RD-A1を「HD DVDレコーダー」と呼ばない理由

2006年06月22日

東芝が7月14日に発売する「RD-A1」
別項でお伝えしているように、(株)東芝は、HD DVDドライブを搭載したデジタルレコーダー「RD-A1」を7月14日に発売する。

同社では、本機を「HD DVD搭載ハードディスクレコーダー」と表記している。HD DVDを前面に打ち出すには「HDD内蔵HD DVDレコーダー」とした方が良いはずで、事実、同社はこれまでHDD内蔵DVDドライブを「HDD&DVDレコーダー」と表記していた。ネーミングの上では主従が逆転したことになるわけだが、東芝のねらいはどこにあるのだろう。

この理由について、記者会見の席上、同社上席常務の藤井氏は、「プレーヤーとレコーダーはコンセプトが全く異なる。レコーダーで求められるのは大容量記録で、これを実現するのはHDDだ。今回多くの方は『HD DVD』と名付けると考えていたと思うが、あえて本質をついたネーミングにした。実際のHDD+DVDレコーダーの使われ方でも、99%の方はまず初めに HDDに録画しており、レコーダーの本質はHDDだ」と説明。その上で、RD-A1について「1TBのHDDを搭載し、ハイビジョン映像を最大約130時間録画できる」とアピールした。

「録画の主役はHDDだ」という藤井氏の指摘は、ユーザーの実際の使用状況に即したもので納得できる。だが、HD DVDディスクのコンセプトや仕様を思い起こすと、別の理由も浮かんでくる。

この記事で波瀬氏が指摘しているように、HD DVDはもともと再生専用の規格を中心に決められている。HD DVDの片面1層の記録容量は15GBで、パッケージソフトならば映像コーデックにH.264やVC-1を用いることで2時間程度の記録が可能だが、デジタル放送で用いられるMPEG2では、より多くのデータ量が必要になる。転送レートが最大17Mbpsの地上デジタルならば約2時間の記録が可能だが、同24MbpsのBSデジタルでは、1時間20分程度の記録しかできない。

片面2層のディスクを使えば容量は倍に増え、30GBになるので記録容量の問題は解決するが、今度は価格がネックになる。三菱化学メディアを例に取ると、片面2層のHD DVD-Rディスクは4,500円前後での販売が予想され、日常的に用いるにはかなりハードルが高いと言わざるを得ない。

このように、HD DVDは、デジタル放送の録画という観点から見ると、記録容量でBDに対して明らかに不利な状況にある。この点をBD陣営に改めて指摘されること、あるいはユーザーの不興を買うことを避けるため、論点をHDDの容量に移し、あえてHD DVDを補助的な役割として設定したのではないか。あくまで推測に過ぎないが、こんな考えも浮かんでくる。

また、HDD容量の大きさを前面に打ち出すのであれば、1TB HDDを搭載したDVDレコーダーは既に複数存在する。40万円という価格設定を考えると、さらに大容量のHDDの搭載を望む声も上がってきそうだ。

(Phile-web編集部)

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