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インタビュー

VGP2013 金賞受賞メーカー特別インタビュー

大画面化が求めたさらなる高画質
地デジをもっと美しくする4Kレグザ
(株)東芝
デジタルプロダクツ&サービス社
デジタルプロダクツ&サービス第一事業部
事業部長附
岡田 淳
VGP2013 SUMMER 総合金賞
液晶テレビ "REGZA" Z8Xシリーズ
VGP2013 SUMMER 特別技術賞
レグザエンジンCEVO 4K
VGP2013 SUMMER 金賞受賞モデル
58Z8X/42Z7/55Z7
(VGP各部門の詳細はこちらをクリック)
50V型を超える大画面化が加速。そこに現れたさらなる高画質のステージ、それが「4K」だ。最大の特長は地デジやBSなど、今、見ている身近なコンテンツが最高峰の画質で見られること。その必然性をきちんとお客様に説明することが、待望されるテレビビジネスの復活へと直結する。「4Kレグザ」で市場を鼓舞する東芝・岡田氏にその意気込みを聞く。

特別な商品ではない「4K」テレビ

−− 「4K時代」到来と大きな話題を集めています。

岡田 4Kテレビではわれわれは2年先行しています。すでに第二世代に入り、そろそろ誰にでも楽しんでいただける環境を提供していきたい。それが今回総合金賞をいただいた「Z8X」シリーズの開発意図になります。これまでの4Kテレビは、フラグシップのXシリーズとして、どちらかと言えばAVに対して関心の深い方に、時代を牽引する次世代モデルとして提案してきました。

しかし今回は違います。型名も主力のZシリーズを冠し、42、47、55V型を揃えるZ7シリーズの延長線上に位置付け、58V型から上の超大型はこのZ8Xシリーズでお楽しみいただきたいという考え方です。決して特殊な商品ではない4Kテレビの感動を、より広く皆さんに知っていただくためにも、今回の受賞はいままで以上にうれしく思います。

“第二世代”4Kレグザ「Z8X」シリーズで、VGP2013 SUMMER総合金賞を受賞した(写真は84型「84Z8X」)。

−− ご販売店からの期待の大きさがヒシヒシと伝わってきます。

岡田 テレビの平均単価は下がってきていますが、お客様に認められている付加価値型の商品もきちんとあります。昨年10月に発売した「J7シリーズ」はその典型で、40V型では平均単価より2万円くらい高価になる商品ですが、「ダブル録画もできるし、ネットワークも楽しめる」と、大ヒットモデルになりました。お客様にとってはただ安ければいいわけではないのです。どのような商品を提案できるかが今、問われています。

−− 4Kテレビは4K放送を見るためだけのテレビではない。ここを誤解の無いよう、きちんとご理解いただくことが大切になりますね。

岡田 4K、4Kとあまり言い過ぎると、何か特別なものであるかのようなイメージを持たれてしまいます。私は“大画面が本当にキレイに見られるテレビが出ました”というくらいのわかりやすい訴え方でいいと思います。このテレビを購入すれば、地デジもBSもBDも、どれを見ても現在、最高峰の美しい画質で見ることができる。そこが最大の訴求ポイントです。

ご販売店様からはよく、4Kで画素が非常に細かくなることについてのメリットを質問されるのですが、そのときにお話ししているのが、視聴距離が短くなる効果です。今の視聴距離のまま、画面サイズを大きくできるので、画面に対する没入感がまるで映画館のようになります。世界紀行などの映像を見ていると、あたかもその場にいるかのような感覚を覚えることができます。

さらに、「タイムシフトマシン」やクラウドサービス「TimeOn」などエンタテインメント機能も大変充実しているからこそ、「お客様にも説明しやすく、販売しやすい」とのご評価をいただけたのだと思います。

Z8Xシリーズは「ざんまいプレイ」による便利な視聴機能を含む「タイムシフトマシン録画」機能を搭載。また、インターネットに接続し、クラウドサービス「TimeOn」や「レグザAppsコネクト」の各サービス、ブロードバンド系の動画コンテンツ視聴も楽しめる。

−− 業界初の「ハイブリッドキャスト」への対応も大きなセールスポイントです。

岡田 レグザのスマート化とハイブリッドキャストとは、アプローチにこそ違いはありますが、テレビをもっと楽しんでいただくための取り組みであることは同じです。

−− 若者のテレビ離れのテーマにおいても注目されそうですね。

岡田 PCやスマホで情報を得る人が増えています。しかし、ニュースでもスポーツ番組でも、大画面がリアルタイムに映し出す体験には他に代えられないものがある。その力はインターネット上の文字情報とは決定的に異なるものです。われわれメーカーがそこをもっとアピールしていかなければなりません。今後、ハイブリッドキャストのように、テレビの大画面がタブレットやスマートフォンとシームレスに連携していくと、これまでとは違った訴え方も可能になると思います。

−− 買い替えサイクルが短縮化しているのも追い風にしなければなりません。

岡田 平均すると6〜7年です。それくらい前にテレビを購入された方は、40V型で30万円以上しましたし、ベゼルも非常に太かったですから、Z8Xシリーズのベゼルが狭く省スペース性の高い「ミニマルデザイン」なら、より大きな画面サイズが設置できます。地デジバブルが始まる前に購入されているリテラシーの高い層でもあり、Z8Xシリーズの予約状況からも、そうした大画面テレビへの買い替えニーズが強く表れています。決して富裕層だけの特別な商品ではないのです。

−− 市場待望の商品がいよいよお目見えということで、意気込みをお聞かせください。

岡田 第1世代の4Kテレビをすでに出しているからこそわかることがあります。テレビを買いに来られたお客様に、将来のテレビとしていくらキレイな4Kコンテンツをお見せしても、テレビを買ってすぐにはご家庭で感動していただくことはできない。われわれは“次世代”のテレビを売るのではない。何よりも、毎日見ている地デジの番組が大画面でこんなにキレイに見られる、フルHDのモデルとは画質がこんなに違うのだということからまず、ご説明していきたい。

技術オリエンテッドになるとどうしても、「今後のテレビはこうなります」という発想が前に出てしまいますが、当社の4Kテレビは、大画面テレビとしてのあるべき姿を問うたもの。そこに4Kが必要だったということです。大きい画面サイズになるとなぜ、4Kが必要になるのか。そこをお客様にうまく説明し、お客様の感動を最大化することで、テレビの単価アップや潜在需要の喚起に大きく貢献することができると確信しています。ご販売店様と一緒になって、力を込めて提案を行ってまいります。

岡田淳氏 プロフィール

1982年(株)東芝入社。ビデオ事業部国内営業部門で販売企画、販促、広告に携わる。03年4月 デジタル AV事業部国内営業部長に就任。 DVDレコーダーの国内市場導入を行うなど営業活動に長年従事。その後、デジタルプロダクツ商品の国内企画・マーケティング部長を経て、12年4月より現職に就任。国内映像事業全体のマネジメントを行っている。趣味は読書、映画鑑賞。