泰正氏
新機種は「もう、DVDもハイビジョン」を合言葉に、音質や画質のクオリティの高さはもちろんのこと、HD DVDから広がる可能性に着目して消費者へ訴求していくという。東京の主要駅を中心とした交通広告を中心に、新聞や雑誌に広告を掲載する。さらに、日本橋HD DVDプラネタリウム(関連ニュース)などでの体感展示を展開する。

また、ユーザー向けの販促策として、購入者に海外旅行が当たる懸賞や、HD DVD搭載の対象機器の成約者20枚のリストの中から好みのHD DVDソフト1枚をプレゼントするキャンペーンを本日より開始し、拡売に努めるという。

キャンペーンの概要

懸賞などで拡売を強化する


以下に、発表会で行われた質疑応答の主な内容を掲載する。

Q.北米で10月に発売予定だったプレーヤー第2世代機の発売の状況はどうなっているか。
A.CEDIAでは10月発売とアナウンスしたが、生産の遅れが出ている。12月上旬には発売したい。

Q.普及機「HD-XF2」の価格はPS3を意識したものなのか。また、本日はパナソニックのBDレコーダーの発売日だが、この発表会の日時は意図的に発売日にかぶせたのか。
A.普及機をリリースするならば5万円は切りたい、というのはかねてからの予定だった。量産台数が少なく、コストがまだまだ高い次世代DVDプレーヤーで5万円以下という値段を実現したことは自画自賛したい。PS3に対して意識したことといえば、値段ではなく発売日が重ならないようにすることだった。

Q.既に発売されているHD DVDレコーダー/プレーヤーの国内販売台数の概要を教えて欲しい。
A.プレーヤーが10,000台弱、レコーダーが5,000台弱というところだ。リリースタイトルが少ない中で予想以上の売り上げだと考える。

Q.日本ではレコーダーへのニーズが高いとよく言われるが、今回リリースされたのはプレーヤーで、レコーダーは現行の「RD-A1」のみだ。今後レコーダーのリリースに関してどのようなビジョンを持っているのか。
A.「RD-A1」はメモリアルプロダクツとして、こだわりのある人向けに発売した。値段が高いという意見も多くあった。レコーダーは来年が戦場だと考えている。来年は期待に添えることのできるレコーダーをリリースできるだろう。

Q.アジア向けに発売する予定はあるのか。
A.まずは日本・北米・欧州・豪州で販売する。南米・アジア向けの販売は来年になるだろう。

Q.NECがドライブの生産から落ちたが、現在のドライブの生産状況は?
A.東芝で民生機器用、ゲーム用、PC用と、フルラインナップの開発を進めている。1、2、3世代とロードマップはできており、BDに負ける気はさらさらない。他メーカーもHD DVDドライブのリリースを予定しているが、東芝のドライブで世界制覇したい。

Q.全世界の目標販売台数とその構成比率を教えて欲しい。
A.50万〜60万台の販売を目標にしている。構成比率はXF2:XA2が15:1だ。

Q.今回の普及モデルとXbox360は競合してしまわないのか。
A.Xbox360との競合がおこるなどということはないだろう。BDからも普及価格帯のプレーヤーをどんどん出してもらって、次世代ディスクによる“HD”を浸透させていきたいと思っている。

Q.RD-A1で記録したディスクは新モデルで再生できるのか。
A.RD-A1で記録したディスクは現在のところ再生できない。今後バージョンアップで対応する予定だ。詳しい時期は未定である。

(Phile-web編集部)

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