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VGP2012 金賞受賞メーカー特別インタビュー

垂涎の的となる魅力溢れる商品を
どこよりも早くお客様のもとへ
(株)東芝
デジタルプロダクツ&サービス社
デジタルプロダクツ&サービス第一事業部
事業部長附
岡田 淳
VGP2012SUMMER 映像技術大賞
液晶テレビ "REGZA"「55XS5」「55X3」
VGP2012SUMMER 批評家賞
液晶テレビ "REGZA"「55XS5」
VGP2012SUMMER 特別企画賞
タイムシフトマシン(DBR series/ZT3 series)
VGP2012SUMMER 技術賞
55X3専用映像入力アダプター THD-MBA1
VGP2012SUMMER 開発賞
タブレット AT570
VGP2012SUMMER 金賞受賞モデル
55XS5/AT570
(VGP各部門の詳細はこちらをクリック)
「4K2Kレグザ」「タイムシフトマシン」「レグザタブレット」など、映像の新しい見方・楽しみ方を率先して提案し、市場へ新風を呼び込む東芝。多様化するニーズに焦点を当てた「ゴルフモード」など、ブレのない“お客様目線”で市場を突き動かす提案を連打する。市場創造へ高まる期待にどう応えていくのか。デジタルプロダクツ&サービス第一事業部 事業部長附・岡田淳氏に話を聞く。

真摯な姿勢で技術を追求 ものづくりへのこだわり

−− 4Kスペックをいち早く商品化したレグザ「55XS5」、「55X3」が「映像技術大賞」、さらに、「55XS5」は「批評家賞」も受賞となりました。

岡田 東芝はものづくりにこだわり、高画質の商品を他に先駆けて提案していこうと取り組んでいます。4K2Kも各社が研究開発に力を入れる中で、いち早く発売することができました。しかも、その画質に高い評価をいただき大変うれしく思います。

テレビの本質は、大きな画面で、高画質・高音質でコンテンツを楽しむこと。4K2Kの登場は、BDやデジタルカメラにも、今までになかった高画質の感動や楽しみ方をもたらしました。今回の受賞は、技術を追求するものづくりの真摯な姿勢に対し、ご褒美をいただけたのだと感じています。

−− 「55XS5」を加え、4Kのラインナップを強化されました。

岡田 4K2Kの第1弾「55X3」は最上位モデルとしてグラスレス3Dを搭載し、市場へ投入しました。もちろん、3Dが好きな方もいらっしゃいますし、3Dは要らないけれど、緻密な4K映像は楽しみたいというお客様もいらっしゃいます。そこで、2つのラインが必要だと判断しました。テレビ販売を取り巻く環境が厳しさを増し、店頭では買い替えのお客様に、高付加価値・高単価の商品をお薦めする取り組みを強化されています。その流れの中で高いご評価をいただき、お取り扱いいただいています。

4K2Kの第1弾・55V型液晶テレビ“REGZA”「55X3」は、グラスレス3Dに対応する最上位モデル。VGP2012SUMMERでは映像技術大賞を受賞。

−− 「55XS5」には、パソコンの4Kモニターや4Kカメラの高解像度の映像を映し出せるアダプターをオプションで用意されています。

岡田 現状では、業務用の4Kカメラで撮った映像を映し出すものが少なく、高価であるため、業務用途を含めて4Kを拡大していくベースが必要だと考えました。ハイアマチュアや、グラフィック、写真関係のお仕事の方など、予想を上回る問い合わせに驚いています。実際視聴に来られる方も多く、皆さんが口を揃えて「こりゃ凄い!」とびっくりされて帰られますね。

−− 4Kに匹敵する驚きを提供する「タイムシフトマシン」が特別企画賞です。すでに、「タイムシフトマシンなしではいられない」という声も聞かれますが、市場全体への認知度はいかがでしょう。

