HOME > インタビュー > 【インタビュー】最高の進化を遂げたパナソニック有機ELテレビ。高画質大画面で感動を共有する、テレビの価値を提供

VGP2023SUMMER受賞:パナソニック 阿南康成氏

【インタビュー】最高の進化を遂げたパナソニック有機ELテレビ。高画質大画面で感動を共有する、テレビの価値を提供

公開日 2023/09/19 06:30 PHILEWEBビジネス 徳田ゆかり
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
VGP2023SUMMER
受賞インタビュー:パナソニック


昨年末の音元出版アワード「VGP2023」にて、リビングビジュアル大賞を受賞した「くらしスタイルシリーズ」のウォールフィットテレビに続き、今夏のアワード「VGP2023 SUMMER」にて、有機ELテレビのフラグシップモデルに位置付けられるMZ2500シリーズが批評家大賞を受賞したパナソニック。受賞に際して、お客様の暮らしに寄り添う新価値提案と、高画質・高音質を追求する価値提案の両輪で製品づくりを推進するパナソニックのテレビ事業の展開と手応えについて、パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション株式会社の阿南康成氏に語っていただいた。


パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション株式会社
副社長執行役員 ビジュアル・サウンドビジネスユニット長
阿南康成


プロフィール/1986年 松下電器産業株式会社入社、テレビ事業部配属。2013年 パナソニック株式会社 AVCネットワークス社 パナソニックAVCネットワークススロバキア 社長。2015年 パナソニック株式会社 アプライアンス社 パナソニックAVCネットワークスチェコ 社長。2017年 パナソニック株式会社 アプライアンス社 パナソニックインドアプライアンス社 社長。2019年 パナソニック株式会社 アプライアンス社 スマートライフネットワーク事業部 ビジュアル・サウンドビジネスユニット ビジネスユニット長。2022年現職に就任。

■新世代有機ELパネルと高画質技術の粋が生み出す、高コントラストで豊かな階調表現



「VGP2023 SUMMER」で批評家大賞を受賞したパナソニックの有機ELテレビ「MZ2500シリーズ」(写真は65インチモデル、TH-65MZ2500)

ーー このたびのアワード「VGP2023 SUMMER」にて、御社の有機ELテレビMZ2500シリーズが栄誉ある批評家大賞を受賞されました。御社のテレビ事業における王道とも言える高画質、高音質を追求したフラグシップモデルですね。今回の受賞における感想と、御社のテレビ開発における思いをあらためてお聞かせいただければと思います。

阿南 すばらしい賞を頂戴しまして、大変ありがたく思っております。当社では有機ELテレビの開発を2015年頃から始め、今日に至るまでいくつもの進化を遂げてきましたが、今回MZ2500シリーズに採用した有機ELディスプレイはコントラストの向上と更なる色鮮やかさを追求し、大きく進化しました。

ご存知のとおり我々は、プラズマディスプレイの時代も含めて自発光に強いこだわりがありますが、パートナー企業との協力によってつくりあげた有機ELの自発光パネルをMZ2500シリーズに搭載しています。パートナー企業とは良好な関係を構築しており、初期の段階から、お互いのやりたいことや進化させたいことなどを持ち寄り、常に会話しながらパネルの開発に取り組んで参りました。ここに我々の持つプラズマディスプレイ時代からの技術を組み合わせ、フラグシップモデルとして磨き上げたのがMZ2500シリーズです。

有機ELテレビは液晶テレビに対して、黒の鮮やかさで優位性をもつ一方、明るさ感の面ではもう少しの部分がありました。今回はそのあたりをもう一段進化させることに取り組み、大きく進歩させることができました。これらの取り組みを高くご評価をいただき非常にありがたく思いますし、テレビ事業に携わるすべてのメンバーの励みとなります。これを糧に次の進化に向けてまた頑張りたいと思います。

ーー 今回高画質を実現した技術について、ご紹介くださいますか。

阿南 今回のパネルは「マイクロレンズ有機ELパネル」という、1画素あたり数千個のレンズを並べた層と、凹凸形状の有機EL発光層を一体形成したもので、従来のパネルよりも効率的に光を取り出すことができます。素子そのものの発光量を増やすより、光のロスをなくす考え方で輝度を高め、白の再現性を向上させました。本技術により、年間消費電力量は前モデルのLZ2000同等でありながら、我々の目指す高画質の追求に大きく寄与することができました。

1画素あたり数千個のレンズを並べた層と、凹凸形状の有機EL発光層を一体形成した「マイクロレンズ有機ELパネル」

マイクロレンズ有機ELパネル(右)と、通常のパネル(左)との輝度の違い

さらに、このパネルの能力を最大限に引き出すのはテレビメーカーとしての我々の腕の見せどころで、独自設計のモジュールが大きく貢献しています。バックカバーと一体型となった放熱プレートに、新たに放熱シートを追加したデュアルメタルヒートレス構造として、発光性能をさらに引き出しました。

