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PR奥村代表に訊く同社ものづくりの思想

スクリーンブランドの雄「OS」。製造工場への直撃取材でわかった高品質の秘密!

公開日 2026/02/20 06:30 出水 哲
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ファイルウェブ読者の皆さまなら、「OS」の名前を聞いたことがあるだろう。ホームシアターの重要なコンポーネントであるスクリーンを扱っており、しかも国内生産している貴重なブランドだ。

その品質や商品ラインナップの豊富さも高く評価されており、ホームシアターのプロであるインストーラーからも厚い信頼が寄せられている。

OSブランド製品以外にも、Optoma(オプトマ)のプロジェクターやVogel's(ボーケルズ)の取付金具(ハンガー)などの輸入販売も手掛け、BtoBを含めて取り扱う製品はかなりの数、ジャンルに及んでいる。

本企画では、そんなオーエスグループの現在の取り組みや、ファイルウェブ読者が気になる最新モデルについて紹介していきたい。

OSブランドのスクリーンにはさまざまな幕面(生地)と機構が準備されている。写真はサイドテンション付き電動タイプ(TP)で、幕面にはレイロドール(HF102)を搭載
今回取材にお邪魔した株式会社オーエスエム 兵庫工場(兵庫県宍粟市)は、開発型ものづくり創造企業として、オーエスグループの様々な業務を担っている

73年の長きに渡ってスクリーンを手掛けてきた老舗ブランド

株式会社オーエスは、1953年に大阪府堺市で奥村商会として創業した。当初は映画館のスクリーン製造・販売・設置を請け負っていたが、その後文教市場向けにOHP(オーバーヘッドプロジェクター)スクリーンやテレビハンガー(ディスプレイハンガー)などを発売して事業を拡大、1967年にOSスクリーン株式会社、さらに1988年に株式会社オーエスに社名を変更している。

1991年に、奥村正之氏(現 オーエスグループ代表)が代表取締役に就任。この頃、家庭用の液晶プロジェクターが注目を集めていたことを受け、ホームシアター用スクリーンのラインナップを充実させてきたという。 

現在はオーエスグループとして国内6社、海外2社の拠点を構え、それぞれで国内外のビジネス、基礎研究・応用研究といった業務を分担している。その中で製品の企画/開発/調達/製造/販売/保守といった業務を担当しているのが株式会社オーエスエムだ。

オーエスグループでは、BtoBやBtoC、製造・販売などの様々な業務をグループ会社で分担している。このうち企画/開発/調達/製造/販売/保守を受け持っている中核がオーエスエムだ

オーエスグループの事業概要は、大きく映像・音響事業/再生可能エネルギー・防災事業/教育事業/開発受託事業/食品事業の5つに分けられる。

映像・音響事業では、プロジェクションマッピングやサイネージ用のLEDビジョンなどの大がかりなものから、学校や家庭で使用されるプロジェクターやスクリーンまで幅広く含まれる。さらに再生可能エネルギー・防災事業としては薄膜系のソーラーシート、2次電池の移動電源に加えて東京都足立区綾瀬駅前に設置されているオフグリッド電源ポールという独自提案のアイテムも揃えている。

教育事業もユニークな取り組みと言っていい。小・中学生にものづくりの全体像に触れてもらい、同社が70年以上の長きに渡って培ってきたノウハウを継承していこうという狙いから、オーエス東京ビル内でイベントや「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」を開催している。

実際に体験会や学校の実習で子供たちが組み立てるための「ミニやさい工場キット」や、「ソーラーICオルゴール」を開発するほどの気合の入れようだ。

「ミニやさい工場キット」は、LEDの人工光合成で野菜を育てる電子工作キット。オーエスグループが主催するイベントや、学校教育の現場でも活用されている

ポールにソーラーシートを巻き付け、太陽光で発電して内部バッテリーに蓄電、テーブルでスマホのワイヤレス充電を可能にする「卓憩」も共同開発し既に活用されている

OSブランド製品を一貫して製造できる、高い技術力を持った兵庫工場

 この度、株式会社オーエスエム 兵庫工場を取材してきた。対応いただいたのは、オーエスグループ 代表 奥村正之氏や、株式会社オーエスエム常務取締役 兼 株式会社オーエスプラスe 代表取締役の河南義夫氏。
 
さらに、株式会社オーエスエム開発本部本部長の山根光博氏、同 生産本部部長の森下伸也氏、同 生産本部スクリーン製造部課長 藤原洋平氏、株式会社オーエスプラスe EC営業部EC営業課課長 石田 淳氏という錚々たる面々だ。

今回、取材でお世話になったオーエスグループの皆さん

ちなみに、兵庫工場のある宍粟(しそう)市は兵庫県の中西部にあり、大阪や神戸、岡山、鳥取からも比較的近距離に位置する交通の要所という。

豊臣秀吉の参謀 黒田官兵衛(孝高)の居城 播磨山崎城があった場所としても知られ、「播磨国風土記」の一節に、宍粟市一宮町の庭田神社で初めて麹を使用した庭酒をつくり、神に献上した記述があることから、日本酒発祥の地とも言われているそうだ。

兵庫工場は1990年(平成2年)に竣工、当初は液晶プロジェクター用のスクリーン需要を見込んで建てられたが、現在では開発本部/生産本部/生産管理本部/営業本部を擁し、オーエスブランドの品質責任の中枢を担っている。

同工場は業務用製品の製造からスタートした背景から、複数の技術を組み合わせた複合提案を得意としている。素材/電気/通信/制御/機構/機械などの広範な技術要素に対し、生産技術部がプロジェクトの司令塔(PM)として機能。開発から生産までを国内自社工場で完結させる「一貫体制」が大きな強みとなっている。

代表の奥村氏に、オーエスとしてのものづくりのポリシーを聞く

本特集はそんな兵庫工場について詳しく紹介していくが、その前に、オーエスグループのものづくりに対する思想、ポリシーを代表の奥村氏に聞いてみた。

オーエスグループ 代表の奥村正之氏

「 創業時は映画館用の張り込みスクリーンを製造していたが、学校向けのスクリーンを製造する頃から、当社はスクリーンメーカーとして、“まく(巻く)技術”と“まく(幕)の技術”を軸に、時代ごとに変わる映像機器の進化と要求に合わせて、映像体験の土台を作ってきました。

スクリーンは学校向けから企業向け、ホームシアターへと用途が広がりましたので、使用環境やコンテンツに合う素材を自ら開発し、品質責任をオーエスグループとして一貫して担う姿勢は変えておりません。

スクリーン幕面(生地)は、反射特性と平面性の両立が肝です。 初期の綿素材から、塩ビ+ガラス繊維+樹脂加工素材へ、さらにファブリック系素材を独自技術で製品開発、その上で表面に特殊加工(コーティング)といった工夫を経て、現在の幕面につなげています。

オーエスは、プロジェクターの進化とコンテンツの進化に合わせて、幕面そのものを進化させてきました」(代表の奥村氏)

スクリーン製品は、幕面(生地)/巻取り・収納機構部/制御基板という3つの要素で構成されるが、オーエスはそのすべてを自社開発しており、独自技術も多く保有している。このうちスクリーン幕面(生地)について、現在ホームシアター用の主なラインナップと特長は以下の通り。

ホームシアターの環境に応じて選び分けたい!オーエスの3種類の幕面の違いはどこにある?

「ピュアマットlll Cinema」:4K/8K対応スクリーン WF302。拡散型で癖が少なく、フォーカス感と拡散性の両立を狙った幕面。4K仕様。3度ゲイン1.0±10%。

「レイロドール」:プロジェクタースクリーンとして世界初のHDR適合スクリーン HF102。広階調(HDR)を意識した高ゲイン設計。表面加工で隣接光の干渉を抑え、白の伸び・黒の締まりを狙った幕面。3度ゲイン2.7±10%。

「アキレイll」:4K/8K対応スクリーン BU302。ガラスビーズの密度を高め、有害光(外光)の影響を受けにくい。迷光対策に有効で、白ピークを散りばめた回帰型。8K/4K仕様。3度ゲイン2.5±10%。

※ゲイン:光の反射特性を表し、数値が高い方が明るい映像が再現される。
※3度ゲイン:スクリーン正面(光軸)から3度ずれた位置で測定したゲインの基準値。

映像情報をベストな状態で視聴者にお届けすることを目的に開発を行う

これらのラインナップについて、スクリーン開発を担当している藤原氏に、製品開発の経緯を聞いてみた。

「弊社ではプロジェクターの性能やコンテンツの進化に合わせて、映像情報を最善の状態で視聴者にお届けすることを目的にスクリーンの開発を行っています。

以前は黒の階調表現を重視していましたが、4Kコンテンツの一般化に伴い、4K解像度やHDR適合も求められるようになりました。それに応えるべく再現性の評価まで含めた開発を行っています。

素材開発は、反射特性を意識しつつ製品化した際の平面性を重視するところから始まりました。

反射特性と平面性確保以外にも課題があります。ガラス繊維+樹脂加工で平面性を確保し、さらに基布の改良と表裏バランスの最適化で軽量化とカール低減を実現。また、ポリエステル繊維+コーティングでモアレ軽減や白再現を追求するといった具合に、課題→材料選定→材料構成→加工技術→製品評価という形で進化させてきました」(藤原氏)

スクリーン開発を担当している、株式会社オーエスエム 生産本部 スクリーン製造部 課長 藤原洋平氏

さらに、自宅にスクリーンを導入する際にどんなところに気をつけて幕面を選んだら良いのかについても伺った。

「 “家の明るさ” と “見たいコンテンツ” で選び方が変わるのが、スクリーンの面白さ。そこの重要なファクターは有害光(外光)です。有害光をコントロールすることで映像がぐっとよくなります。

リビングなどの明るめの環境では、有害光の影響をどう抑えるかが主題になりますので、有害光対策に有効なアキレイIIがおすすめです。

一方で暗い室内なら、階調再現や黒の沈み、色の自然さが重要です。色の再現性でしたら拡散型のピュアマットlll Cinema、色の自然性や黒の沈みでしたら広階調型のレイロドールで作品の表情を感じ取ってください」(藤原氏)

スクリーンの光学特性にはどんな違いがあるのか? 主な4つを知っておこう

ホームシアターで使われるフロント投写型スクリーンの光学特性には、大きく分けて4つのタイプがある。

拡散型(ホワイトマット)は投写された光を均一に拡散反射するもので、回帰型(ビーズ)は光が入ってきた方向に反射する特性を持つ。

広階調型(HDR適合)は近年登場しているHDRに対応したプロジェクター向けに開発されたタイプとなる。反射型(パール・シルバー)は入ってきた光を鏡面反射するもの。

4K/8K・HDRの時代に相応しいスクリーンを開発した

これを受けて河南氏から、オーエスグループとして最近のスクリーンで留意している点についても解説があった。

株式会社オーエスエム 常務取締役 兼 株式会社オーエスプラスe 代表取締役の河南義夫氏

「高精細になるほど、スクリーンの差が正直に出ます。だからこそ、4K/8K・HDRの見せ方まで含めてスクリーンが進化する必要があります。4Kスクリーンの条件を “モアレが出ないこと” だけで語るメーカーもありますが、オーエスではそれを4K対応の一要素に過ぎないと考えています。

4K映像の魅力を正しく引き出すためには、モアレが発生しないことに加え、十分な明るさを確保するハイゲイン性能、白から黒までを自然に描き分ける階調表現、そして高精細映像に耐えうるスクリーン表面の微細構造が不可欠です。

オーエスでは、ハイゲイン・階調・高精細、そしてモアレが出ないことという4つの要素を総合的に捉え、いずれか一つを突出させるのではなく、映像として最もバランスの取れた状態を目指してスクリーン開発を行っています。

製品として白が飛ばずに黒も沈む表現ができるスクリーンとしてレイロドールを作りました。さらに、白ピークを上げたものがアキレイIIとなります。4K時代だからこそ、スクリーン側にも映像表現を支える “総合設計力” が求められていると考えています」(河南氏)

ちなみに、株式会社オーエスプラスeはレンタル事業も展開しており、プライベートから会議、セミナーまで、用途に応じて様々なプロジェクターとスクリーンを活用した映像体験の場を提供している。

しかも失敗できないイベントなどの際に、用途・使用環境に応じてどのプロジェクターが最適か、その他必要な機器はないかなどのコンサルも行っている。サイトからの相談にも対応しているとのことだ。

週末に気軽にホームシアター体験をしたいと思われる読者の皆様へ、株式会社オーエスプラスeのHPよりレンタルもできるので、一度サイトをチェックしてみてはいかがだろう。

株式会社オーエスプラスeのレンタルサービス

(提供:オーエスグループ)

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