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ソニー、2002年度経営方針を発表−コア事業セクターの戦略的連携を加速−

公開日 2002/05/14 19:28
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<左>ソニー(株)代表取締役会長兼CEO 出井伸之氏 <右>同社代表取締役社長兼COO、安藤国威氏
●ソニー(株)は、2002年度の同社経営方針説明会を東京都内で開催した。

まず壇上に同社の代表取締役会長兼CEOである出井伸之氏が上がり、グローバルに事業を展開するエレクトロニクス、ゲーム、コンテンツの3つをコアとなる事業セクターと位置づけ、これらに経営資源を集中させることで、各セクターの競争力を強化していくと説明。同時に、この3つを兼ね備えたソニーが世界的にもユニークな企業であることを強調し、これらコアセクター間の戦略的提携を図ることで、ブランド力や収益性を向上させていくとした。

続いて同社の代表取締役社長兼COO、安藤国威氏が登壇。2001年のエレクトロニクス部門はIT不況の影響などでかなりの落ち込みを見せたが、今まで同社が種を蒔いてきたネットワーク戦略がようやく形を結び、これから収穫の時期を迎えると説明。「ネットワークコンシューマーエレクトロニクス分野においてNo.1になる」と宣言した。さらに、別項で紹介するバイオメディアランチャーや無線LANホームネットワーク、「My Sony Card」などにより、ソニー製品のブランド力を一段と強めていくと語った。

ゲーム事業を代表して登壇した取締役 SCE社長兼CEO、久夛良木 健氏は、まずプレイステーション2やPS Oneの値下げを発表。PS2の価格を、日本では現在の29,800円からオープン価格に、米国では299$から199$にそれぞれ下げると語った。また、PS2の出荷が好調で、5月5日に全世界生産出荷累計3000万台を達成したとし、2001年度は売上げが1兆円を超え、営業利益も800億円強を達成したと説明した。今後は、既存のパッケージソフトを中心としたビジネスモデルのほか、スタートが迫ったネットワークサービス「プレイステーションBB」の拡充をはかり、さらにはPS以外のソニー製品と無線LANで接続する構想もあることを発表、リビングの中心にあるテレビと密接に関わるPS2は、PVR(パーソナルビデオレコーダー)としてのポテンシャルを秘めており、この分野での可能性も追求していくとした。

エンターテイメント事業に関するプレゼンを行った取締役 SCA会長兼CEOのハワード・ストリンガー氏は、米国で公開された「スパイダーマン」が従来の記録を塗り替えるヒットを記録したことを強調。同時に昨年来進めてきたコスト削減が実を結び、収益性も改善したと語った。SPE・SMEとも、今後は大ヒットが見込める作品を多く抱えており、これらの作品とソニー製品を組み合わせたPR活動も積極的に押し進めるとした。

すべての説明に共通していたのは、ネットワークを「SONY」というブランドといかに結びつけるか、という問題の重要性を強調していたことだ。国内でADSLを導入している世帯は200万におよび、年内には1000万近い世帯に普及するのではないかと言われている。数年前の予想を遙かに上回るペースで急速にブロードバンド化が進む中、ネットワークとハードをうまく調和させることが必要不可欠となる、という危機意識が同社経営陣に徹底されているようだ。安藤氏は「現在は今後ソニーがさらなる発展を遂げる前の端境期にあたる」と説明したが、すでに様々な布石を打ってきた同社が、その言葉通りに今後大きな実りの時を迎えることになるのか、期待しつつ見守っていきたい。

なお、質疑応答や同社の新たなネットワーク戦略に関しては別項でご紹介する。(Phile-web編集部)

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