画質の面ではコントラストの向上にこだわり、黒の再現性と同時に白のピークの輝きを追求しました。パネルやモジュールの進化に加え、当社がずっと手掛けてきた「ヘキサクロマドライブ」という信号処理技術も貢献しています。色ごとに特徴を検出し、補正を最適化する「あざやか色補正」や、肌色を検出して3D-LUTで処理する「地デジ美肌補正」といった技術で、より美しく自然な画が実現しました。

またさまざまなコンテンツを再生する際に有効なのが、「4Kファインリマスターエンジン」です。ビエラではあらゆるコンテンツを4Kにコンバートしますが、その時にノイズ感を抑えてより鮮明な画を再現する技術で、今回はそれをさらに進化させ、4Kにコンバートしたあとの画質も向上しています。2Kのコンテンツも多く存在するネット動画の再生などにも、おおいに効果を発揮します。

ーー 音についても進化を遂げていますね。

阿南 側面にワイドスピーカー、上方にイネーブルドスピーカー、下方の前側にラインアレイスピーカーを設けた立体音響仕様です。前モデルのLZ2000シリーズから採用しているラインアレイスピーカーをさらにブラッシュアップしましたし、当社のハイファイオーディオを手掛けるテクニクスが引き続きサウンドチューニングを行いました。

側面、上方、下方にスピーカーを並べた立体音響仕様

サウンドではまた、今回特にゲームコンテンツを意識し、セリフとBGMを強調するRPGモードと、足音を強調するFPSモードという2つのゲームモードを追加しています。さらに、再生シーンに合わせてAIが自動でサウンドを調整する「オートAI音質」も搭載しています。

■高画質・高音質、暮らしに寄り添うテレビ。さまざまな価値をお客様に広げ続ける



ーー MZ2500シリーズでは、どんなお客様を想定されていますか。

阿南 今回のMZ2500シリーズについては、テレビの王道ともいうべき、コンテンツの再生能力を追求しました。画質音質の向上を図るのは必須で、ここは我々にとっての主戦場だと思っています。こうした製品のお客様として想定させていただくのは、ご自宅でテレビシアターをお楽しみいただいている、画質、音質表現にこだわりをお持ちの方々です。また昨今ではゲーム画面の画質もかなり高精細になっていて、映画コンテンツのみならず、大画面でゲームを楽しむニーズも重要視しています。特に有機ELは応答速度の速さでゲーム再生にも適していますので、ゲーマーの方々に向けても価値をご提供していけると思っています。

ーー MZ2500シリーズのプロモーションについてお聞かせください。

阿南 店頭展示などでは、商品の特徴が効果的に伝わるコミュニケーションを心がけて準備しています。マイクロレンズ有機ELパネルの特長がわかるように、発光層とレンズ層が効率的に光を集めていく様子を目で実感できるよう、パネル構造をあえて見せる工夫もしました。こうしたハイエンドモデルのお客様は技術的な内容にも敏感ですので、よりモチベーションを高めていただきたいと思います。

また9月21日〜24日開催のイベントである「東京ゲームショウ2023」で、パナソニックとして初めてリアル会場に出展し、ゲーミングネックスピーカーをアピールします。ここにMZ2500シリーズを並べて、ゲームユーザーとのコミュニケーションを図ると共に、ゲームファンのようなコアな方々にも認知が広がることを期待しています。

従来から行っているWEBでのプロモーションについては、スマートフォンの閲覧をさらに意識します。これまでのWEB表現はPCでの閲覧を想定した仕様でしたが、スマートフォンでスクロースしながらも、最後までお客様の興味をひく工夫をしています。

ーー テレビ市場の昨今の動向についてお聞かせください。

阿南 ご存知のように、テレビの総需要は減少しており、コロナ禍で需要を先取りした感は否めないと思います。家にいる時間が長く娯楽も限定的だった中で、テレビの買い替えが大きく後押しされたと思われますが、アフターコロナとなった今は、優先順位がどうしても家の外での活動に向かっています。テレビ業界にとって今は、国内のみならず、海外でも同様に厳しい状況で、特に欧州では光熱費なども日本以上に値上がりしていて、状況に拍車がかかっています。

インターネットにつながるテレビの存在がより当たり前になりましたし、4Kテレビが進化して高画質もある程度行き着くところまで来て、以前のように技術の進化が買い替えの後押しとなるサイクルではなくなったかと思います。ただコロナ禍でお客様がテレビで楽しむコンテンツの幅は大きく広がりましたし、暮らしスタイルで展開しているようなテレビの価値を変えるといったこともますます注力していきながら、活路を見出せると思います。

ーー 高画質・高音質の追求と、さまざまなスタイルでお客様に寄り添う「くらしスタイル」の提案。御社のテレビのこうした2軸での展開は、今後も続きますね。

阿南 お客様は高画質を追求する方ばかりではなく、若い世代を中心にテレビとの接し方が変わっています。こうした両輪での展開はしっかりと推し進め、いろいろなお客様に響く商品展開をしていきたいです。

私としては、大画面で映像を楽しむニーズは決してなくならないと思っています。スマートフォンの時代でも映画館がなくならないのと同様に、大画面で見ること、それを誰かと一緒に見て共感することは、非常に大きな価値です。そして我々は、それをご家庭で体験できる価値をこれからもずっと提供していきます。

ーー 今後も期待しております。ありがとうございました。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE