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VGP2012 金賞受賞メーカー特別インタビュー

日常をスペシャルにする楽しさ訴求
プロジェクター市場を積極拡大する
エプソン販売(株)
取締役
販売推進本部長
中野修義
ビジュアルグランプリ2012 総合金賞
液晶プロジェクター EH-TW series(EH-TW8000W/EH-TW8000/EH-TW6000W/EH-TW6000/MG-850HD)
写真はEH-TW8000W(左)、EH-TW6000W(中)、MG-850HD(右)
ビジュアルグランプリ2012 金賞受賞モデル
EH-TW6000W/MG-850HD
(VGP各部門の詳細はこちらをクリック)
待望の3Dプロジェクターを始めとする新製品群が、ビジュアルグランプリで総合金賞を獲得したエプソン。テレビ販売が一段落したAV市場で、その存在感が高まっているプロジェクター。こだわり層に向けた画質の追求と、さらなる裾野拡大に向けた新提案の連打で積極的な市場拡大を図る。

3D大画面をより多くの方に 体感の場も用意して大展開を

−− ビジュアルグランプリ総合金賞の受賞です。満を持しての3Dプロジェクターですね。

中野 栄誉ある賞をいただいて光栄です。私どもはプロジェクターを通じてご家庭で手軽に大画面を楽しんでいただくための提案をしており、3Dは大画面だからこそ楽しいと考えております。超大画面では自分がその世界に入ったかのような臨場感があり、このような迫力はプロジェクターならではのもの。我々はこうしたよさを、より多くのお客様にお伝えしたいと考えております。

3Dプロジェクターでは他社さんの優れた高価格の商品がありますが、それだけでは市場が広がりません。より多くのお客様に日常の中で大画面映像の楽しさを満喫していただきたい、そのためには購入しやすい価格提案が不可欠で、これは画質の向上と並ぶ大きなポイントです。

−− 店頭訴求やお客様へのアプローチはどうお考えですか。

中野 プロジェクターをご体感いただくには暗室が必要ですが、そのスペースを量販店様の店頭で確保するのは困難な状況であり、何らかの支援が必要となります。そこで我々が直接、お客様に体感いただける場をつくりました。お客様はそこで体感し、ご購入はご販売店様へ。そういう流れをつくるのです。

まず、プロジェクターの常設会場を設置しました。11月6日から六本木ヒルズで2週間、また11月19日からは品川京急EXインと大阪の心斎橋ビルの2箇所で展開しています。それぞれ席数は5席ほど、大画面、3D、そして画質のよさをじっくりと味わっていただきます。もうひとつの取り組みでは、11席のホームシアタールームを設置した大きなトレーラーで、全国のショッピングセンターなどをまわっています。

御社のファイル・ウェブや当社のホームページ、雑誌など限られた媒体での告知でしたが、これらが非常に好評で、順番待ちや整理券が必要となる盛況ぶりでした。それだけお客様の関心が高いということで大きな手応えを感じており、こうした活動でご販売店様との連携を図って参りたいと思います。

−− 専門店さんにはどのようなアプローチをされていますか。

中野 多くの専門店様で開催されるいろいろなイベントも含めて、最上位モデルであるEH-TW8000を始め、機器のご提供でしっかりした視聴環境をサポートさせていただきたいと思っております。特にTW8000W、TW6000WのワイヤレスHD対応というご提案は、ケーブルの取り回しなど設置が非常に簡単になり、ご販売店様にいちばんご理解いただきやすいところであると考えております。


豊富なラインナップで 全方向のお客様にアピール

−− さらに裾野を拡げる新たなモデルも提案されました。

中野 より多くのお客様に大画面を身近に楽しんでいただくことを意図し、iPhoneやiPadのドッキングステーションを搭載してパーソナルコンテンツやダウンロードコンテンツを手軽に投影して楽しんでいただくことができる、MG-850HDという商品をご提案しました。把手もついており、ご友人や親戚のお宅に持って行って楽しむ、ゴルフのコンペでティーショットのシーンなどを再生する、またキャンプで上映会をするなど、活用範囲が広がります。。

iPodコネクターを備えるMG-850HDは、様々な機器に接続可能。把手もついており、持ち出しにも便利。

また最近の傾向として、ビジネスプロジェクターの低価格モデルが意外にご家庭で使われているということがあります。価格帯では4万円を切っており、そういうところにもお客様は魅力を感じておられるということですね。こうしたローエンドのビジネスプロジェクターの動きには裾野を広げる新たな可能性を感じます。今後こうしたところにも、新たな手を打っていきたいと考えております。

−− 市場拡大のチャンスが広がりますね。

中野 まずこだわりをもつ愛好家の方々がおられるからこそ、我々メーカーはそこに向かって努力します。そこで結実した技術がやがてエントリー層の方々に向けた製品にも活かされていき、裾野拡大につながっていくのです。そしてエントリーの方々に対しても、さらにステップアップしていただけるような商品ラインナップを揃えていくことがお客様の満足につながっていくと考えます。

テレビは日常のものであり、ニュース、スポーツ、ドラマといった日々の番組を見る必須の存在です。一方のプロジェクターは特別なもの。たとえばワールドカップサッカーなどをご覧になるとき、プロジェクターの3D大画面であたかもスタジアムにいるかのような“スペシャル”な感じを味わうことができます。

スペシャルなことをご家庭の日常に持ち込む、これがプロジェクターの醍醐味だと思います。リビングで見るテレビに対し、プロジェクターは必要なときにスクリーンを出して見る。プロジェクターというのは、そうしたスペシャルな空間を作り出すことで、日常生活のシーンを印象深くしていけるものだと思います。

自分の姿を大画面で見る、ご自宅で3D映画を見るといった、日常をスペシャルなものにする。この楽しさをきちんと訴求していくことによって、プロジェクター市場は広げていけると思います。我々もお客様の用途に合ったいろいろなラインナップや体感の場をご提案しながら、市場拡大を図りたいと思います。

中野修義氏 プロフィール

1982年 信州精器(現セイコーエプソン)に入社。83年 エプソン販売に出向。05年 エプソン販売コンシューマ東日本営業本部長。07年 マーケティングセンター長。09年 取締役兼マーケティングセンター長。10年より取締役兼販売推進本部長。