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SCEI、PS3の発売を11月上旬に延期 − 月産100万台で日米欧同時発売

2006/03/15
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(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は、本日行われた事業方針説明会「PS Business Briefing 2006 March」において、PLAYSTATION 3の発売を、当初予定の今春から、今年11月上旬に延期すると発表した。


SCE グループCEOの久夛良木健氏
同社代表取締役社長兼グループCEOの久夛良木健氏は、「我々はもともとチャレンジャーとしてこの市場に参入したが、参入から10年が経過し、2億台以上のPS/PS2を販売する中で、周囲の期待と責任が強まってきた。だからいつになく慎重になっている」と前置きし、「DVDの時には、PS2の前からDVDプレーヤーが存在したが、ある意味で販売は低迷していた。我々がPS2にDVDを搭載したことでDVD人気に火が点き、パッケージメディアが増えた。だが、次世代光ディスクの場合は、現段階でまったく市場が立ち上がっておらず、我々がBlu-ray Disc普及の牽引車とならなくてはならない。また、テレビセットメーカーからも、『PS3がビジネスの起爆剤』と見られており、非常に大きな責任を感じている。だからいつになく慎重になっている」と状況を説明した。

久夛良木氏はBlu-ray Discの仕様策定の遅れについても言及。「なるべくいいものを作ろうという観点から、将来も見込んで最新技術を取り入れている。我々が介入できないことが多く、もどかしい思いもした。だが、AACSのライセンシングが開始されたことを受け、BDのオフィシャルライセンシングも4月にスタートする予定。今では非常にクリアになっている」とした。

BDの仕様策定の流れ

PS3には次世代HDMI規格を搭載する

また、PS3に搭載するHDMI端子についても説明。「従来のHDMIは各色8ビットの色情報しか送れず、フルカラーではなかった。また1080p/60フレームにも対応していないなど我々から見て不満な点が多かった。SCEIとして標準化団体に申し入れ、それらに対応する最新の仕様が3月中には固まる予定だ。6月には完全に規格化が完了する。PS3ではこの最新HDMIを搭載する」と述べた。

PS3の発売は日米欧でほぼ同時に行う。発売時期を11月初旬に決めた理由については、「アメリカで市場が盛り上がるサンクスギビングに余裕をもって対応したかった。7月とか9月とか色々とプランはあったが、全世界で同時に立ち上げるには、かなり重いPS3を船便で送る時間なども織り込まなければならない。また、対応ソフトもきちんとしたものを用意する必要がある。厳密な意味での同時発売にはならず、カウントダウンなども行わない。五月雨式の発売になるのではないか」と説明した。


日米欧で同時発売する

当初の生産能力は月間100万台規模

PS3の当初供給能力はPS2の時よりも高いと説明
また、PS3の生産規模については「当初から月産100万台規模とする。6ヶ月で600万台を市場に供給する。これはPS2を超える生産規模で、決して少なくはない」と強調した。

久夛良木氏はPS3のBD-ROMドライブについても説明。「ネットでは『BDドライブを搭載するものとしないものが発売される』とか、『BDを全筐体に搭載するのは絶対無理だ』などの噂が飛び交っているようだが、我々は意志をもって全ハードにBD機能を搭載する」とし、「これは我々にとって多大なペナルティーだが、社会の要請に応える必要がある。しかも、PS3が搭載するのは最新仕様のBDプレーヤー機能。当初は規格に完全に準拠していない製品なども出回るだろうが、PS3についてはその心配はない。PS3は、Cellプロセッサーや最新HDMIを搭載した、一番最先端のBDプレーヤーになる」とした。

また、PS3が従来のアナログテレビにも対応していることを強調。「HDMIを搭載しているテレビはまだまだ少ない。我々はSDからフルHDまで、すべてに対応する。そのための仕組みを搭載している」とした。


HDDの仕様
PS3が搭載予定のHDDについては、全モデルがHDDを搭載予定と明言はしなかったものの、ソフトウェアデベロッパーに対して「HDDがあることを前提にして開発してもらいたい」と説明した。

また、PS3のゲームソフトはすべてBD-ROMで供給する考えも示した。「DVDはあまりに簡単にコピーができる。ソフトメーカーさんから『コピーされてもいいからDVDにしたい』という声が山ほど届いたら検討し直すが、BD-ROMでの供給をご理解頂きたい」と述べた。


BD-ROMディスクの供給能力
BD-ROMディスクの供給能力については、「月間でアメリカ500万枚、日本250万枚、ヨーロッパ250万枚の計1,000万枚を供給できる」と自信を示した。また、BDの製造コストについても触れ、「現在の2層DVDとあまり変わらないコストを早期に実現したい。1枚10ドルなどということはない」と述べた。

久夛良木氏は、PS3のネットワークプラットフォーム機能についても発表。本体発売と同時にサービスを開始し、基本サービスは無料。オープンインターネット上で事業を展開する」と説明。少額決済機能なども備えて充実を図る方針だ。

発表の最後に久夛良木氏は、PS3のキーコンセプトを発表。「少々壮大な話になって絵空事のように聞こえるかもしれないが」と前置きし、「PS以前のゲーム機は2次元だったが、PSがそれを3次元に変え、PS2では表現力を向上させた。PS3では空間に時間を加えた4次元の世界を作りたい」と表明。具体的な例としてGoogle Earthの画面を見せ、「このツールでは街の細部までズームアップできるが、最終的に表示されるのは静止画で、スタティックな世界になってしまう。インターネットはライブなのに」と説明。「我々は3次元の世界に生きている。実際に動いている世界を見せることができたら、ゲームの表現力は飛躍的に高まる」とした。

PS3は4次元世界を表現すると説明

背景の写真はPS3の試作機で動かしたCG

久夛良木氏は発表の中で、PSPのアップデートや新たな周辺機器のリリース計画も明らかにした。周辺機器では、USBカメラを使ったビデオ/VoIP機器を10月に発売する。Motion JPEGを用いたビデオチャットなどが可能になるほか、カメラを使ったゲーム「EyeToy」にも対応する予定。GPSレシーバーも年内に発売予定で、「みんなのゴルフ」を対応させるほか、位置情報に応じた情報配信サービスなども計画しているようだ。

PS3とPSPのネットワーク連携についても言及

PSPでビデオチャットが可能になる

PodCastingにも対応する

今春に予定するソフトウェアアップデートでは、ブラウザにFLASHプレーヤーVer6.0を搭載するほか、「RSS Channel」機能も追加。いわゆるPodCasting再生機能となる。夏には「RSS Channel」を動画対応させ、ビデオPodCastも再生可能にする。

年末のアップデートでは、新たに「メモリースティックブート」に対応させる。サーバからネットワークを介してゲームコンテンツを配信し、メモリースティックに記録、メモリースティックから直接ゲームを立ち上げる機能。また久夛良木氏は「PSPでPS1のゲームをほぼ完全にエミュレートできることがわかった」とし、PS1用ゲームを配信する計画も表明。「これは大変なことだ。メモリースティック製造メーカーの株価が上がるのではないか」と強い期待を示した。

(Phile-web編集部)

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