岡田 “全部録れている”という世界観をイメージしていただくのはなかなかむずかしいですね。まずは、認知をもっと高めていく必要があり、6月22日から、福山雅治さんのタイムシフトマシン三昧、タブレット三昧の生活を描いた新CMもスタートしました。タイムシフトマシンで生活がどう変わるのか。放送時間に縛られることなく、過去の番組表から自由に番組を選んでご覧いただける楽しさを、一歩も二歩も踏み込んで提案していきたいと思います。

VGP2012SUMMERで特別企画賞を受賞した東芝の「タイムシフトマシン」。地上デジタル放送の「6チャンネル・24時間・15日分」をまるごとキャッシュでき、見たい番組をいつでも好きな時に視聴できる(写真は「DBR-M190」)。

−− 市場では、ネットワークの先に拡がるビジネスが期待されつつ、テレビがネットワークになかなかつながらない。東芝レグザのユーザーでは、LANケーブルの接続率はどれくらいになるのでしょう。

岡田 上位モデルのZP/ZT/Zシリーズでは約6割と大変高くなっています。ただ、購入者はリテラシーの高い層が中心となるシリーズですし、また、実際につないではみたものの使用頻度は決して高くない。「いつも使っている」という方は数パーセントほどで、まだまだ日常生活でネットワークを活用してテレビを楽しんでいただくには課題があります。

同じネットワークにつながる商品でも、パソコンは自ら能動的に使いこなすもの。片やテレビは受動的にくつろいで楽しむもの。ここが最大の違いです。今のテレビはネットワークにつないだら、パソコンのように自分から何かしなくてはならない。まず、この点が改善されなければならないと思います。

−− 映像を切り口としたタブレットの展開も、店頭を見る限りはまだまだこれからですね。

岡田 タブレットにはいろいろな楽しみ方がありますが、東芝が「レグザタブレット」と命名したのは、1つには高画質を訴えたかったから。もう1つは、映像をいつでもどこでも持ち運ぶ楽しさを訴えたかったからです。画質へのこだわりに対しては、今回、「AT570」に採用した有機ELにも大変高い評価をいただいています。

−− タブレットが生活の中にどう定着していくのか。一家団欒でテレビを囲んでいた光景が、家族が個々に楽しみたいものを楽しむように変わってきていますし、単身世帯も今後、ますます増えていきますね。

岡田 テレビにパソコン、スマホにタブレットと、すべてをうまく使い分ける人もいます。部屋の中でパソコンとして、2台目のテレビとしてなど、何を楽しむのかで求めるものも違ってきます。商品としても今後、多様化を求められるようになると思いますが、その中で、レグザタブレットの存在感をきちんと訴えていきたいですね。

−− 多様化する消費者の目的に対して強くアピールできれば、これまでと異なった需要も顕在化していくと思います。御社が発表された「50G5」に搭載した「ゴルフモード」のアイデアも大変話題です。

岡田 テレビは楽しむものです。お客さまによって、ゲームや写真など多様な楽しみ方があり、今回、その一例として“ゴルフ”を挙げさせていただきました。こういったお客様に分かりやすい提案は、4K2Kのテレビも、その他のテレビも同じように重要。そうした切り口からの提案をどんどん行っていきます。

今後は4K2Kテレビも、カラーテレビが登場したとき「いつかカラーテレビを買うぞ」と思っていただけたように、「いつかは4Kテレビにするぞ」と思っていただけるくらいにしたいですね。そうした魅力あるものを次々に出していきます。それには、実際に見ていただくことが不可欠です。ご販売店さまとも力を合わせ、売り場で見ていただける機会を創っていくことも大変重要なテーマのひとつであると認識しています。

岡田淳氏 プロフィール

1982年 (株)東芝入社。ビデオ事業部国内営業部門で販売企画、販促、広告に携わる。03年4月デジタルAV事業部DAV国内営業部長に就任。DVDレコーダーの国内市場導入を行うなど、録画機器の国内営業活動に長年従事する。映像機器の日本部部長を経て、11年6月よりデジタルプロダクツ商品の国内企画・マーケティング部長に就任、現在に至る。趣味は読書、映画鑑賞。